ケイの読書日記

個人が書く書評

雑種です。今はミックスっていうのかな?

2016-02-22 10:54:35 | Weblog
 今、我が家にいるみぃ太郎を、三男が拾ってきた時、次男が「そんな野良猫の赤ちゃん、飼うのイヤだ! 血統書付きの良い猫ならともかく」と言った時、すごく腹が立ちました。「雑種を差別するな! 野良猫が一番かわいいんだ!!」
 今では、ごはんを食べてももっと欲しがるみぃ太郎に、次男がこっそりおやつをあげています。可愛がっていますよ。
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有栖川有栖 「山伏地蔵坊の放浪」

2016-02-22 10:28:24 | Weblog
 ど本格!! 有栖川有栖のごく初期の作品らしく、すごく鮎川哲也っぽい。
 日本全国をさすらっている山伏・地蔵坊が、各地で難事件に出会い、その真相をことごとく看破する。

 土曜の夜、とあるスナックの片隅で、推理好きが集まり、地蔵坊先生から、その体験談を聴いて、ああでもないこうでもないと、推理談議に花を咲かせる。問題出題編と解答編がハッキリ分かれているので、読んでいる私たちも推理しやすい。 
 自分なりに仮説を立てて「よし!これで間違いなし」と心に秘めて解答編を読むと、推理談議に花を咲かせているスナックの客の仮説と同じ。心強く思っていると、それはハズレで、地蔵坊先生が最後に真相をあかす。

 うーん、私やスナックの客の仮説の方が理にかなっているような…という気がすることもあるが、だいたいが見事な推理。
 特に、第4話「毒の晩餐会」と第6話「割れたガラス窓」が良いなぁ。
 いろいろ仮説を立ててみても、どうも1か所ピースが上手くはまらない。やっぱり、もっと整合性のある解答があるんだなと、地蔵坊先生の話を伺うと、本当にきれいに全てのピースがあるべき所に収まる。そんな感じ。

 もちろん、スナックの客たちの見当ハズレの推理も、可能性をつぶしていく事に役に立っている訳で、こういうところが『火村&アリス』コンビのディスカッションによく似ていると思う。アリスが頭に浮かんだアイデアを、どんどん言葉に出して、火村がそれを却下していく過程。

 これは、初出の月刊誌が廃刊になってしまったそうなので、この山伏地蔵坊シリーズは、この1冊のみで、とても残念。
 また何かの機会に、このシリーズを登場させてもらいたいが、有栖川先生に一つお願いがある。スナックの客の顔ぶれを一新してもらいたい。紳士服店の若旦那、ヤブ歯医者、写真館のオーナー夫婦、レンタルビデオ屋のおにいちゃんじゃ、あまりにも魅力がなさすぎる。ハンサムなバーテンダーはそのままでね。
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益田ミリ 「ほしいものは なんですか?」

2016-02-11 14:16:51 | Weblog
 「すーちゃん」で人気の益田ミリのマンガ。
 主要な登場人物は3人。40歳既婚のママと、その一人娘の小学生、そしてママの義理の妹(ダンナの妹)のタエちゃん。お話は、この小学生の女の子の目を通して描かれている。

 ママは、実母が入院しているので、お見舞いに出掛けるときに、タエちゃんに娘を預ける。タエちゃんは35歳独身で、最近自分でマンションを買ったので、もう結婚する気はないと、周りから思われている。
 会議の資料を作ったり、パソコンで計算したりする一般事務の仕事だが、きちんとした会社らしく、ちゃんと有休も取れる。だいたい35歳でマンションを買うためのローンを組めるんだもの、そこそこの給料をもらっているんだ。
 このタエちゃんが、素敵な大人なんだよね。
 姪っ子から「タエちゃんは、なりたいものになれなかったの?」と質問されると、「なりたいものに なりたいわけでもないんだよ~」「なりたいものになってる人ばかりじゃ、世の中てんやわんやになっちゃうしね」と答える。
 次に姪っ子から「タエちゃんも若くなりたい?」と聞かれると「若い方がお得」「いろいろ大目にみてもらえたり、おごってもらえたり、そこにいるだけで値打ちがあるっていうのかな」「でもね、そんな値打ちって たくさんはいらないと思う」「(値打ちがある若い期間は)短くてちょうどいい」  ね、至言でしょ?!
 
 若くて可愛い女の子は、どんどん入ってくる。だから座り心地のいい、若くて可愛い子向けの椅子に、いつまでもしがみつかず、そこから降りてキチンと仕事しよう!!って事が言いたいんだよね。


 それに比べると、このママの方が揺れているなぁ。家のローンももうすぐ終わるし、旦那の給料もまあまあで、子供は可愛いし、みんなに幸せって羨ましがられるのに、現状に不満たらたら。それを打破するため再就職しようとするが、そうそう希望する職が見つかるわけでもない。
「家事に支障が出ない範囲」「家族に迷惑がかからない範囲」といった制約にもイライラ。
 だったら、旦那が「リストラされそう。僕が家事をするから、君が働いて給料もらってきてくれ」と言い出したら、ママは大喜びでせっせと働くだろうか?

