現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

⑨宴の桜さんに会う

2008-08-18 09:36:21 | H20./8月 四国の旅
8/13 いよいよ「宴の桜」さんに会う日。
私のブログにしばしば コメントをくださり、
お会いする約束をした。

松山といえば 「坊ちゃん と マドンナ」、
「フーテンの寅さん と サクラさんか?」
ワクワク、ドキドキしながら、ウロウロ、
駅で待つ。

約束の定時に、赤いシャツに黒のスカート
の女性が にこやかな笑顔で近寄ってこられた。
開口一番「想像通りのお姿でした」と、
私は「期待以上の方でした」と 心の内で
つぶやく。

松山でも 有名なお店で、お昼をご馳走になり、
車で内子まで案内していただくことに。

桜が好きで、「桜の宴」では 春に限定される
ので『宴の桜』に決めたとか。車の中で話が
はずむ。語り口は控え目だが、筝に対する情熱は
人一倍の芯の強さを秘めている方だ。

内子は、有名な歌舞伎舞台『内子座』があるところ。
町並みも昔のままに保存されている。虚無僧が
似合う町だ。尺八を吹いて流していると、呼び
止められ、篤志を和紙に包んで渡してくださる。
古き良き時代の姿がここにあった。

お筝の世界も、変えていかなければならないもの
と 変えてはならないものがある、と難しい話に。

内子の駅で降ろしていただいても良かったのだが、
話しは尽きず、松山まで戻る。すっかりお世話に
なり、名残り惜しく、駅でお別れした。





⑧松山へ

2008-08-18 08:38:40 | H20./8月 四国の旅
鴨の湯から第11番藤井寺までは凡そ4km。
こ1時間の距離だが、上り坂だ。もう足が
痛くて、あえなくダウン。
鴨島の駅に引き返して、各駅で阿波池田を
経由し、多度津から伊予西条と乗り継いで
松山へ。所用時間8時間。

松山は都会だった。町の真ん中に松山城が
ある。道後温泉に向かって歩きだしたが、
城を大きく迂回しなければならない。
ようやく城の反対側に出た所で道を尋ねると、
「市電で150円」と教えられ、すぐ来た路面
電車に乗車。まもなく道後温泉に着いた。

松山といえば道後だ。お盆休みでさぞかしと
思ったが、思ったほどの人ではない。
写真でよく見る『道後温泉本館』は、温泉街
の中心に、そこだけタイムスリップしたかの
ように鎮座。湯にはいる人が20人ほど並ん
でいた。

立って眺めていると「尺八は吹かんのかね」
の声。家族を従えた浴衣姿の旦那さま。
「二曲所望」とのことで 1,000円下さった。
「自分は民謡の尺八を吹くが、ムラ息ができ
ない。そいつを聞かせてくれ」とのリクエスト。
ムラ息を入れて『下がりは』を吹く。
「そう、それそれ、それができんのだわな」
とご満悦。

しばらく商店街を流して、また市電で松山駅に
戻る。駅前の角にビジネスホテルがあった。
一泊3,700円とのこと。

明日は「宴の桜」さんに会う、身奇麗にしなければ。
7階には広い風呂。全自動洗濯機もあって、浴衣に
着替えて、着物、下着、手甲、脚絆、全部丸洗いする。



⑦鴨の湯と遍路宿

2008-08-18 06:21:31 | H20./8月 四国の旅
鴨島は、徳島線の特急停車駅で、吉野川沿いでは
ちょこっと大きな町だが、閑散としている。
駅でウロウロしていると、男性が話しかけてきた。
「泊りは野宿です」と云うと、それなら「鴨の湯に
行きなさい」と、親切に教えてくれた。
「四つ目の信号を左に折れてスグ」とのことだったが、
例によって、三つ目から四つ目がえらく遠い。
かなり歩いて、ようやく四つ目の信号を左折。
「そこからスグ」も 500mだった。

広い駐車場と空き地の真ん中に円形の建物。そこが
鴨の湯。近郊在郷の人も入りにくる銭湯らしい。
中に入ると、元気のいいお姐さんが、虚無僧の恰好
を見て「遍路でいいんですよね!」と。反射的に「はい」
と返事すると「そこに自動券売機がありますから、
“歩き遍路”を押してください」と。なるほど、一般
400円だが、歩き遍路だと360円とお安くなっている。

