テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― ことばの、ひかり ―

2018-12-06 22:27:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もふふゥ! さむいィひのォ、おかずゥにはァ~」
「がるる!サバの餃子で!」(←訳:虎です!ぐるるがるる!)

 こんにちは、ネーさです。
 いま流行のサバ缶を使って餃子を作ってみました♫
 ごく普通の焼き餃子の材料の、
 豚肉をサバに置き換えるだけ、という簡単レシピです。
 お好みでショウガを多めにしても美味しいですよ。
 では、程よく満腹になったところで、
 本日の読書タイムは……
 今年度後期の話題の作品を、さあ、どうぞ~!
 
  


            
            ―― 愛なき世界 ――



 著者は三浦しをん さん、2018年9月に発行されました。
 2016年10月から2017年9月にかけて新聞連載されていた同名作品を
 加筆・修正して完成したこの御本、
 田中久子さんの装幀、
 青井秋さんの装画が、
 書店さんの平台でステキに目立っておりますが――

「きらきらァしてまスゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:細密な植物画!)

 ミリ単位のもっと先、
 精密な観察が要求される植物の研究。

 その“研究”ってヤツが、
 藤丸陽太(ふじまる・ようた)くんの、
 いわば恋敵です。

「ふァ? こいがたきィ?」
「がるるるるぐるるがるる??」(←訳:どうしたらそんな事態に??)

 藤丸くん自身は、
 最先端の学問や研究とは縁のない、
 洋食屋さんで働く料理人さんです。
 しかも、店主さんからは、
 半人前呼ばわりされている駆け出しなんですけど。

 敢えて言うなら、
 お店の場所が、問題だったんですねえ。

「どこどこッ?」
「ぐるるがるる?」(←訳:どこにお店が?)

 洋食屋『円服亭(えんぷくてい)』は、
 東京都文京区の、本郷にあります。

 この住所を聞いただけで、
 分かる御方には、もう分かっちゃったでしょ?

「あァ~…それッってェ?」
「がるるぅ!」(←訳:そうかぁ!)

 『円服亭』のすぐ目と鼻の先にあるのは、
 国立のT大学。

 学生さんと研究者さんが集う象牙の塔に、
 藤丸くん、
 とりたてて興味を持っていた訳ではありませんでしたが。

 恋をしちゃったら、
 話は別です♪

「うんうんッ!」
「ぐるるー!」(←訳:別ですー!)

 藤丸くんの恋のお相手は、
 本村紗英(もとむら・さえ)さん。

 T大学の、或る研究室の院生である彼女への
 藤丸くんの恋心は、
 ああ悲しいかな、一方通行です。

 何故なら、本村さんは、
 研究ひと筋。
 
 植物学にひたすら日々を費やす、
 学究さんにとって、
 恋は……最優先事項とはならぬようで。

「むむゥ! どうするゥ、ふじまるゥくんッ!」
「がるるるぐるぅ?」(←訳:状況不利だよぅ?)

 生身のヒトの世界と、
 植物たちの《愛なき世界》。

 ふたつの世界を往きつ戻りつする藤丸くんと本村さんは
 《愛ある世界》を見出せるのか――

「ふとうめいィでス!」
「ぐるるがる?」(←訳:先行き不安?)

 恋愛小説というふれ込みの御本ではありますが、
 おそらくは師弟小説ともいえる物語の中で、
 藤丸くんと『円服亭』店主さん、
 本村さんと教授たちのやりとり、
 あたたかな思い遣りが
 読後感をやわらかく包みます。

 恋人未満のふたりの、
 ふたりを囲む人びとの世界はどこへ行くのか。
 そこに光はあるのか。

 全活字マニアさんにおすすめしたい快作です。
 皆さま、ぜひぜひ、一読を♪

 
 
 
 
コメント
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