テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

笑いも知性も旅の翼も。

2015-01-11 21:26:55 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 うんしょッ!うんしょしょッ!」
「がるる!ぐるぅるっ!」(←訳:虎です!とりゃあっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 お正月太り解消のため全力でエクササイズ中のテディちゃと虎くんですが、
 本日の読書タイムに御登場いただくのは、
 文壇きってのダイエッターさん?の愉しいエッセイ作品です。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



           ―― パリわずらい 江戸わずらい ――



 著者は浅田次郎さん、2014年3月に発行されました。
 JALグループ機内誌『SKYWARD』に
 2009~2013年にかけて掲載されたエッセイ40編からなる御本は、
 歴史、旅行、美味しいもの、
 そしてダイエットのお話!と多彩です。

「あさだァせんせいィもォ、たぶんッ?」
「ぐっるるがる?」(←訳:ふっくら体質?)

 御本人いわく、
 着物で外出する機会が多くなって、
 《面構えが和風回帰》。
 体型も日ましに和風回帰して、
 スーツのほぼ半数は使用不能となった、のだそうですから、
 ちょっとこれは、食べるものに気を付けないと……

「でスねッ! ごいッしょにィ~!」
「がるるぐっるる!?」(←訳:目指せホッソリ!)

 ダイエットに励みつつ、
 著者・浅田さん、しかし大阪のタクシーで
 運転手さんとの会話に憤激します。

   何だって?
   《ちくわぶ》を知らない?

「ふァ~…おおさかァ、でスからァ~…」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:東西の味覚差だね!)

 摂生の甲斐あって体重に良い兆しが!
 というタイミングで、
 あ~、イタリアへ取材旅行……。

「なんでッ、そこでッ??」
「がるるぐるるる!」(←訳:しかもイタリア!)

 も、もちろん、一冊すべてダイエットのお話、
 ではありませんよ。
 愛媛県松山市での講演に赴いた浅田さんは
 その後の宴席で
 或るアイディアをお披露目しました。

 いつの間にか、世から消えてしまった二千円札……

 復活させてはどうでしょう?

 それも、各都道府県の偉人を描いた47種類の
 自治体二千円札を発行する、という形で!

「うぷふふッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:ご当地お札!)

 鹿児島県発行のお札が西郷隆盛さんの肖像入り、なのはカタいわよね。
 高知県は、龍馬さんで来るでしょ。
 東京都は、徳川家康さんの肖像入り。
 となれば、大阪は豊臣秀吉さんでしょうか。

 いえ、正直言うと東京人としては、
 徳川さんは、う~ん?ちょっとねぇ?

「とうきょうゥうまれじゃないィしィ~」
「がるっるぐるぐる~」(←訳:三河っ子さんだし~)

 島根県はラフカディオ・ハーンさん?
 京都は偉人さんだらけで選出が揉めに揉めそうだわぁ。

「けつろんッ、でませんでス!」
「ぐるぐる~!」(←訳:議論百出~!)

 表題作品『パリわずらい 江戸わずらい』には
 考えさせられたり笑わされたり。
 その他のどの作品も“読ませる”パワーみっちりです。
 筆巧者・浅田さんのエッセイ集、
 エッセイ好きな御方&旅好きな方々に
 おすすめで~す!
 



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いつもハンコをば、パパパパンっ!

2015-01-10 21:05:08 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむむむゥ~、だいィりゅうこうゥちゅゥ、でスねェ?」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!寒いからだ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今年の風邪(インフルエンザ?)はしつこいわ~…
 熱が下がってもダルくて辛くて……冬がイヤになります。
 本気の本気で春が待ち遠しい今日は、
 さあ、展覧会情報を、どうぞ~♪

  



 
             ―― 鴎外之印(おうがいのしるし) ――



 東京都文京区千駄木の森鴎外記念館にて、
 会期は2014年11月29~2015年1月25日(会期中の休館日は12/24、12/29~1/3)
 『鴎外の捺した十六顆(おうがいのおしたじゅうろっか)』と
 副題が付されています。

「これはァ~…はんこッ、でスねッ!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:ハンコぺたぺた!)

  

 鴎外さんてね、“はんこマニア”さんだったらしいのよ。

 学生だった頃から晩年まで、
 蔵書印、落款印など、
 確認されているだけで45種類の印章を使っているのだそうです。

「よんじゅうゥごッ??」
「がるるぐるぐるっ!」(←訳:いつもぺたぺたっ!)

  

 文京区立森鴎外記念館コレクション展では、
 同館の所蔵する16顆の印章が展示されます。

 印章ひとつひとつの用途、
 印文の意味も解説され……って、
 そこまで行くとマニア以上のレベルだわね、
 スゴイわ、鴎外さん……。

  

「むふゥ! まさにィ、はんこはァ~!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:鴎外さんの分身!)

 近年、印章や印鑑は海外からの観光客さんにも
 人気だと聞いています。
 鴎外さんのファンの方々におすすめのこの展覧会、
 1月18日には鴎外さんの誕生日記念講演会
 『博物館長としての鴎外―晩年の業績―』も予定されています。
 お出掛けしてみてくださいな~♪





   さて、週末限定?オマケ画像は、はいっ!こちら!
   
   『カルディコーヒーファーム』さんの
   《グルメチョコレート チェリー》!
   ドライチェリーにチェリーチョコのコーティング♪という、
   さくらんぼ好きには垂涎必至のチョコお菓子ですよ。
   「かおりもォ~あじもォ~♪」
   「がるるるる!」(←訳:サクランボ!)

   では、現役受験生さんもかつての受験生さんも、
   風邪なんてブッ飛ばして穏やかな休日を!



   
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ノンフィクションであることの、重さ。

2015-01-09 21:28:53 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 のーもあッゆきやこんこんッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!強風もNO!)

 こんにちは、ネーさです。
 成人式のお支度真っ最中の方々には、
 どうぞ温暖な天候と平穏な祝日を。
 そうでない方々には、充実の読書タイムを。
 さあ、連休直前の本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



             ―― 殺人犯はそこにいる ――



 著者は清水潔(しみず・きよし)さん、2013年12月に発行されました。
 『隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』と副題が付されています。
 活字マニアの皆さまは、おそらく、
 とうにこの御本の評判を耳にしておいででしょうが……

「ものすごいィ~のんふぃくしょんッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:書評も高評価!)

 ええ、そうなんです、その通りなんです。
 
 だからこそ、私ネーさ、どうしたらいいのか分かりません。
 この御本と、どう折り合いを付ければよいのか、わからないんです。

 だって、ノンフィクションなんですよ?

 小さな女の子が、5人も被害に遭っている大事件なんですよ?

 普通ならフィクション作品の中の出来事でしょう、
 こういうのは。
 子どもが行方不明になって、
 大事件に発展して、
 結果は悲劇的……などという事態は、
 フィクションの中でしか
 起こってはいけないこと、なんです。

 でもこれは、絵空事では、まったく無かった……。

「そもそもはァ、れんぞくじけんでもォ、なかッたでス!」
「がるぐるるるるっる!」(←訳:誰も気付かなかった!)

 2007年、6月。
 著者・清水さんは、
 誰も気付かなかった事実に気付きました。

 日本テレビ報道局に所属する清水さんは
 報道特番の企画に加わり、
 《未解決事件》の資料調査を行っていたのですが。

 群馬県で起こった幼女誘拐事件?
 隣の栃木県でも類似した事件が起きているんだな?
 いや違う、
 隣県というには、近過ぎる……?
 隣りの市、じゃないか!

 
「ならばァ、これはッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:連続する事件だ!)

 現在であれば、そう言い切れます。
 けれど、2007年当時、
 そう思った人は清水さん以外にいたかどうか……

 そこには、壁がありました。
 事件はもう解決しているものと皆に誤解させる壁が。

「はんにんはァ、たいほッされてたッ??」
「がるるる!」(←訳:刑も確定!)

 容疑者は逮捕され、送検。
 有罪の判決が出て、身柄は刑務所の内。

 そう、犯人は捕まっていて、事件は解決しているはずで……

 でも。
 それが、冤罪だったなら。
 
 犯人とされている人が、無実なら。

「なんというゥ、たかいィかべッ!」
「ぐるるるるるぅ!」(←訳:超えられないぃ!)

 いわゆる《足利事件》。
 その裏側どころか真裏で走り回って事件と格闘していたのが、
 著者・清水さんでした。

 
    私は記者だ。
    誰かの利害のために取材したり書いたりはしない。

 御本の本文でこう記しながらも、
 清水さんと彼のチームは、
 やはりたぶん、“誰かのために”
 睡眠時間を削り、靴底を減らし、取材を続けます。
 高い壁を、超えるべく。

「だからァ、かなしいィでス!」
「がるるぐる!」(←訳:怒るのです!)

 この御本を読んで、理系の活字マニアさんは怒り狂うかもしれません。
 正確でなくてはならない分析の鑑定結果が
 どうしてこうなる?
 こんないい加減な分析の結果で
 人間の運命を決定するとは、どういうことだ?

「ゆるしてェいいのかッ?」
「ぐるるる!」(←訳:よくない!)

 殺人犯はそこにいる。

 逮捕されず、監視もされず、
 周囲から警戒されることもなく。
 それで、いいのか?

 ――そんな事実と、
 折り合いをつける方法は、あるのでしょうか。

 ただただ祈りながら、
 事件が解決される日が来ることを願います。
 すべての活字マニアさんが、
 いえ、私たち皆が読むべき、読まなくてはならない一冊です。
 どうか、一読を。
 
 
 
 
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魅惑の知力!

2015-01-08 21:38:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッとォ、きましたでス!」
「がるる!ぐるるぅ~!」(←訳:虎です!今年初ぅ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 年頭の読書タイムではノンフィクション作品を取り上げましたが、
 本日ご紹介いたしますのは待望のフィクション作品ですよ♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



        ―― ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密 ――



 著者はポール・アダムさん、原著は2009年に、日本語版は2014年11月に発行されました。
 英語原題『PAGANINI'S GHOST』、
 『ヴァイオリン職人の探求と推理』に続く、
 伊クレモナ在住のヴァイオリン職人ジョヴァンニ・カスティリョーネさんを
 主人公とする音楽ミステリのシリーズ第二作です~♪

「あはァ! くれもなのォ、おじさんッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:待望の再登場!)

 《2014 BEST BOOK》の一冊としてもオススメした
 『ヴァイオリン職人の探求と推理』では、
 ジョヴァンニ(愛称ジャンニ)さん、
 音楽をあまり知らない人でもその名だけは知っている
 ストラディヴァリウスの製作者・ストラディヴァリさんの謎と取り組みました。

 そして、こちらの御本では、
 音楽をあまり知らない人には……やっぱり知られてない、かしら?

 ニコロ・パガニーニさん、って?

「にころさんッ??」
「がるるぐるるがるるるる?」(←訳:聞いたことはあるような?)

 パガニーニさんは実在の、また伝説のヴァイオリン奏者(1782~1840)。

 いかなる難曲をも天使のように弾きこなし、
 その超絶技巧は悪魔と取引して得たものだと
 同時代の人びとに本気で考えさせたほど、
 抜きんでた存在でした。

 悪魔と取引した者の埋葬許可など出せん!って
 没後でさえも教会とトラブル起こしちゃったんですから、
 とにかくもう、
 “悪魔的なヴァイオリン弾き”イコール“パガニーニさん”
 という図式は根強かったんですね。

「まさかァ~ほんもののォ~…?」
「ぐるっ??」(←訳:悪魔っ??)

 なワケはなく、現在、パガニーニさんは
 生地ジェノヴァの墓地で安らかに眠っています。

 しかし、パガニーニさんの相棒さんは、
 21世紀のいまも元気に活躍中!

「ええッ? あいぼうさんッ???」
「がるるっ?」(←訳:それ誰っ?)

 その相棒さんこそ、
 《イル・カノーネ(大砲)》と名付けられた、
 パガニーニさんが最も愛したヴァイオリン――
 グァルネリ・“デル・ジュス”作の名品。

 ストラデヴァリさんの作品に優るとも劣らない、
 イタリアの至宝なのです。

 ひょんなことから、
 職人ジャンニさんのアトリエへ
 至宝《イル・カノーネ》が運ばれて来て、

「うききッ♪ でたなッ、おじさんッ!」
「ぐるる!」(←訳:真打ち!)

 徐々に、ヴァイオリンを取り巻く謎、
 パガニーニさんの遺した謎に、
 長い月日を経て光が当たり始めます。

 昔の謎、現代の謎、
 増えてゆく謎の中心にあるのは……?

「おじさんのォ、めいすいりィ!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:華麗な解決希望!)

 ミステリ好きさん、音楽好きさんに
 心からおすすめする魅惑のワルツならぬ魅惑の知力!
 今週末&祝日の読書タイムに、
 ぜひ一読くださいね~♪♪
 
 
 

 
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《音楽》の展覧会へ。

2015-01-07 21:38:58 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 にゃはッ、ひさしぶりィ~♪」
「がるる!ぐっるる~!」(←訳:虎です!やっとだ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 やっと風邪から快復!久しぶりに本屋さんへ行きました♪
 あ、でもね、本日お送りするのは展覧会情報なので、
 まずはこちらから、さあ、どうぞ~♪

  



           ―― 有元利夫 展 天空の音楽 ――



 群馬県高崎市の高崎市美術館にて、
 会期は2014年12月14日~2015年2月15日(月曜休館ただし祝日の場合は開館し翌日休館)、
 独自の技法で知られる画家・有元利夫(ありもと・としお)さんの
 業績を辿る特別展です。

  

「うむゥ? これッてェ、どこかでェ~…?」
「ぐるるるがるぐるる~…?」(←訳:見たことあるような~…?)

 書籍の装幀などで、
 活字マニアさんはよく御存知のことでしょう、
 画家・有元さんの、一度見たら忘れられない画風。

  

「るねさんすッぽいィ?」
「がるる?」(←訳:中世的?)

  

 具象なんだけれど、抽象画のような空気。
 無音のようでいて、
 《天空の音楽》が響く画面。

  

 有元利夫さんは1946年生まれ、
 1985年38歳で急逝――
 その制作期間はわずか10年と短いものでしたが、
 今なお多くの人に愛され……
 いえ!熱烈なファンさんが付いています!

 この展覧会では、
 代表作を含む絵画58点、版画23点、立体14点、計95点の作品によって
 有元さんの画業の軌跡を辿り、
 また、幼少期や学生時代の油彩画、遺愛の品々も展示されます。

   《素晴らしい音楽を画面いっぱいに鳴り響かせる―、
    いつかそんな作品を作ってみたいものです。》

 と、有元さんは願っておられたそうですが、

「むふゥ! たしかにィ~これはァ~…」
「ぐるるるがるるぐるるるがるる!」(←訳:不思議と音楽を思わせる画です!)

 前からこの画家さん好きなんだ!という活字マニアさんは、
 ぜひ、眼を瞠り&耳を澄ましに
 美術館へお出掛けしてくださいね。
 高崎市美術館は、JR高崎駅より徒歩3分です♪
 




   では、2015初?のオマケ画像も、ささ、どうぞっ!
   
   「あッ!これはッ!」
   「がる!」(←訳:あの!)
   は~い、『森永』さんの《pino ピノ》です~♪
   期間限定のアソートボックスは
   バニラ・キャラメル・チーズケーキの3種入り。
   箱デザインも可愛いので年始パーティーの手土産におすすめですよ♪
   「ひとりじめェしたいけどッ!」
   「ぐるがるる!」(←訳:皆でパクリ!)


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彼の名は《H・M》。

2015-01-06 21:42:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスー!
 おせんべいィにィ~、ぽてとちッぷゥ~!」
「がるる!ぐぅるるがる!」(←訳:虎です!チョコはNG!)

 こんにちは、ネーさです。
 風邪を引いちゃうと甘い物より塩っぱい物が欲しくなるのは
 どんなマジックなのでしょうか?
 本日の読書タイムでも、
 身体メカニズムのマジックを探る一冊を御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



             ―― ぼくは物覚えが悪い ――



 著者はスザンヌ・コーキンさん、原著は2013年に、日本語版は2014年11月に発行されました。
 英語原題は『PERMANENT PRESENT TENSE The Man with No Memory,and What He Taught the World』、
 『健忘症患者H・Mの生涯』と日本語副題が付されています。

「えッとォ~? けんぼうしょゥッてェ~…」
「ぐるるる?」(←訳:何ですか?)

 健忘症(amnesia)とは、
 “後日意識して思い出すことができるような記憶を形成できない状態”
 を意味します。

 『H・M』と医師たちに呼ばれる患者ヘンリー・モレゾンさんは、
 健忘症に苦しめられていました。

 著者・コーキンさんは
 モレゾンさんが置かれた状況を次のように表現しています――

    《ヘンリーは、永遠に『現在』のなかに閉じ込められてしまった》

「むむゥ! どうしてまたァ?」
「がるるぐる?」(←訳:そんなことに?)

 ヘンリーさん、てんかん治療のために
 脳外科手術を受けたのでした。

 少年時代から起きていたてんかんの発作は
 成長するにつれ頻繁になり、
 お薬も効かなくなり、
 ヘンリーさんの生命を危険にさらすようになって、
 主治医は決断したのです。

 手術によって、
 ヘンリーさんの脳の一部を除去することを。

 いわゆる、ロボトミー手術。

「ひいいいいィ!」
「ぐるるー!」(←訳:やめてー!)

 そうよね、現代に暮らす私たちなら、
 映画『カッコーの巣の上で』のストーリーを御存知の方々なら、
 そういう拒否反応は当然ですよね。

 でも、当時――1953年は、事情が違いました。
 ロボトミー手術で病状が良くなる、と考えた医師がいたのです。
 
 27歳の時、ヘンリーさんは手術を受けました。

 手術後、ヘンリーさんのてんかん発作は激減しましたが、
 同時に……

 健忘症となってしまったのでした。

「なにもォ、おぼえてェいられないィ?」
「がるぐるるぅるる?」(←訳:すぐ忘れちゃうの?)

 今日が何日か、朝ごはんに何を食べたか、
 数分前に両親が何を言ったか、
 ヘンリーさんは思い出せません。

 手術前の出来事は(ある程度は)憶えています。
 父母、学校の友人たち、スミ暮らした家や、休暇先での記憶。
 チビっ子の頃、飛行機に乗せてもらった体験。

「でもォ、それいがいィはァ……?」
「ぐるるがる……?」(←訳:何にもなし……?)

 理解していただきたいのは、
 ヘンリーさんは健忘症ではあったけれど、
 それ以外の疾患を負ってはいなかったことです。

 ヘンリーさんの知能は高く、
 自分が物事を覚えていられない、
 そのために周囲に迷惑をかけている、と認識し、
 深く悲しんでもいました。

「わかッているのにィ、なにもできないィ~…」
「がるるぐるるるぅ~…」(←訳:それはつらいよぅ~…)

 ヘンリーさんの症状は、やがて、医学界の注目の的になってゆきます。

 記憶、とは何なのか。

 脳の中で、何が起きているのか。

 ヘンリーほど一つの科学分野を完璧に変えた患者の例を私は他に知らない。
 著者・コーキンさんにそう述懐しています。
 それほどの、
 ヘンリーさんが秘めていたチカラ。
 可能性と、未来。

 ヘヴィなノンフィクション作品であり、
 ロボトミー手術がもたらした数々の悲劇も記されていますが、
 これは《読むべき》一冊です。
 すべての活字マニアさん、ぜひ!

「のーべるしょうはァ、へんりーさんにィ!」
「ぐるるるるっ!」(←訳:おくりたいっ!)



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 ~ 幕は開き、舞台は歌う ~

2015-01-05 20:47:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむゥ! やッちまッたなァ~、なのでス!」
「がるる!ぐーるるがるるる?」(←訳:虎です!ネーさがまさかの?)

 こんにちは、ネーさです。
 おバカは引かないはずですのに、私ネーさ、
 東京駅の雑踏で“風邪”というアタリくじを引いてしまったようです。
 が!2015年最初の読書タイムは
 こちらの御本で、はなやかに!元気よく!まいりましょう~♪

  



            ―― オペラ座のお仕事 ――



 著者は三澤洋史(みさわ・ひろふみ)さん、2014年10月に発行されました。
 『世界最高の舞台をつくる』と副題が付されています。

「♪るるゥ~♪おぺらざのァ~♪」
「ぐるるがる~♪」(←訳:音楽の天使~♪)

 オペラ座……というと、
 多くの方々はパリのオペラ座を思い浮かべるかもしれません。
 けれど、かつては怪人(ファントム)が出没した劇場は現在、
 バレエの上演が主流となっております。

 この御本の著者・三澤さんが日ごと夜ごと参じては指揮棒を振るのは、
 ですからパリのオペラ座ではなく、
 我が国ニホンのオペラハウス。
 すなわち、

 新国立劇場!

「それはァ~、えッとォ~…」
「がるぐるる?」(←訳:あの駅近の?)

 東京の渋谷区、初台(はつだい)駅からすぐ、の場所に
 1997年に開場したのが新国立劇場です。
 著者・三澤さんは新国立劇場の
 《合唱指揮者》さんなんですよ。

「がッしょうのォ、しきしゃさんッ、でスかァ~♪」
「ぐるるがるーる!」(←訳:すごくユニーク!)

 新国立劇場専属の合唱団の指揮者(音楽的責任者)さんとして
 三澤さん、2001年から活躍しておられるのですが、
 これが、一筋縄でゆくお仕事じゃありません。

 ときとして、
 上演するオペラの指揮者さんと闘う!
 演出家さんと激論を交わす!
 舞台の足場や傾斜とか、
 ドイツ語の発音とかとも闘う~!

「ひゃッ! きょうてきィ、でスねッ!」
「がるぐるる!」(←訳:難敵だらけ!)

 でも、闘ってばかり、憤ってばかりでは
 良いオペラを上演することはできません。

 苦労を苦労と思わず、
 ポジティブに♪
 明るく♪
 そうして、公演初日に、
 さらには千秋楽へまで持ってゆく――

 新国立劇場でのさまざまなプロダクション、
 三澤さんの少年~音楽大学の学生時代、
 ベルリンへの留学、
 バイロイト祝祭劇場での仕事、
 ミラノのスカラ座での研修……と
 この御本には、音楽を職業とする人でも
 ちょっと想像を絶してしまうエピソードに満ちています。

 
 そのどれもが、
 三澤さんの筆ならぬ指揮棒にかかると、
 不思議とのどかな、
 なんでもないことのような、
 それでいて
 アリアのようにきらめいて聞こえるのですから、
 《最高の舞台》の裏側って
 面白すぎる!

「♪るるゥ~♪もォーつァるとォさんもォ~♪」
「ぐぅるるぅーがるる♪」(←訳:ヴェルディさんも♪)
「♪いざァ~じょうえんッ♪」

 特に、
 バイロイト音楽祭にいつか行くぞ!と
 お考えのワグネリアンさんには
 読み逃がせない場面がた~くさん登場しますよ。
 ワーグナーさんが設計したオケ・ピットの
 特殊構造のお話なんて、とっても珍しい!

「たいけんしゃッ、ならではッ!」
「がるるるるる!」(←訳:驚かされます!)

 新年にふさわしい《華》に彩られたオペラの世界――
 澄んだ音色が頁の上でハジケるノンフィクション作品を、
 2015“読み初めの一冊”に、ぜひ!
 




 
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2015“アート始め”は、巴水さんから♪

2015-01-04 21:58:42 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでッス!」
「がる~る!」(←訳:虎で~す!)

 こんにちは、ネーさです。
 さあ♪2015年第一回目の読書タ~イム……と行きたいところですが、
 今日は緊急連絡!
 取り急ぎの展覧会情報をお送りいたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



  
             ―― 川瀬巴水 展 ――



 東京・日本橋の日本橋島屋8階ホールにて、
 会期は2015年1月2日~1月12日(会期中は無休)、
 『―郷愁の日本風景―』と副題が付されています。

 ↑上記の通り、開催期間がごく短いので
 慌ててお報せすることになりました。

「あとォ、いッしゅうかんッ!」
「がるるるるぅる!」(←訳:急がなくちゃね!)

 私ネーさ、川瀬巴水(かわせ・はすい)さんの展覧会がある!
 と知ったのは忙しい歳の瀬の只中でしたが、
 お出掛け決行してきました!

  

「だいひょうさくゥ、ずら~りィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:名作もずらり!)

 川瀬巴水さん(1883~1957)は
 大正から昭和にかけて活躍した版画家さんです。

 かねてより、
 日本よりもむしろ欧米でその名が知られている作家さんだったのですけれど、
 近年ようやく日本でも
 こんなに素晴らしいアーティストさんがいたんだ!と
 認識されるようになりました。

  

 この展覧会では、
 巴水さんの版画作品、水彩画、スケッチ帖、
 版画に用いられた版木、版画の試作段階の試し摺りなど、
 284点が出展されています。

「わほォ! ほんとゥにィ、ずらずら~りィ!」
「がるぅーるぐる!」(←訳:ボリューム満点!)

 いやもう、満点というか満腹というか、
 まさかこれほどの分量の展示だとは予想していなかったので、
 展示の終盤では疲労困憊状態になりました。
 内容を後でじっくり噛みしめるためにも
 ↑上の画像の図録(¥2.057)はマストバイです。

  


「えはがきもォ、かわゆいィぞッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:亀戸の藤の花!)

 夕暮れや、日の出、雨模様……の情景を多く描いた巴水さん、
 昼間の明るい風景も描いていますよ。
 ↑上の画像は、グッズ売り場で入手したポストカード(税込で一枚¥130)です。

 展覧会場を出てずぐのグッズ売り場は
 図録の他にもカレンダー、ファイル、ポストカード、関連書籍等、
 充実の品揃えでした。
 島屋さんへ行く機会のある御方は、
 グッズ売り場だけでも覗いてみてくださいね。

「それにィしてもォ~…」
「がるるるぐっるるぅ!」(←訳:たいへんだったよぅ!)

 そうなのよね~、
 1月2日の東京駅周辺は、
 皇居の一般参賀に行かれる方々と、観光客さん、帰省客さん、
 箱根駅伝見物の方々、デパートの初売りに出陣する方々の人の波で
 物凄~くごった返していて……
 巴水さんの作品と静かに向かい合いたい、と考えるアート好きさんには
 平日のお出掛けをおすすめいたします。

「しんねんのォ、あーとはじめェ!」
「ぐるるるがるるー!」(←訳:楽しんできてねー!)
 
 
 
 
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2015新春特別企画!《ベアーズ・パディントン設計書》おまけのその5!

2015-01-03 18:45:48 | ♪2015!新春特別企画♪
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がる~る!」(←訳:虎で~す!)
「ユキノジョンですー!」
「おにぃちゃんだぞよ!」

  

 こんにちは、ネーさです。
 あらためまして、新年おめでとうございます♪

  

「めっえーめえ!」(←訳:ハッピー新年!)

  

「ふふっ、今年は私が主役だったな!」

「ちッがーうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:皆が主役!)

  

 ここで説明し直しますと、
 今回の特別企画のお話は
 半分フィクション、
 半分ノンフィクションでございました。

 本当にね、
 映画『くまのパディントン』公開を記念しての
 パディントンくん像はロンドンの街角のあちこちに建てられていて、
 大きな話題になっているんですって。
 2014年いっぱいは展示、
 その後、撤去されて、チャリティオークションにかけられるそうです。

 上の画像は、ディヴィット・ベッカムさんデザインの、
 映画関連のパディントングッズのひとつです。
 背中に《7》の背番号、
 赤いジャケットは
 イングランド代表時代のユニフォームを
 イメージにしているんですよ。

「かッこいいィなァ!」
「がるーるぐる!」(訳:←スマートだあ!)

 映画『くまのパディントン』、
 日本でも公開されるといいですね♪

  

 ではここで、慰労会!
 ニュージーランドに旅行した御方から
 《マヌカハニー ショートブレッド》をいただきました。


「きゃほォいッ♪」
「ぐる!」(←訳:蜂蜜!)
「大好物じゃ!」

 おバカな新春特別企画に付き合ってくださった
 心優しい皆さま、
 ありがとうございました!
 モコモコの羊くんのように、
 ふんわりあったかい一年が
 皆さまのもとへ訪れますように。 

(明日からは通常モードに戻りま~す……たぶん……)

「ではァ、みなみなさまァ!」
「がるぐるるが~るっ!」(←訳:良き一年にな~れっ!)


