私の読んでいる夕刊に「主人公たちのカルテー精神科医が読む文学」という連載があり、その中で、この「歯車」が紹介されていた。
たしか高校生の時、この「歯車」を読んだ事がある。その時の印象は…あまり覚えてないなぁ。これが36歳で自死した芥川の遺稿らしい。
僕は、自分の視野のうちに、絶えず回っている半透明な歯車を見る。歯車は次第に数が増え、半ば僕の視野を塞いでしまう。が、それも長い事ではない。
しばらく後に消えるが、今度は頭痛が始まる。
眼科医からは、タバコを止めるように言われるが、タバコをすわなかった若い時も、その歯車は時々現われ、僕を苦しめていた。
こういった症状を抱えながらも、僕は日常生活をおくっている。誰かが、僕を眠っているうちにそっと絞め殺してくれないかと、願いながら。
この“僕”は芥川のことだろうけど、読んでいて気の毒になる。すべての事象に悪意を見出す。例えば、公園のブランコが揺れているのを見て絞首台を思い出したり、スリッパが片方しかないと不安になったり…。
これでは神経がすり減るのは当然だよ。
こういった神経過敏なところが、芥川の作品の質を高めているんだろうが、本人は苦しいだろう。
病院に通院し、薬もちゃんと飲んでる。町で友達に会えば世間話はするし、歩いていれば崇拝者に声を掛けられる。(芥川には迷惑だろうが)
お子さんは可愛いし、奥様は優しい。女給さん芸者さんにはモテるし、有名だから出版社に前借りできる。
でも事態は悪くなる一方。
しかし、これで良かったのかも。大正デモクラシーの時代でも、ここまで不安なんだもの。これから一気に軍国主義に傾斜していく世の中で生きる事は、本当に辛いだろう。
たしか高校生の時、この「歯車」を読んだ事がある。その時の印象は…あまり覚えてないなぁ。これが36歳で自死した芥川の遺稿らしい。
僕は、自分の視野のうちに、絶えず回っている半透明な歯車を見る。歯車は次第に数が増え、半ば僕の視野を塞いでしまう。が、それも長い事ではない。
しばらく後に消えるが、今度は頭痛が始まる。
眼科医からは、タバコを止めるように言われるが、タバコをすわなかった若い時も、その歯車は時々現われ、僕を苦しめていた。
こういった症状を抱えながらも、僕は日常生活をおくっている。誰かが、僕を眠っているうちにそっと絞め殺してくれないかと、願いながら。
この“僕”は芥川のことだろうけど、読んでいて気の毒になる。すべての事象に悪意を見出す。例えば、公園のブランコが揺れているのを見て絞首台を思い出したり、スリッパが片方しかないと不安になったり…。
これでは神経がすり減るのは当然だよ。
こういった神経過敏なところが、芥川の作品の質を高めているんだろうが、本人は苦しいだろう。
病院に通院し、薬もちゃんと飲んでる。町で友達に会えば世間話はするし、歩いていれば崇拝者に声を掛けられる。(芥川には迷惑だろうが)
お子さんは可愛いし、奥様は優しい。女給さん芸者さんにはモテるし、有名だから出版社に前借りできる。
でも事態は悪くなる一方。
しかし、これで良かったのかも。大正デモクラシーの時代でも、ここまで不安なんだもの。これから一気に軍国主義に傾斜していく世の中で生きる事は、本当に辛いだろう。