テレビでは、東北大地震のことはどこかへ置いてしまったかのように、毎日、福島の原発問題が放映されています。
数日前、原発に関する講演会が倶知安町で行われ、夫が聞きに行ってきました。以下、夫が自分のメーリングリストに投稿した内容をコピーしたものです。
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夜、倶知安町にある後志労働福祉センターで、「原発の本当の姿」(福島と泊)という演題での講演会があったので、出掛けてみました。
小生も長崎原爆の被爆者の一人でもあるので、覗いてみる気になったのです。拙宅は、北海道にある唯一の泊原発から21kmに位置しています。福島なら避難勧告を受ける地域にあたります。200名位は入れる会場に立ち見が出るほどの感心の深さに驚きました。特に若い人達が多く、きっと子供たちへの影響を心配して聞きに来たのかと思われます。
講演者は、泊発電所がある泊村の隣、岩内町で学習塾を経営している、斉藤武一氏です。この人は、学者ではありませんが、親戚縁者の多くが漁業を営み、泊原発が建設されることになった後、1978年から33年間、毎日港へ出掛け、海水の温度を測定し続けています。
原発から放出される毎秒150トンと云う膨大な温水で海水の温度が7度も上昇しているそうです。海水の上昇が漁業に与える影響を調査する目的で始めたこの海水温度測定の作業から、水産業がどのように影響を受けたかのみならず、原発が地域の経済や住民の生活をどのように変えていったかを、具体的に詳細に説明されていました。
この付近はスケソウダラがたくさん獲れて、それだけで生計を立てている漁師が多かったそうですが、水温が上がったために、殆ど獲れなくなったそうです。従って原発の仕事をするようになり、奇妙な立場になっているとのことです。
そして、泊原発から放出される放射能の測定、更には、その影響まで、データの収集を続けられています。動植物に対する影響が確実に蓄積されてきています。また恐ろしいことには、この影響は、次の世代にも影響を及ぼすことになることです。
アメリカのスリーマイル原発の事故の発生の場合には、半径180kmまで避難勧告が発せられたそうです。そして、現在でも、依然として、放射能の影響が続いているそうです。
日本にある、原発の所在地から半径180kmの円を描くと、日本列島の殆どがスッポリ入ってしまいます。毎日、毎日、日本中に既に存在する原発から放出される放射能に私たちは無防備に曝されていることになりそうです。
平和な羊蹄山麓の朝の風景が、本当に平和な風景であり続けることが出来るのか? 目に見えない放射能の恐ろしさを感じました。原子力は、人間が触れてはならない神の領域のものあり、到底人間のみの我欲で扱ってはならないもののように思われます。神は、既に、燦燦と光り輝く太陽、爽やかな風、豊かな海など、人間が活用していくに充分な材料を豊富に提供して下さっています。
何かしら、背筋が寒くなる思いで帰宅しました。
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ゴルフ場へ行く途中、ニセコ連山が水を張った水田にくっきりと映っていました。このように風もない日は珍しいほどです。
穏やかな自然の風景をいつまで見ることができるか、豊かな未来はあるのでしょうか?