中は、一般の銭湯よりは広い。露天風呂もある。
肩から太ももまで刺青をした親分さんも、ここでは
にこにこ。周囲の人から「会長」と呼ばれていた。

さて 一風呂浴びて外に出ると、建物の横に無料宿泊所
なるものが。3畳ほどの狭い小屋が二つ。屋根と三方を
板で覆っただけ。ネットで見知ってはいた。

外人の女性が二人。若い日本人女性も1人。あとは
学生か。都合7,8人が泊ることに。無理だ。外の
ベンチで寝ることにした。
外の方が満天の星を見ながら気持がいい。隣のベンチ
では、京都から来たという若い女性が しっかり寝袋を
用意して お休みになっていた。

⑥ 第5番 から 8番

2008-08-18 06:16:18 | H20./8月 四国の旅
4番の大日寺から5番地蔵寺へは、坂を下るだけ
だから楽のはずだが、普段使わない 筋肉を使う
ので、ふくらはぎが痛い。地蔵寺で一休み。

さらに下って、公衆電話があったので、ここで、
昨日声を掛けてくれた山川さんに電話を入れる。
すぐ軽自動車で向かえに来てくれた。そして 高速
道路のSAで昼飯をご馳走になり、ご自宅へ案内
された。

柿の木畑に囲まれて、納屋でお話を聞く。車も納屋も
クーラー無し。私も今夏はクーラー無しで過ごしてきた
から平気平気。自然がいいのだ。

山川さんは 小柄で丸顔、アンパンマンのような顔の
おやじさん。実は、アンパンマンのねいぐるみを被って、
幼稚園でボランティア活動をしているとのこと。納屋
には手作りのいろいろなぬいぐるみがあった。素人作り
とは思えない本格的な物だ。

「いいトシこいて、アンパンマンの恰好して と笑う人も
いるが、子供たちが喜んでくれるのがうれしい」と。
「人が喜ぶことをしていると、願った事が 実現する。
虚無僧に会いたいと思っていたら、こうして会えた。
こんな不思議な体験を随分している」とも。

私もそうだ。希った事が必ず叶うのだ。今回の四国の旅も
出発の前日に N氏が「月謝の前払いです」と、2万円を
くれたから実現できた。お金のことは心配しなくとも、
必要な分だけ 必ず 入ってくるのだ。

尺八は、自己流で演歌などを吹いているとのことで、
息継ぎやメリカリの出し方などをアドバイスする。
飲み込みが早い。即マスターした。

採れたてのスイカをいただきながら、2時間も話し
こんで、徳島線の鴨島まで車で送ってくれることに。
途中、6、7、8番札所を経由し、最後に 吉野川の
長い橋を渡った。木曽川より雄大だ。


⑤ 2、3、4番札所

2008-08-18 00:54:56 | H20./8月 四国の旅
2番『極楽寺』 3番『金泉寺』は、すぐ近くというが、
どうしてどうして結構ある。そして3番から4番『大日寺』
は8kmもあった。
遍路道ではなく 車での道を選んだのが間違いだった。
地図では直線でわずか4kmだが、山越え谷越え、かなりの
山を周回して登る。行けども行けども案内板も無い。もう
4kmは来たと思った所で「4km先」の案内に愕然となる。

三河からの観光バスの一団が来ていた。中のご婦人が、
「おや虚無僧さんだよ、珍しいね」と言いながら 財布を
出す。そして「虚無僧さんは納め札持ってないの?」の
問いかけに 手を振ってノーの合図をすると、財布を引っ込
められた。

歩き遍路にもてなしをすることを「接待」と云い。接待を
受けた方は 「名前を記入した納め札を渡すのが仕来り」と
ガイドブックにある。納め札を何枚集めたかが徳積みの証し
なのだ。

『大日寺』の手前200mほどのところに家が一軒だけあった。
新築の大きな家である。道路から玄関まで50mはある。家に
向かって尺八を吹く。2階の窓から子供が顔を出した。
しばらく吹いていると、若いお父さんが子供を抱えて出て
こられた。そして、冷たいオロナミンCと、子供の手に持た
せた100円玉を差し出された。ありがたくいただく。
「納め札」を渡さないで 良かったのだろうか。