現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

⑭阿波池田

2008-08-19 22:27:04 | H20./8月 四国の旅
大歩危(おおぼけ)から 阿波池田へ。
ここから次の坂出・高松行き各駅停車が来る
まで1時間半もあったので、町中を門付けする。
アーケードの商店街は100mもない。ほとんど
シャッターが閉まっている。お盆休みで 開いて
いる店は数軒ほど。人影は まばら。

でもこういう町が虚無僧には ふさわしい。
開いている店はたいてい布施をしてくださる。

通行人のご婦人が、「これって何ですか?」と
聞いてくる。「尺八です」。「すてきな音が
出るんですね」。

商店はすぐ尽き、住宅街を回る。
戸が開いている家を目当てに、戸口に立って吹く。
「おや、虚無僧さん。珍しいね」
「昔はよく来たよ。子供心に怖いと思ったけれど
親から、コレ渡してこいと言われて、こわごわ
差し出したっけ」
「句会に出す俳句を考えていたところ。いい句が
できたワ」「いい音色だね」「心に沁みるね」
「尺八の音には 哀愁があるね」
「暑いのに ご苦労さま」

こんな言葉を次々とかけてくださる。忘れられた
古き良きニッポンの心が、ここはまだあった。

自分でも、音色が変わった気がする。ここでの
尺八の音は まぁるい響きだ。尺八の音は、
その場の雰囲気、聞いてくださる方の気持が
引き出してくれる気がする。

最後にいい思いをたくさんさせていただいて、
坂出から瀬戸大橋を渡り、岡山、姫路、米原の
ルートで帰路につく。

⑬8/15 祖谷のかずら橋

2008-08-19 22:23:07 | H20./8月 四国の旅
高知から土讃線で北へ向かう。
次の目的地は 祖谷(いや)のかずら橋。
大歩危(おおぼけ)から祖谷のかずら橋まで
村営バスで 30分、640円。

すごい山合いの村だ。深い谷と急峻な山。
急な斜面の遙か上の方にも家がへばりついている。
日々 どうやって生活しているのか。歩いて
登るには、気が遠くなる。

かずら橋は、すっかり観光地になっていて、
ものすごい人。橋を渡るのに 500円。長蛇の
列で、1時間待ちとか。
コンクリートの広い駐車場や 展望台兼土産物
店が谷の上にせり出して造られており、自然
の景観は台無し。深山幽谷の閑かな風景を
想像していたが、興ざめ。

民謡の「祖谷の木挽き唄」は すばらしい。
その現地の正調節を聞きたいと思って、土地の
人に尋ねたが、「ここでは尺八を吹く人はいない」
とのこと。ザンネン。

山あいに こだまする響きをイメージしながら、
思いっ切り ストレートに尺八を吹く。車の往来と
人々の雑踏に消されて、こだまは返ってこない。
でも、何か 掴めた感じがする。

⑫ 8/15 五台山

2008-08-19 10:46:53 | H20./8月 四国の旅
早朝 5時、五台山に登る。標高139m。
登るにつれ 夜が明け、朝日がすばらしい。
山頂から31番札所 竹林寺は すぐ だった。
早朝から もう 人が登ってきている。境内の
掃除をし始めたので、この寺の関係者か。

登った道と反対側に下り、山の裾野を半周
して、ようやく吸江寺に辿りつく。
寺といっても、個人の邸宅のような造りだ。
境内に入って 尺八を吹く。虚無僧の挨拶は
尺八だ。だんだん近づいて、玄関前で吹い
たが 応答ない。ガラス戸の向こうに 人影が
見えたが、こちらを完全無視している。

これも 縁が無かったものとあきらめた。
虚無僧はシャイである。先方から声を掛けて
くれるのを待つのみ。

来た道をトボトボと引き返し、高知駅から
特急で 大歩危(おおぼけ)に向かう。

⑪ 8/14 高知

2008-08-19 10:29:21 | H20./8月 四国の旅
47都道府県で 高知だけが、まだ行ったことが
なかった。その高知に ついに足を踏み入れた。
宇和島から5時間。しかし途中、四万十川の
渓谷美を 堪能でき、飽きることはなかった。

さて高知には、夕刻5時半に到着。アーケード
街は、神戸三宮より広いか。賑やかだ。しかし、
虚無僧への反応はイマイチ、全く無い。

高知の目的は「吸江寺」である。そこは、夢窓
疎石が 鎌倉時代に わずか1年だが 隠棲した
場所である。そして 室町時代、宇治にも「吸江庵」
があった。こちらは「一休の尺八の友一路が住んで
いた庵」とされている。私は「宇治の吸江庵の
一路」に憧れ 勝手に踏襲しているのである。
その宇治の吸江庵と土佐の吸江寺との関連を
調べているのだが、今のところ手がかりはない。

土佐の吸江寺は、ネットで調べて「五台山の麓」
と判っていたが、「吸江寺」を尋ねても 誰も知ら
ない。とりあえず五台山を目指す。浦戸湾の東に
見える山だが、歩いていくと結構遠い。2時間以上
は かかったか。ようやくたどり着いた。夜の8時
過ぎである。真っ暗。もどって 橋の上で一晩過ご
すことに。


⑩宇和島へ

2008-08-19 09:50:11 | H20./8月 四国の旅
8/13 松山からの最終便で宇和島へ向かう。
各駅停車で3時間、夜11時過ぎに着き、駅前の
バス停のベンチで寝る。

翌朝5時前、人の動きで目を覚ます。宇和島の
人は早起きだ。ぶらぶら歩き始めると、朝市に
集まる人、お寺に お墓参りにくる人、散歩する
人、みな「おはようございます」と明るく 気持
がいい。篤志をくださる方も。

宇和島城にも 登ってみた。散歩の人もチラホラ。
言葉を交すと、「毎朝 上っている」という。
「名古屋からきた」という方に会う。求められて
尺八を一曲。写真を撮っていただく。

天守閣の開扉は九時だが、8時前には係りの人が
登ってきて、扉を開け掃除を始めた。私に「中に
入いっていいですよ」と。ほんとに親切だ。

市内を巡る。住宅街でも 出てきてくださる。
仏具屋さんでは、丁寧に熨斗袋に入れて 布施を
くださった。後で開けてびっくり、5,000円も。

歴史博物館でも、若い受付嬢も感じがいい。
所蔵品の写真集を見せてくれた。その中に
「一節切」があった。私のとそっくりだった。

ずっとこの町に いたいくらいだが、次の目的地
高知に向かう。