 家庭があるなら、男も女も制約があるのが当り前。むしろ男の方の制約の方が多いと思うけど。文句ばかり言わず、置かれた場所で咲いてください。
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倉橋由美子 「大人のための残酷童話」

2016-01-26 13:45:24 | Weblog
 誰もが知っている童話やおとぎ話を、大人向けに少し残酷にちょっとエロチックにアレンジして、最後は教訓でしめている。
 ただ、私が不勉強なせいか、元々の童話や民話を知らないことがあって(26編中6編)そういう時は、面白さが半減しているような気がする。
 
 例えば「故郷」という話は、この「大人のための残酷童話」では、貧しさのため故郷を捨て、都会に出て一生懸命働き成功した男が、捨てた親・兄弟・妹はどうなったろうと気になって家に帰るが、彼らによって殺され金品を奪われそうになる話。
 驚くべきことに、家を出て行った息子であり兄弟だと分かりながら殺害しようとした。別に、家を出て行った事を怨んでいるわけではない。持っている金品を奪おうとして。
 これなんか、本当に救いのない話だが、元の話はどうなってるんだろう読んでみたいな、と思う。


 「魔法の豆の木」は、「ジャックと豆の木」が元話で、家を出て行ったジャックの母親が、人喰い鬼の女房になっており、母恋しさでジャックが母親のもとに行くと、彼女はジャックを絞め殺して人喰い鬼に食べさせる。
 これも、暗澹たる気持ちになるね。

 そうかといえば「一寸法師の恋」は、鬼を退治した一寸法師が、打ち出の小槌を使って大きくなり、立派な若者になってお姫様と結婚するが、背は大きくなるも肝心の所が一寸法師のままなので夫婦仲は悪くなり、お互い罵り合うという笑えるエロ話。


 全体的に、人肉喰いの話が多いように思う。西洋でも東洋でも日本でも、昔は飢饉というものが日常的にあった。
 牛や羊のような家畜を食べ、それから犬や猫などを食べ、それから死んだ人間を食べる。それでも足りなければ、殺して人間を食べる。
 この「大人のための残酷童話」の最後に載っている短編「人は何によって生きるのか」では、天使まで食べてしまう。何と罰当たりな!! 天使を鍋に入れ煮ても、天使の身体は崩れない。誰かが思いついて十字架を一緒に入れて煮ると、天使はようやく煮崩れて、おいしいスープになったそうだ。


 こう考えると『拒食症』という病気は、なんと人間離れした病気な事か! 食べ物がなければ、人を殺してまで食べるのが本能なのに、自分で食べるのを拒否するなんて。
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岸恵美子「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」

2016-01-21 11:29:52 | Weblog
 読んでいて本当に身につまされる。10年後の自分の姿が、このゴミ屋敷の住人とかぶっちゃうね。
 筆者の岸恵美子氏は、地域看護学・公衆衛生看護学の専門家。「ネグレクト」とは、一般的には、児童虐待の一種で、子供の養育放棄の事をいうけど、「セルフ・ネグレクト」は、自分で自分を放置することらしい。

 たとえば…部屋の中が散らかっている。掃除をしなくてはならないが、やる気がおきない。あるいは、身体の調子が悪くて出来ない。やがて部屋の中が物でいっぱいになり、次の部屋も物で埋め尽くされると、誰かに片づけを頼める状況でなくなる。近所の人や民生委員、親せき、子供や孫が訪ねてきても、家の中に入れない。
 もちろん、台所も物がいっぱいで、調理ができない。ゴミの山を登るように移動して、ペットボトルに水を汲み、缶詰やお菓子を食べている。トイレへの通路も物でふさがってしまったので、洗面器に用を足し、窓の外に捨てている。
 あまりの悪臭と害虫の多さに、近所でも問題になり、役所の福祉課や警察がやってきて、扉を開けると…。
 食べ物の腐った臭いやカビの臭いの中、いくつものゴミの山をかき分けると、その奥に、かすかに動く黒い人影が…。あわてて救急車を呼ぶが、ゴミ屋敷の住人は「嫌だ」と乗ることを拒否し、大モメにモメる。

 実際、救急車に乗ることを拒否するセルフ・ネグレクトの人たちは多いらしい。他人に助けを求めるのが苦手だからこそ、ここまでになってしまったんだろう。

 専門家である筆者が、様々な事例をあげて、それへの対策を書いているが…そんなに上手くいくのかなぁ。主に高齢者を対象にしているから、介護保険をつかったりして、良い方向に進ませるんだろう。


 ただね、ゴミ屋敷を片付ける時、住人にキチンと確認してから物を捨てること!!と書いてあるが、捨てる決断ができないからゴミ屋敷になるのであって、いちいち確認していたら、片付けなど出来ないよ。
 こういう時こそ、身内の出番! 子どもや配偶者が、ぽいぽい捨てていきましょう。ケンカになっても聞き流し捨てる! 私はダンナのゴミ部屋をそうしているし、今後もそうするつもり。
 
 しかし物を捨てていると「商品の値段が安いのは、本当に良い事か?」と疑問に思うね。値段が高かったら、買う物も少なく済み、大切に使う。だいたい、江戸時代にゴミ屋敷なんてあったんだろうか? ないよね?
コメント (4)
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