ケイの読書日記

個人が書く書評

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」

2006-12-28 15:58:24 | Weblog
 先日、図書館の人から「予約の本が来てますよ」と言われ、やっと思い出した。「ダ・ヴィンチ・コード」私予約していたんだ。長かったなぁ。忘れてたよ。
 ということで遅ればせながら読んでみる。


 ルーブル美術館館長のジャック・ソニエールが、館内で惨殺された。しかしそこには奇妙な暗号が残されていた。その秘密とは…。


 確かにハラハラドキドキですごく面白いが、暗号を解いても解いても次の暗号が出てきて、まるでマトリョーシカの人形のよう。正直言って、途中でうんざりしてしまった。
 だいたい、この暗号を解こうとしても、普通の日本人には無理!よっぽどキリスト教圏の宗教、言語、芸術などに詳しくないと。


 また、ストーリーも意外性を狙うあまり、数分前のヒーローをいきなり悪の黒幕にしてしまったり、最初からの悪役を一夜にして善人にしたりして、ちょっと無理があると思う。

 だいたい、黒幕が本当に“聖杯”のありかを知りたいと思うなら、こんなまどろっこしく謎を解き明かしていくのではなく、ソニエールたちに自白剤でも使えばよかったのに。(そうすると小説にならないか)


 イエスの血統が現代にも脈々と続いているという話だが、イエスが伝説上ではなく実在の人物なら、そうあってもおかしくない。
 非キリスト教徒の私としては、上映禁止になるほど何が問題なんだろう、と不思議に感じるよ。
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「THE BIG ISSUE JAPAN」

2006-12-23 14:53:28 | Weblog
 先日、繁華街を歩いていたら、ビッグイシューを売っているおじさんを目撃!初めて出会った!!

 この雑誌については「ホームレスの仕事を作り自立を応援する」として、新聞やテレビのニュースで何度も取り上げていたので、私も機会があったら買ってみたいと思っていたのだ。

 早速、購入。200円。薄いのには驚く。30p。広告が無いからこんなものか。ぱっと見た雰囲気は『アエラ』に似ています。
 内容は…皆さん、買って読んでください。悪くないです。


 ビッグ・イシューはホームレスの人たちに収入を得る機会を提供する事業として1991年にロンドンで始まったそうです。
 最初、販売者はこの「ビッグ・イシュー」を10冊無料で受け取り、その売り上げ2000円を元手に、以後90円で仕入れ200円で販売し、110円が彼らの収入です。
 
 どのぐらい売れるんでしょうか?ちょっと見当がつかない。


 どこかで「ビッグ・イシュー」を売っている販売員さんに出会ったら、皆さん買ってあげてね。
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群ようこ「日常生活」

2006-12-17 17:54:42 | Weblog
 1992年の1年間、群ようこさんが何をやっていたか、が書いてある。文学的価値があるかどうかは分からないが、売れっ子作家の日常が垣間見え、とても楽しい。

 その中に、カルチャーセンター講師として呼ばれた時の事が、回想として書かれてある。


 授業が終わった後、一人の生徒に声をかけられた。彼女は、自分の原稿に対する群さんの批評が気に入らないと怒っているらしい。 
 そして「私だって、本の雑誌社に勤めていたら本の一冊ぐらい出せた」「本を出してズルイ」「地方出身者に比べ、あなたは苦労していない」などと、ぐちぐち文句をたれていた。


 こういった箇所があるが、なるほど群ようこぐらいの文章だったら私にも書けるわ!!と内心思っている人は沢山いるのではないか?
 この文句タレ子さんだって、確かに何かのツテで本の雑誌社に勤めていたら、本の一冊ぐらい出せたかもしれない。
 しかし、問題なのはその後続くか、である。やっぱりこれだけ群ようこさんが売れっ子になるというのは、それだけの能力が彼女にあったからである。


 海月ルイが新聞のコラムに書いていたが、現代の日本で本当に実力があり努力していれば、認められないわけがない。(戦争中の日本では才能が埋もれてしまう可能性もあったが)

 つまり、この文句タレ子さんが認められないのは、才能や努力が足りない、ということだ。酷な言い方かもしれないが、私もそう思う。


 群さんは、本についてのエッセイを書くのが一番好きな仕事、とおっしゃっていた。私も、群さんの作品のなかで、そのジャンルが一番好きだ。
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夢野久作「ドグラ・マグラ」

2006-12-12 13:20:18 | Weblog
 奇書ということで有名なので一度は読みたいと思っていたが、正直いって読みやすい本ではない。何度も中断したが「とにかく読み通さなければ」という義務感で最後まで辿り着く。

 うーん、ヨタ話のぎっしり詰まった壮大な大ヨタ話という感じですね。

 ストーリーとしては、狂人が自分を発狂させフィアンセを殺させた犯人を探す、という物だが論理的な筋道を期待してはいけない。
 どこまでが現実でどこまでが悪夢かわからない。永久に醒めない悪夢を繰り返し繰り返し見ている気がする。


 中国唐の玄宗皇帝の時代の絵師が、自分の最愛の妻を絞殺し描いた死美人画にまつわる因縁が、すべて物語を支配している。
 最初は美しかった死体が、だんだんドス黒く醜く変化し、腹が腐敗ガスでポッコリ膨れ、その後肉がこびりついた白骨になるまでを6枚の絵に描きとめる。

 こういうのが好きな人にはゾクゾクする描写だろうが、私にはげっそりだなぁ。屍姦したくて、土葬されていた死体を掘り起こす話も出てくるが、想像しただけでNG。

 再び読み返したいという本ではないですね。
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小谷野敦「帰ってきたもてない男」

2006-12-07 11:00:13 | Weblog
 ”猫まんま”さんが教えてくれたので、さっそく図書館で予約。楽しみにして読んだ。
 前作は、文芸案内書かエッセイか評論か分からないような体裁だったが、今回はエッセイ風にスッキリまとまっており、とても読みやすかった。


 しかし…この人はこの本の中で一体何回「ブス」と書いているんだろうか? 村上龍が自分の小説の中で「ブス、ブス、ブス」と何回連呼しても別に問題にはならないだろうが、国際日本文化研究所センター客員助教授、東大非常勤講師が「ブス、ブス、ブス」と叫ぶと、さすがにまずいんじゃないだろうか?
 そんな心配をしてしまうほど「ブス」が、どっさり出てくる。


 相変わらず小谷野氏は、自分がもてないことを「背が低いから」「運動神経が鈍いから」「楽器が弾けないから」「男子校出身だから」etcと理屈をこじつけている。
 しかし、東大大学院卒という最高級のブランド包装紙で包んでも売れない、売れても返品されるというのは、ぶっちゃけ中身が悪いからではないだろうか? 悪いと言うより腐ってる?……


 彼は、後ろの方に「七か条の求婚条件」というのを載せている。これがまあ、正直でいいといえばそうなんだろうけど、40歳を過ぎたいい大人が、よく文章化するなぁ、という内容。興味のある人は読んでください。

 また「出会い系サイト」潜入、「結婚相談所」潜入体験レポートもあり、すごく面白い。特に後者の「結婚相談所の入会勧誘おばさん」との仁義なき戦いは本当に笑えます。
コメント (7)
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