ケイの読書日記

個人が書く書評

京極夏彦「鉄鼠の檻」

2010-04-29 13:14:28 | Weblog
 箱根の奥の山の中に、誰も知らなかった(京極堂ですら知らなかった)禅寺があるらしい。
 なんとその寺は、数百年の間(ひょっとしたら千年以上)無人でほったらかしにされており、誰が開いたか、何の宗派か分からないが、堂々たる大寺院である。
 明治28年に一人の禅僧によって発見された。

 こんなミステリアスな展開で始まったが、いくらなんでも木造建築が無人で何百年も原型を保っていられるだろうか?
 木と紙でできた建物はもろい。人が住まなかったら100年ももたないで朽ち果てているだろう。
 とてもロマンチックな舞台設定だけどね…。

 とにかく、そこで坊主たちが次々殺されていく。その動機たるや驚く。しかし、確かに殺された坊主たちの共通項といえば…それしかない。
 しかし、それに気が付く読者はどれだけいるんだろうか。

 坊主ばかりで彩りに欠けると作者は思ったのか、振袖娘なんてのも登場する。雪の中でも薄汚れた振袖。一年中振袖。着替えは無いのだろうか? 誰が着付けるんだろう?

 いつものように京極堂の知識のお披露目はあるが、それほど多くなく読みやすい。でも長いです。カッパノベルス厚さ5cm。大長編を読み終わったという気分に浸れます。
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手のりたま

2010-04-29 12:26:54 | Weblog
ただいまテスト中
「手のりたま」は、今子供達のお弁当の時間の必須アイテムらしい。いままで味ごまふりかけを持って行った三男は、「手のりたま」に変える気だ。
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「The Big Issue 日本版 141号」

2010-04-24 16:45:01 | Weblog
 先日、映画「シャーロック・ホームズ」を観ようと繁華街を歩いていたら、この「ビッグイシュー」の販売員さんを見かけた。

 いつもは別の場所の別の販売員さんから買うのだが、この半年ばかり、その人を見かけない。別の場所に移動なさったんだろうか?

 ビッグ・イシュー独特の表紙が懐かしく、新しい販売員さんから買う。表紙は「アリス・イン・ワンダーランド」のジョニー・ディップ。


 ビッグ・イシューについて知らない人もいると思うので説明します。
 ビッグ・イシューはホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として1991年に英国ロンドンで始まりました。
 雑誌販売者は現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人です。最初、販売者はこの雑誌10冊を無料で受け取り、その売り上げ3000円を元手に、以後は140円で仕入れ300円で販売し160円を彼らの収入とします。
 販売員全員が行動規範に同意し、顔写真入の販売者番号の入った身分証明書を身に付けて雑誌を販売しています。

 30ページほどの薄い雑誌ですが、内容は中々深いものがあります。私は「今月の人」というホームレスの人たちの1人をクローズアップしてインタビューした連載物が好きです。

 皆さん、もしビッグ・イシューの販売員さんを見かけたら、そして手元に300円以上のお金があったら、ぜひ買ってあげてください。
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有栖川有栖「月光ゲーム Yの悲劇’88」

2010-04-19 11:22:06 | Weblog
 有栖川有栖の長編デビュー作として有名。

 夏合宿のため矢吹山キャンプ場へやって来た英都大学推理小説研究会の江神部長とアリスたちを、予想だにしない事態が待ち受けていた。
 矢吹山が噴火し、偶然一緒になった3グループの学生達は、陸の孤島となったキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。
 その極限状態の中、一人また一人キャンプ仲間が消えていく。失踪し、あるいは殺されて…。いったい誰が何の目的で…?!

 おなじみ読者への挑戦状が挿入されている。「あなたの推理がまとまりましたら、どうぞページをめくってお進みください。」という作者の温かいアドバイスを受け入れ、自分なりに推理をまとめてみたが…さっぱり分からなかった。犯人も動機もかすりもしなかった。

 でも、江神二郎の謎解きを読んでみると、なるほど整合性があるなぁ。わからなかった謎が一つ一つ丁寧に解き明かされている。
 さすが有栖川有栖。デビュー作にも大物の片鱗がうかがえる。

 キャンプ仲間が一人ずつ消えていくところから、クリスティ「そして誰もいなくなった」を連想する人が多いと思うが、それよりもクイーンの「シャム双生児の謎」の方が近いと思う。あの作品も山火事で下山できなくなったクイーン父子たちが、山頂付近の山荘に閉じ込められた中で起こった殺人事件だった。

 推理部分も魅力的だが、それ以上に絶体絶命の極限状況からどうやって脱出するかという冒険小説として読んでもとても面白い。
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角田光代「しあわせのねだん」

2010-04-14 11:13:28 | 角田光代
 「私たちはお金を使うことで品物といっしょに、何かべつのものも確実に手に入れている。大事なのは品物より、そっちのほうかもしれない」という持論を持つ角田さんの買い物とお金に関するエッセイ。

 たいした事は書いてないが、角田さんは本当に上手いなぁと思う。今まで私が読んだ彼女の小説やエッセイの中で「読んで時間を損した」という作品は無い。
 当たりハズレが無く、皆水準以上の作品ばかり。これも直木賞を取った後で、すごく忙しくなって仕事の密度が薄くなるはずだが、しっかり読ませる。


 ところで、角田さんはモテるんだという事をはじめて知った。
友達が…とエッセイ内で書かれているので同性かと思いフンフン読んでいると、異性。そんな事が何度もある。
 このエッセイを書いたのは、彼女が30才後半だろうが、その年代で男友達がたくさんいる人って、そんなに多くないと思う。

 過去の恋愛体験も豊富。よくもまぁ、こんなに次々と相手が現われるもんだとも思う。
 そういえば同業者との事実婚を解消して、なんとかいうバンドのミュージシャンと結婚した、と少し前新聞に載ってたね。
 ほっそりして神経質そうな、芸術家タイプの人が好みらしい。

 角田さんは、小柄で華奢な体型、童顔でおめめパッチリ!しかも料理が得意。モテる要素は揃っている。その上、もともと恋愛体質の人なんだろうね。
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