ケイの読書日記

個人が書く書評

横溝正史「夜歩く」

2005-12-21 16:29:18 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 今度は、犬神家ではなく、古神家の一族のお話です。

 それにしても、どうして横溝正史の作品の中には、不倫、男色、近親相姦が多く使われているんだろう。

 不倫、男色(ボーイズラブではない。衆道です)はともかく、近親相姦だけは、私は受け付けないなあ。それがオカルティックな雰囲気を作っているのは確かだけど……。

 だから、彼の作品には、過去の不倫や近親相姦が殺人事件の遠因になっているケースがすごく多い。


 それに『古池のように血が濁っている』家ばかりでてくる。たとえ名門でも、何代も続いた旧家と言うのは、そうなる宿命なんだろうか。生活無能力者ばかりだ。

 
 しかし、この「夜歩く」の良い所は、金田一耕介さんが珍しく活躍している所。
後半になってやっと登場しましたが、自信を持って推理を展開しています。 
 こういうところを読むと、ああ、はじめちゃんのおじいちゃんなんだなあ、と嬉しくなります。
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北村薫「ニッポン硬貨の謎ーエラリークイン最後の事件」

2005-12-16 14:19:53 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 エラリー・クイン生誕100周年記念出版。

 アメリカの作家で名探偵のエラリー・クインが1977年の来日の際、日本の難事件を見事に解決。そのことを小説にしたものが死後見つかって、その遺稿を北村薫が翻訳する、という筋立て。


 正直言って、あまりにもマニアックなので、読むのに努力がいりました。ミステリは好きだけど、そんなに詳しくない私にとって、このパスティーシュが、いったいどこまでは現実でどこからが虚構か、よくわからない。

 だいたい、エラリー・クインの国名シリーズも『エジプト十字架の謎』しか、読んでいない。それも、うーんと前の子どものころに。だから、内容は忘れてしまっている。
 でも、国名シリーズをみな読んで見なければ、って思いますよね。このエラリー・クインと小町奈々子の対談を読むと。


 その対談の中に、後期の作品の代表として、「緋文字」がでてきます。
 私、これを2年ほど前に読んだことあるけど、それほどいい作品とも思わなかった。ストーリーはいいけど、後半出てくるダイイングメッセージがあまりにも強引で、それが全体の印象を損ねています。


 しかし、エラリー・クインの作品中に出てくる引用文や注が、創作だということになると、いったい何を信じて読み進めればいいのか、頭が混乱してきます。
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横溝正史「八つ墓村」を読んで

2005-12-11 10:48:47 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 「八つ墓村」は何度も映画化、テレビドラマ化、マンガ化されているので、私もすっかり分かっているような気になっていましたが、そういえば読んでいなかった。

 この事件の最後のしめくくりで、金田一耕介が「今度の事件では、ぼくに良い所は少しも無かった」と言う場面がありますが、本当にそう。というか、金田一さんが登場しなくても、話としては完結している。
 金田一さん、何のためにいるの?って思います。

 
 物語としては、「ABC殺人事件」と「Yの悲劇」を和風にして、もっと血みどろに、もっとむごたらしくした感じ。


 横溝正史は、ディスクン・カーが大好きなようですが、よくわかります。
 カーは、とても優れたホラー小説に無理やりトリックを押し込め、かえって出来を悪くしている気がしますが(失礼!)横溝正史は、無理な作為はせず、オカルト情緒たっぷりに仕上げています。
 日本を代表するホラー小説だと思います。
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再び「犬神家の一族」

2005-12-05 11:48:17 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 昨夜、「犬神家の一族」をこのテーマサロンに投稿したはずなのに、どうもトラックバックに失敗したみたい。

 で、もし横溝正史「犬神家の一族」の読書感想を読みたいと思われる方がいらしたら、下の「前のページへ」をクイックしてください。
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横溝正史「犬神家の一族」を読んで

2005-12-04 17:48:48 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 本当は「本陣殺人事件」を読みたくて図書館に行ったのだが、あいにく無くて、これを借りてきた。でも正解。

 
 昭和20年代前半、信州、生糸で財を成した孤児、その一族、遺言書、衆道、不倫、復員兵、絶世の美女、迷路のようなお屋敷、離れ、血みどろの猟奇的な連続殺人


 横溝正史のエッセンスが満載!!

 トリックがどうの、推理がこうの、と言うんではない雰囲気がすばらしい。


 どこまで続くかと思われる長い長い廊下。迷路のようなその廊下に沿って無数の座敷があり、どの座敷にも人影は無くて、屋敷全体がしいんと静まりかえっている。まるで座敷わらしが出てきそうだ。
 『離れ』と言っても、独立した玄関があり部屋数も5間ほど、渡り廊下で母屋につながっている。それに、この離れにまた茶室風の『離れ』が付いている。


 すんごいお屋敷!!ああー、一度でいいからこうゆう所に一晩泊まって屋敷内を探検したいなあ。


 私は自分が狭い所にちぢこまって暮らしているせいか、ドイルやクリスティの小説の中にでてくるヴィクトリア朝時代の古い大きいお屋敷にも、興奮してしまいます。


 かんじんの金田一耕助氏は、今回もあまり役に立ちませんでした。4人殺害されて、犯人には自殺されるし、散々でした。殺人を未然に防いで欲しいです。
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