ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ 「こんな感じで 書いてます」 新潮社

2023-11-06 13:20:43 | 群ようこ
 敬愛する群さんの本なので、ブックオフではなく、ちゃんと買おうと本屋へ行ったが、無い! お店の人に尋ねて探してもらったが、エッセイコーナーの書架に1冊だけ挟んであった。群ようこの本なのに。新聞広告から2週間もたっていないのに。他の文庫だったら平置きになってるのに、高価だから売れないと本屋さんに思われたんだろうか? ああ、出版不況です。

 群さんは、著作数140作以上、40年間たんたんと書き続けている。昔からの熱心なファンというわけではないが、無印シリーズが売れに売れていたので、私も少し読んでみたが、彼女の小説はそんなに良いと思わなかったなぁ。
 でも、自分でこの業界のすきま産業と言っている身辺雑事の日常エッセイは本当に面白い。

 デビュー当時「お前の書くものは本を出すようなレベルではないのに、恥を知れ」といった内容の手紙が、あちこちから届いたそうだ。同じ人だろうか?別々の人だろうか? 驚いたのは、「群ようこの連載を止めさせなければ不買運動をおこす」と新聞社に抗議してきた女性がいたのだ。不買運動???いったい何が気に入らなかったんだろうか?そんな大それた文章など書いてないと思うけど。担当者はブツブツ言ってたそうだが、そのまま続行したそうだ。そうだよね。具体的にここの表現がNGとか指摘してくれないと、わからないよね。

 別のエッセイ集に書かれているが、群さんは若いころ『小説の書き方』という講座の講師を勤めたことがあるそうだ。そこで、生徒さんだった同年代の女性に「あんたは東京に住んでいたから作家になれた。私だって東京にいたら、小説家くらいなれたわよ!」と罵られたそうだ。年の若い女性は、なかなかやっかみを受けやすいんだろうね。

 そうゆうふうに軽く見られ、3~4年で消えていくと考えられていた(本人もそう考えていた)群ようこが、40年間、第一線で活躍しているんだもの。大したものだと思う。運も実力もあるんだ。

P.S.もう死んでしまったが、群さんちの猫・しいちゃんが、どうして”しい”なんだろう?変わった名前だな?と思っていたが、この本の中にその答えがあった。隣の部屋の猫が”びー”なので、”しい”と名付けたそう。疑問氷解!
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群ようこ 「たりる生活」 朝日新聞出版

2023-08-20 15:15:35 | 群ようこ
 次回は純文学を読むぞ!!と意気込んでいたが、エッセイを買ってしまった。仕方ない。群ようこさんを私の人生のロールモデルにしようと思っているので、彼女のエッセイを書架で見つけると、ついつい買ってしまう。特に最近のエッセイは、終活を意識しているのでタメ

 特にこのエッセイ集は、長年一緒に暮らした愛猫しいちゃんを見送り、27年間住んだ一人暮らしには大きすぎる部屋から引っ越すことになる顛末を書いてある。
 そうそう群さん、ちょっと前のエッセイには、友人たち3人と共同生活しようかという話があちらこちらに書かれてあったが、最近は書いてないから、止めたんだね。その方がいいと思う。友人といっても、2泊3日の旅行なら問題ないが、ずーーっとルームシェアするとトラブルになると思うよ。かえって友達失くしちゃうよ。

 家賃もスペースも2/3ぐらいの物件に引っ越すことになった群さん。なんとか今の荷物を減らさなければならない。彼女の場合は、問題は「本と着物」だと思う。特に本はすごい。若いころは3000冊の本と引っ越したと豪語していたが、それは若いからできたことで、今は絶対無理。それに、そんなに本を持っていても読めるんだろうか? 1日は24時間で自分は1人。眠る時間もお風呂の時間もご飯食べる時間も、もちろん仕事の時間も必要なのに、そんなに読める?年を取るに従い、目も疲れやすくなってくるしね。
 それに、着物。群さんは和服が好きでよく着るけど、それでも着物用段ボールに20箱、帯と小物で5箱って、多すぎない? でも和服って高価なものだから、なかなか処分できないのよね。(しかし足袋が80足あったという話には驚いた)

