井上光晴の名前は知っているが、残念ながら読んだ事はない。でも、現代文学史に出てくる人だから、それなりに有名な小説家なんだろう。
娘さんの井上荒野の作品は数冊だが読んだ。江國香織とか吉本ばななといった、二世作家は何人もいるが、その中でも素晴らしい才能を持った人だと思う。その荒野さんの、父親について書いた作品。
この井上光晴氏は、とってもモテた人で、瀬戸内晴美が出家して瀬戸内寂聴になったきっかけも、井上光晴との恋愛を清算したかったから、らしい。だいたい、小説家という職業はモテるだろうし、その上、光晴氏は大嘘つきで不誠実な男だったから、なおさらモテたんだろう。
この光晴氏がどれほど大嘘つきだったかというと、子どもの頃、周囲から『嘘つきみっちゃん』と呼ばれていたらしい。
極めつきが、出生地の虚偽。自筆の年表では、大正15年、満州・旅順で生まれた事になっているが、実は九州・福岡の生まれだった! その事を、妻も子どもも誰も知らず、知っている実妹も、兄がそう言うならと知らん顔をしていたらしい。
死後、編集者が、あらためて年譜を作成したら、嘘が発覚。光晴氏の父が、陶工で各地を放浪し、光晴氏たちをほったらかしていた事は事実らしいが、会社勤めをして定住していた事もあったらしい。その部分は無視。あくまでも、自分の父親はさすらいの人で、中国でぷつっと消息を絶った…事にした。
つまり、自分の人生がドラマチックでないことに耐えられないんだろう。だから、他人に対して、というより、自分自身に嘘をつき続けていた。
荒野(あれの)は本名。父親の光晴が付けたらしい。『嵐が丘』をイメージしているんだろうか。「平凡ではない、ドラマチックな人生を送ってほしい」という父親の願いが込められているんだろう。
そういえば、私が高校生の時の1年先輩の女の人を思い出す。彼女は「魔里子」という名前だった。(ひょっとしたら里は理or利かもしれない) 親の、彼女にかける意気込みが感じられるね。「あなたは他の人とは違う、特別な存在なんだ」という親からのメッセージ。かえってプレッシャーになるんじゃないかな? あの人は今、どうしているんだろう。
娘さんの井上荒野の作品は数冊だが読んだ。江國香織とか吉本ばななといった、二世作家は何人もいるが、その中でも素晴らしい才能を持った人だと思う。その荒野さんの、父親について書いた作品。
この井上光晴氏は、とってもモテた人で、瀬戸内晴美が出家して瀬戸内寂聴になったきっかけも、井上光晴との恋愛を清算したかったから、らしい。だいたい、小説家という職業はモテるだろうし、その上、光晴氏は大嘘つきで不誠実な男だったから、なおさらモテたんだろう。
この光晴氏がどれほど大嘘つきだったかというと、子どもの頃、周囲から『嘘つきみっちゃん』と呼ばれていたらしい。
極めつきが、出生地の虚偽。自筆の年表では、大正15年、満州・旅順で生まれた事になっているが、実は九州・福岡の生まれだった! その事を、妻も子どもも誰も知らず、知っている実妹も、兄がそう言うならと知らん顔をしていたらしい。
死後、編集者が、あらためて年譜を作成したら、嘘が発覚。光晴氏の父が、陶工で各地を放浪し、光晴氏たちをほったらかしていた事は事実らしいが、会社勤めをして定住していた事もあったらしい。その部分は無視。あくまでも、自分の父親はさすらいの人で、中国でぷつっと消息を絶った…事にした。
つまり、自分の人生がドラマチックでないことに耐えられないんだろう。だから、他人に対して、というより、自分自身に嘘をつき続けていた。
荒野(あれの)は本名。父親の光晴が付けたらしい。『嵐が丘』をイメージしているんだろうか。「平凡ではない、ドラマチックな人生を送ってほしい」という父親の願いが込められているんだろう。
そういえば、私が高校生の時の1年先輩の女の人を思い出す。彼女は「魔里子」という名前だった。(ひょっとしたら里は理or利かもしれない) 親の、彼女にかける意気込みが感じられるね。「あなたは他の人とは違う、特別な存在なんだ」という親からのメッセージ。かえってプレッシャーになるんじゃないかな? あの人は今、どうしているんだろう。