ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「黒笑小説」

2013-02-25 10:59:27 | Weblog
 13編のブラックユーモア小説が収められているが、やはり面白いのは文壇裏話というか、作家と出版社の攻防、キツネとタヌキの化かしあいですね。

 超売れっ子で、担当者があれやこれや手を使って、なんとか原稿を手に入れようとする話なら気分が楽だが、落ち目の作家を何とか厄介払いしようとする話なんか、ちょっと…なぁ可哀想。
 寒川という架空の小説家が出てくる。大きなブレイクは無いにしても、30年も文筆業で食べているなんて立派なもんだと思うよ。(直木賞がモデルだろう)賞の候補になるという事は、それなりの仕事をしているという事だ。たとえ落ちたとしても。

 最終話の「選考会」なんて、出版社の社員が、今後仕事を出す作家を選別する会を開くんだから、先生方かわいそう。


 それにしても、本ってどんどん売れなくなってきてるんだ。先回読んだ岸本さんのエッセイの中にも、不況だ、本が売れないと書いてあったものね。
 もともと岸本さんの本は重版するようなことは、めったにない。(失礼!!)それではなく、初版の部数が、どんどん少なくなっているらしい。これじゃ生活に響くよね。

 東野圭吾も1985年に江戸川乱歩賞を受賞してデビューしたものの、最初の頃は初版どまり。東野が担当者に「売れなくてすみません」と謝ったところ、担当者が「いいんですよ、うちは西村京太郎先生の十津川警部シリーズで儲けてますから」と慰めたという。

 しっかし東野圭吾は、その後、大化けしたわけだ。今、一番の売れっ子だものね。
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岸本葉子「買わずにいられる?」

2013-02-19 15:08:28 | Weblog
 岸本さんって買い物好きなんだ!! 慎重な彼女のことだから、衝動買いはあまり無い。お店で実物を見て、インターネットの口コミで情報を集め、どのサイトで買えば一番安いか、一番ポイントが貯まるか、検討に検討を重ね…でも、失敗することも多いらしい。
 そんな彼女の、お買い物エッセイ。

 料理にこだわる人だから、キッチン関連商品が多い。皮むきグローブ(里芋の皮をむくもの)スープメーカー、精米機…etc。

 皮むきグローブは、よく通販にも紹介されていて、私もカタログで見たことがある。
 料理をしない人は分からないかもしれないが、里芋の皮って本当にむきにくい。ピーラーでは、あのモジャモジャの毛みたいなものが絡まるので、包丁を使うが、ぬめって滑るし、人によってはかぶれるのだ。

 だから、皮むきグローブは魅力だとは思うが…里芋の皮をむくなんて、1か月に1度か2度。使う回数を考えると、まあいいか、包丁で。という事になる。
 使う回数が少ないグッズは、奥の方にしまい込まれ、そのうち存在すら忘れら去られるのが一般的なパターン。
 だから、よほど気に入ったものでもない限り、極力、台所グッズは増やさない。

 これは、ダンナが買い物大好き、もらうの大好き、捨てるの大嫌い人間だから、という理由もある。
 特に、ホームセンターに行くと、ハイになり買いあさる。
 親戚が引っ越す、大掃除をする、というと出掛けて行って、色々もらってくる。置き場所を考えず、手に入ったといって喜んでいる。

 アンタ、物よりスペースの方が価値があるんだよ。ああ、小ざっぱりと暮らしたいです。
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パーシヴァル・ワイルド「探偵術教えます」

2013-02-14 11:13:56 | Weblog
 アメリカの片田舎の大富豪家でお抱え運転手をしているピートは、通信教育の探偵講座を受講中。(アメリカって通信教育の探偵講座なんてあるんだね。そうか、私立探偵稼業も免許制って、TVドラマで見たことある)

 その彼が、テキストに載っている探偵術を試してみたくて、いろんな所に首を突っ込んではかき回し、滅茶苦茶にするが、どういう訳か最後には事件を解決するというストーリー。
 しかも本人は、そもそも事件に巻き込まれたとも、事件を解決したとも、理解できてないのだ。

 悪人としてまっとうな?犯人が、ビキナーズラックだけが取り柄のピートに振り回され、最後に警察にお縄になる所など、かえって気の毒になる。悪党側に同情しちゃう。邪気が無いというのは怖ろしいね。


 ただ、そのピートも、回を重ねるごとに少しは成長していく。そうするとピートのマヌケ度も下がり、ミステリとしては出来が良くなっても、コメディとしては面白くなくなってくるジレンマ。

 
 うーん、コメディとしてもミステリとしても優れているのは、第6話「P.モーランと消えたダイヤモンド」かな?
 これは、ピートではなく彼のGFが事件を解決。しかし、その前に古今のミステリをお手本に、依頼主の部屋を荒らしまわり損害をかけまくり「ダイヤを見つけたら1000ドル出すといったが、ダイヤを見つけなかったら2000ドルやる」と言われ、追い出される。
 最後はGFが「この事件にはアガサ・クリスティの筆致がある。最も容疑者らしくない人が犯人です!」と叫び、ダイヤは見つかる。

 やっぱりなぁ。誰もが、クリスティ小説の犯人像を、そう感じてるのね。
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ピーター・アントニィ「衣装戸棚の女」

2013-02-09 15:11:34 | Weblog
 素人探偵のヴェリティが、朝、坂道を下っていると、町のホテルの2階の一室の窓から男が現れ、隣の部屋の窓へ忍び込んでいく。
 その事をホテルの支配人に知らせると、当の不審人物が下りてきて「人が殺されている!」と、へたり込む。
 問題の部屋に急げば、どういう訳か、ドアも窓もいつの間にか鍵がかかっていていた。射殺体と、衣装戸棚に押し込まれた、ウェイトレスを中に閉じ込めて…


 物語の発端は、なかなかドラマチックで期待したが、残念ながらハズレ。
 確かに、最後にドンデン返しがあり、最後の数ページは、なるほど!!と感心したが、後のほとんどのページを、あくびを噛み殺しながら読んだ。

 ウェイトレスの証言が本当なら、完全な密室殺人となるはずだが、謎解きなど、どうでもいいような気持ちになるほど退屈。

 どうして、こんなに面白くないんだろう、と自分なりに考えたが…登場人物に魅力が無いことに尽きる。
 素人探偵ヴェリティは、古美術コレクターで、巨体の持ち主。ただ、それだけなのだ。ワトソン役がいないから、全くつまらない。
 一応、現場で指揮を執るジャクソン警部とか、ヴェリティの友人で、休暇中のスコットランドヤードの警部が登場するが、全くの役不足。

 ただ、登場するだけ。何のためにいるかわからない。
 特に、ジャクソン警部など、素人探偵のパシリになっていて、あまりにも従順。これが「なんだ!素人探偵ふぜいが!」と反目でもしてくれれば、少しは読みごたえあるのに。

PS、この小説に出てくる衣装戸棚って、内側からでも鍵がかかるんだけど、なぜ? なんのために? そういった衣装戸棚って外国には多いのかな?
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ケイの心の俳句

2013-02-05 15:19:09 | Weblog
ふわふわの
畳んだ毛布に
みぃ太郎


みぃ太郎が丸まって寝ているんです茶色のクッションじゃありません。
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