テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 夜空に、鳴琴 ~

2018-12-20 21:52:33 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わいんッうりばァ、しゅつげんッ!」
「がるる!ぐーるがるるる!」(←訳:虎です!チーズ売り場も!)

 こんにいは、ネーさです。
 デパート&駅ビルのイベントスペースに
 ワインやチーズなどパーティーフードの売り場が出現しました。
 ここにケーキ売り場が加われば、
 クリスマスシーズンの盛り上がりもピークに??
 この週末のにぎやかな光景を想像しながら、
 さあ、今日も読書タイムです。
 本日は、こちらのSF作品を、どうぞ~♪

  


           
             ―― 零號琴 ――



 著者は飛浩隆(とび・ひろたか)さん、2018年10月に発行されました。
 『零號琴』は、『れいごう きん』とお読み下さいね。

「むゥ~? かわッたァおなまえェでスゥ!」
「ぐっるがるるぐるぐる?」(←訳:琴って楽器の琴のこと?)

 題名になっている《零號琴》とは、
 或る“秘曲”を指すものです。

 昔むかし、ではなく、
 はるかな未来――

 特殊楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクさんと
 相棒のシェリュバンさんが
 宇宙を旅しておりますと。

 もの好きな大富豪さんに
 目を付けられてしまいました。

「ええッ? なにもォしてないィのにィ~?」
「がるるるぐるる?」(←訳:人間違いだよね?)

 居住化された惑星《美縟(びじょく)》。

 《美縟》の首都には、
 いえ、首都を中心とする大陸全土には、
 古(いにしえ)の楽器《美玉鐘(びぎょくしょう)》が
 埋もれている――

 大富豪さんはそう言って、
 思わせぶりにセルジゥさんを見やります。

「ふァ~、なァるほどォ!」
「ぐるるるる!」(←訳:スカウトだ!)

 バラバラになって地中に眠っていた《美玉鐘》は、
 首都《磐記(ばんき)》が
 ちょうど開府500年になるのを機に
 再建されようとしています。

 そして、再建の暁には、
 伝説の秘曲《零號琴》を鳴らしたい……!

「だからァ、すかうとォ、されちゃッたのでスねッ!」
「がるぅ~…?」(←訳:でもぉ~…?)
「うらがァありそうゥ!」

 秘曲《零號琴》。

 こんな機会は二度とない。
 この宇宙で、一度きりしか鳴らない音だ――

 そんな風に誘われたら、
 用心深いセルジゥさんとて
 否、とは言えませんが。

 私たちは、知っています。
 音とは、ときに危険なもの。
 黒板とキーと擦る高音に眉をひそめ、
 硝子が割れる音にキャッと叫び、
 濁流の轟音には戦慄させられる……

 《美玉鐘》は
 いかなる音色を発し、
 《零號琴》は
 いかなる事象を引き起こすのか。

「おとをォめぐるゥ、ぼうけんッ!」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:スリルとサスペンス!)

 さながら“SF版雨月物語”な導入部に対し、
 頁が進むにつれ
 物語にはシュールな笑いも侵入してきます。
 多国籍パーティーフードのような
 《零號琴》の宴の、行方は……?
 技能を見込まれた、セルジゥさんたちの身の上は……?

 2010年から2011年にかけ《SFマガジン》誌上に連載され、
 今回の単行本化に際して
 大幅な加筆訂正が為された長編作品は、
 SF好きさんに、
 ミステリ好きさんにもおすすめです。
 連休の読書タイムに、ぜひ、一読を~♪



  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする