アフガンはますます奇怪な様相を呈しているようです。宮崎さんが、指導者達の名前を挙げて解説してくれていますが、とてもじゃないが覚えきれません。
やはり、日本のマスメディアは宮崎さん一人に適わないようです。
それにしても、このアフガンの複雑怪奇は何を齎すのでしょうか。やはり最悪の対戦も有り得るのかも。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)9月1日(水曜日)
通巻第7034号
アフガニスタンの「殺人鬼」=ヘクマチアル元首相が甦っていた
これでドスタム、カルザイ、アブドラら役者が全員揃った
アフガニスタンで「最高指導者」とされるアクンザダ師の動静だけが不明である。カンダハルに健在とタリバンは主唱している が、陽動作戦かもしれない。
グルブディアン・ヘクマチアルは過激派「ヒズビ・イスラミ」を率いて、時にCIA資金で、ときにイランに寄り添い、そして カルザイ大統領(2002年当時)の暗殺を企てたり、蛇のように、あるいは魑魅魍魎として懼れられ、毛嫌いされた人物。「殺 人鬼」と呼ばれた。滅法評判が悪いのである。
ヘクマチアルは1993年から94年、ならびに96年に二度、アフガニスタン首相を務めた。反ソ連のムジャヒディーンを率 いて、一時はパシュトーン人主体の軍閥の頭目といわれた。実際には反ソ連活動で利用価値の高かったCIAが、巨額を注ぎ込 み、ヘクマチアルは、それは自派にのみ有利に展開し、自派の軍閥を肥らせ、そのためにほかの軍閥から恨みを買って、北部同 盟、ドスタムのウズベク組織、「ヘラートの獅子」=イスマイリ・カーンらと派手な武闘を繰り返した。軍閥の競合関係という性 格は、タリバンと同質である。
1996年から2001年にかけて、ロシア、インド、イランは北部同盟を支持していた。輻輳した状況が破られたのは北部同 盟の指導者マスードが暗殺されてからだった。
ヘクマチアルは1996年にイランに亡命したが、カルザイ暗殺未遂事件後、イランのオフィスを畳み、行方不明となってい た。
そのヘクマチアルが静かにカブールに戻り、ガニ政権とも和解していた。ガニ政権崩壊前後からタリバンと接触し、隠然たる勢力 を扶翼してきたようだ。
8月、パキスタンとの交渉役に、ヘクマチアルが出てきた。インドとの交渉役にもヘクマチアルが担当していることが判明し た。インドはアフガニスタンに30億ドルを投下したダムを建設している。
これでカブール入りしたドスタム、北部同盟の残党部隊はタリバンと対決姿勢を崩さないが事実上停戦している。
ヘラートで拘束されているイスマイリ・カーン。そしてタリバンと連立を模索するカルザイ元大統領にアブドラ行政長官ら。
アフガニスタンの顔役が一堂に揃って、みんな、「昔の名前ででてきた」。
タリバンの閣僚名簿の発表も近いようです。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)9月2日(木曜日)
通巻第7035号
タリバン連立政権、まもなく閣僚名簿発表し、発足へ
米国、タジキスタン国境警備強化に協力、インドでは反イスラム運動
パキスタンのクレシ外相は、「近くタリバン政権が閣僚名簿を発表するだろう」と予測し、アクンザダ師が最高指導者として位置づける筈だと語った。
米国軍はアフガニスタンを去ったが、アメリカ人は数十から数百人がまだアフガニスタンに滞在しているらしい。げんにアメリカ人記者はカブールに留まり、状況を映像で伝えている。
米国が警戒しているのは、置き去りにしてきた最新兵器ならび、アフガニスタン政府軍に梃子入れし供与してきたアメリカ製の武器が、タリバンに渡ったことだ。
退去前に飛行場倉庫にあったヘリコプターなど多くを破壊してきたが、政府軍の腐敗や局地戦の敗戦で、機関銃から夜間ゴーグル、特殊戦闘服、軍靴に至るまで横取りされた。
その最新鋭の装備で、タリバン特殊部隊が現れた。
インドではイスラムのマイノリティ集落で、ヒンズー教原理主義過激派の襲撃計画があるとされ、極度の緊張状態にある。
またパキスタンでもバロチスタン独立運動の武装集団と政府軍が交戦、11名のテロリストが死んだとパキスタンは発表している(9月1日)。
米国はロシア軍、中国軍が駐在するタジキスタンの国境警備に協力するとしている。
中国もこの点で警戒を強め、国連軍縮委員会中国代表のリ・ソンは「紛争国には武器供与をしない協定の適用強化」などと演説した(ジュネーブ、8月31日)。盗人猛々しいとはこのことだが。。。。。。
「米国の撤退はアジア諸国に米国依存リスクをあたえ、中国は台湾侵攻の口実として火遊びをやらかすだろう。ロシアはウクライナの完全支配をねらって軍事行動をおこすのではないか」とする米国の世論に対して、アダム・スミス米国連邦議会下院軍事委員会委員長は「アフガニスタン撤退後も、軍事バランスは保たれている」と否定した。
欧米メディアは「タリバン最高指導者のアクンザダ師が、いかなる人物か」の特集を始めている。
日本はこうした国際情勢にまった無頓着で、二階幹事長が辞めるやめない、管は続投か退陣かなどと、国政政治からみれば、まさに辺疆の田舎芝居を演じている。
田舎芝居ですか。何とも情けないことです。もうなるようになると諦めるしかないのかも。