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2015新春特別企画!《ベアーズ・パディントン設計書》その4!

2015-01-02 21:16:49 | ♪2015!新春特別企画♪
 さあ、探せ《ベアーズ・ペディントン設計書》!
 2015年の新春特別企画も大詰めとなって、
 新年を迎える大都市ロンドンの某所へ、
 名探偵テディちゃムズはひた走ります。

「どこにィ、ゆくのっ?」
「がっるるぐる……!」(←訳:そっちは確か……!)

  

「やほぅッ! ここだぁッ!」

 テディちゃムズが、ぴたり!と示してみせたのは――

 ロンドンの繁華街オックスフォード・ストリートにある
 高級百貨店《セルフリッジズ》、
 そのショーウィンドウでした。

「みてごらんッ、このォ、きんぴかァ~ぱでぃんとんくんをォ!
 みてごらんっ、ぱでぃんとんくんのォ、あしもとをォ!」

 何なに? 足元ですって?
 虎くんが像に近付き、クンクンと嗅いでみますと。

  

「ぐるる……がーるるーる!」(←訳:これは……マーマレード!)

 マーマレード!

 英国の超一流モデル、ケイト・モスさんデザインによるパディントンくんの像は
 金ぴかりん!
 周りのディスプレイも金が基調になっていて、
 像の足元には、黄金色に輝くマーマレードの瓶。
 瓶のラベルにはパディントンくんが描かれていていますね♪

 しかし、マーマレードと聞いて、
 食いしん坊のクマと虎は……

「うわあ♪うっとり~♪♪」
「がるぅ~!」(←訳:天国ぅ~!)

 桃源郷に迷い込んだような顔付きになりましたよ。
 注意力ゼロ、思考力ゼロ、観察力ゼロ、
 もちろん推理力もゼロ。

「そうさッ! それこそがァ、てきのォねらいィ!」

 設計書を探す政府機関のクマたちも、
 美味しそうなマーマレードの前では気を削がれてしまい、
 捜査どころではなかった、のでしょう。
 ゆえに、設計書を見つけられなかった……!

 が、テディちゃムズはヨダレを拭いつつ、

「これだァ!」

 と像のすぐ真下の選んだマーマレードを一瓶、
 手に取って開封してみると。

   ボゥゥン!

  

 メエエ~!の一声も高らかに、現れ出たのは。

「おおっ! 羊くん!」

 オックスフォードストリートを激走し、
 ここで、やっと弟たちに追いついたマイクマフト氏が、ガッツポーズ!

  

「おっしゃぁ! 取り戻したぞぉ!」

  

「どういうことなのォ、おにいちゃんッ??」

 《設計書》が羊?
 羊が、なんでまた??

  

「えへんっ!
 これぞっ国家100年の深謀遠慮なり!」

 お? マイクマフト氏がお腹を、いえ、胸を張ります。

「国家の基盤は“ものづくり”にあり!
 断じて、マネーゲームではない!

 我々は、この黄金の羊くんと手をたずさえ、
 羊毛産業で世界征服を目指すのだ!

 かつて、ギリシャ神話の英雄たちも魅了されたという、
 黄金の羊毛!
 世界の一個や二個、軽~く手玉に取ってやろうではないか!」

 世界征服の設計書――
 それが《ベアーズ・パディントン設計書》というわけですか。

「……おにぃちゃんてばァ、もうゥ~…」

  

 啞然とする名探偵テディちゃムズたちをよそに、
 マイクマフト氏と羊くん、、宣言します。

「これで2015年は黄金色の世界が来るぞよ~!」
「メエエ!!」

 ……ホントなんでしょうか、それ?
 ちょっと、いえ、ずいぶん眉ツバもののような気もしますけれど、
 名探偵テディちゃムズは上機嫌です。

 これでようやく仕事も片付き、
 心おきなく祝えますよ新年を♪
 ご馳走が待つベイカー街221Bへ帰宅する名探偵と友人たちは、
 行き逢うクマたちに
 明るく挨拶するのでした。

「しんねんッ、おめでとうゥ~!」



  ~その5!に続く!(のかなぁ?)~
 
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