 必要なものだけをダンボールに詰めて新居に送ろうと思っていても、だんだん面倒になって「まあいいや、送った先で分別するから、みんな送ってしまおう」となると、さあ大変。新居がモノで溢れかえり、自分のいる場所がなくなる。最初から分別して、不必要なものは処分しないと。

 群さんの引っ越しにダメ出しばかりしているが、私も自分で引っ越さなければならなくなったら、すっきり処分はできないだろうな。ただ、自分の人生の後始末をまじめに考えている群さんに好感が持てる。座布団10枚!!!
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群ようこ 「老いとお金」 角川文庫

2023-05-07 14:44:16 | 群ようこ
 書き下ろしエッセイ。私にしては珍しくブックオフではなく本屋で購入。群さんが弟さんやお母さんから無心され続けた顛末を書いてある。
 家族の中で突出して稼ぎがいい人がいると、その人を皆が金銭的に頼るようになるのはよくある話だが、それにしても頼りすぎ。ひどい。
 お母さんは、ちゃんと年金を貰っているのに、ゆとりある暮らしがしたいといって、群さんに月40万円送金させるし、弟さんは一流大学を出て一部上場企業に勤めているのに、趣味の高額なギターを群さんに買わせたり、頼るというよりタカッてる。
 
 どうして私がこうも憤慨しているかというと、前々回ブログでUPした山本文緒さんの事を思い出すからだ。山本さんは、直木賞を受賞してからも売れ続けている小説家だが、やはり不安定な職業なので、先々の事を考え、90歳まで働かなくてもそこそこの生活ができるだけのお金を貯めていた。(とはいっても彼女は58歳で亡くなったが)どうしてそんなことができたかというと、山本さんの収入が多いからという事だけじゃなく、彼女の身内にお金をせびってくるような人はいなかったからだ。旦那様は出版社勤務だし、子どもはいない。お父様は亡くなっているし、お母さんお兄さんはちゃんとした人で、娘や妹に金銭的に依存したりしない。だから山本さんはせっせとお金を貯めることができた。

 それに比べ、群さんのお母さんや弟さんは何だよ!!!いつまで仕事があるかわからない群さんに「しっかりした個人年金に入ったら?」とか「この先どうなるかわからないから貯金をしっかり!」とかアドバイスできないのかな?それとも「変な男にひっかかってお金をだまし取られるより、僕たちが使ってあげよう」なんて思ってるのかな?もちろん群さんはそんな男には引っ掛かりません。
 一番散財したのは実家を建てたこと。お母さんが群さんに「弟が家を建てて母親と同居したいと言っている。お金を援助してくれないか?」もう一方で弟さんに「お姉ちゃんが、弟が家を建てるなら援助すると言っている」と両方を丸め込み、億を超える家を建てた。その2/3を群さんがローンを組んで支払ったのに、群さんの部屋もないし鍵もくれない。これ、ひどいよね!? 大もめにもめ、最終的に群さんは自分の2/3の権利を弟さんに売ることにするのだが、弟さんは家はもらったのだから支払わないと再び大荒れ。

 この弟さんとお母さんは、群さんの初期エッセイによく登場する愛すべき人たちなんだが、お金が絡むと人間はこうなってしまうんだね。悲しいです。
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群ようこ 「しない」 集英社

2022-11-22 15:32:48 | 群ようこ
 私は、どうして群ようこのエッセイを好んで読むのだろうか?と時々考える。(彼女の小説はあまり読まない)もちろん人気作家の日常をちょっと覗いてみたいという気持ちもあるが、それ以上に、自分のロールモデルを群さんに見ているんだろうと思う。
 もちろん年齢こそ4歳年上だが、あと共通項はあまりない。東京生まれ東京育ち、東京を離れて暮らした事がない群さんだし、本人も独身、周囲の友人も独身または結婚していても子どもがいない夫婦ばかりだそうだ。
 そのせいか、子どもや子持ち主婦にはなかなかシビアな見解を持っていてドキリとすることもある。でも、感覚的な所は似てるんじゃないかな。

 例えば、このエッセイ本に「必要のない付き合い」という章がある。
 群さんは、すごく付き合いの悪い人だったようだ。大学生の時も、コンパにほとんど参加しなかったみたいだし、社会人になって同僚と晩ご飯を食べて会社の悪口を言いまくる事はあっても、その後のお酒の飲める場所へ移動することはなかった。お酒が飲めない体質だからかもしれないが。
 もっと驚いたのは、『本の雑誌社』に勤めていた時、手伝いに来ている学生さんたちにバイト代の代わりにご馳走するのが会社の方針だったのに、仕事が終わると一人だけ「それでは失礼します」と言ってさっさと帰っていたらしい。
 上司が誰もおらず、本当なら群さんが学生たちを飲食店に連れて行く役目のはずなのに、群さんは一番年長の子にお金を渡して「これでみんなを連れて行ってあげて」と頼んで、自分はいつものように帰ったらしい。
 すごいなぁ。私も飲み会などあまり好きではないので、さっさと帰る方だが、自分しか連れて行く役目の人がいない場合、しぶしぶながら、どっかの居酒屋に流れると思う。
 それだけ群さんは自分の時間を大切にしているんだろう。

 ママ友の間でも、そういう問題はおこる。私は保育園に子どもを預けたので、さっと仕事に行く人ばかりで助かったが、幼稚園バスにお迎えに来てもらうパターンだと、子どもをバスに乗せた後もえんえんと母親同士でおしゃべりしていて、帰りにくいという話を聞く。家事が片付いていないので早く帰りたいが、自分だけ早く帰ると、その後何を言われているか分からず怖いので、その場に残ってダラダラしゃべってしまう。それどころか連れだって近所のファミレスまで行く事もあるらしい。
 そんなにヒマなんだろうか? 皆さん?
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「たべる生活」 群ようこ 朝日新聞出版

2022-11-13 15:35:05 | 群ようこ
 群ようこって、こういう人だったっけ?! もっとゴーイングマイウェイというか、自分の事に口を出されたくないから、他の人の事にも口を出さないといったタイプの人だと思っていたが…。このエッセイ集の中で群ようこ自身が「思考回路が姑と化している私」と書いていたが、その通り!!! 自分の周囲にいる親子連れ、友人知人から話を聞いた親子連れの食習慣にイチャモンを付けまくる!!

 1954年生まれの群ようこが、自分の健康に気をつかって食習慣もちゃんとしている事は知っている。もともと料理が苦手だけど、仕事での付き合いや友人とのランチで、月に数回外食する以外、自炊しているのは立派。1人暮らしだから、ついつい自炊は面倒になってしまうだろうに、スゴイ!とは思う。
 でも、自分がやれているんだから「子どもがいる母親は料理して当然」と考えるのは、ちょっと違うような…。

 子どもを育てながらフルタイムで働いて、その上、食事の支度までってすごく大変。総菜やレトルトを使うのは当然じゃない?と私は思うけど。
 もちろん人間は食べたもので出来ているので、外食や中食で少ない野菜料理をパパっと作って1品加えるとか、どうしても肉料理の方が多くなるから意識して魚の缶詰を使うとか、工夫しなければならないとは思うが、クタクタに疲れて帰って来て、ギョーザを手作りなんて出来ないよ。冷凍で十分だと思うよ。(そうそう、冷凍食品のクオリティって最近ものすごく上がって来てる。お店で食べるよりおいしいじゃん!!という冷凍食品もある)

 一番やるべきなのは、家族みんなで食卓を囲むこと。まあ、会社員のお父さんが平日の夕食の席にいないのは仕方ないが、お母さんや子どもたちはTVを見ながらでいいから一緒にご飯を食べてほしいな。
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