ケイの読書日記

個人が書く書評

江國香織「とるにたらないもの」

2006-08-31 17:47:02 | Weblog
 本当にとるにたらないエッセイだなぁ。それなりに江國香織の感性がキラリと光っているとは思うが、これで税込み¥1,260は高すぎる。買う人がいるんだろうか?いるんだろうね。ファンだったら、やはり揃えたいと思うだろう。
 私は図書館で借りたからよかったけど。

 いつも感じるんだが、江國香織の本のタイトルって、誰がつけてるのかなぁ。
 本人? それとも編集者?  ネーミングのセンス悪いと思う。

 悪口ばかり書いてしまったが、別に江國香織が嫌いなわけではありません。すごい才能の持ち主だと思ってます。
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エラリー・クイン「ギリシャ棺の秘密」

2006-08-26 16:58:14 | Weblog
 盲目の老富豪ハルキスが死んだ。葬儀は厳粛に執り行われ、遺体は教会墓地に埋葬された。しかし彼の遺言状が消失し、捜査も空しく何の手がかりも得られない。
 大学を出たばかりのエラリーは棺の発掘を主張。そこから出たものは第2の死体だった!!


 この作品はエラリィと同程度の知能を有する真犯人が、エラリィにしか分からないような、かすかなヒントを残し、エラリィを間違った推理に導くという頭脳戦で、話が二転三転し、正直いって読みにくい。

 ただこの作品の魅力は、大学を出たてのエラリィの初々しさ。(4作品目だが、設定年代は一番古い)
 第1~3の作品では、エラリィのような若造になぜこんなに遠慮するんだろうと思うぐらい、エラリィは他のベテランを抑えて勝手気ままに振舞っているが、時代がうんとさかのぼるこの作品では、地方検事のサンプソンや、お父さんのリチャード・クイン警視にこっぴどく怒鳴られている。



「彼ら(東部の弁護士会の一流)の弁論に出会ったら、おまえの頼りない論理なんか、スイスチーズみたいに穴だらけにされてしまうさ。わしが見たって穴だらけだ。いいか、エラリィ、穴だらけなんだぞ!!」
 リチャード・クイン警視が顔を真っ赤にして、がなりたてている姿が目に浮かぶようです。

 いいなぁ。やっぱり親子はこうでなくっちゃ。
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エラリー・クイン「オランダ靴の謎」

2006-08-20 14:59:01 | Weblog
 この作品の特徴は、前の2作品と比べ、エラリーが苦戦する所。有効な手が打てず、第2の殺人が起こってしまう。
 苦悩するエラリー。
 捜査が進展しないと周りから責められ、父親のリチャード・クインも体調をくずしてしまう。

 まあ、最後には華々しく解決するのですが…。


 解決編の所で、エラリーの推理を読んでいくうちに、ああそうだ、どうしてこんな事が分からなかったんだろう!犯人はこの人しかありえない!!という事になるが、今回の場合、あまりにも動機が弱い。だから、意外な犯人で驚くというより、拍子抜けする。
 前作2作品に比べると少し落ちるかな、というのが正直な感想。


 しかし、第2の殺人が防げなかったと悩むなんて、エラリーはなんて良心的なの。金田一耕介なんか、容疑者の半分以上が死ななければ、絶対解決しません。
コメント (2)
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小谷野敦「もてない男」

2006-08-16 10:18:36 | Weblog
 いったいコレは何なのでしょうか?ご本人はエッセイと主張しているらしいが文芸案内書とでも言うべきものなのかな。


 題名は「もてない男」とあるが、決して著者はもてない訳ではない。ただ自分の理想とする「知的な才能のある美人」からは相手にされないだけで、理想を下げればモテるということらしい。

 著者のいう「知的な才能のある美人」というのは「良家の」知的な才能のある美人ということのようで、いくら美人で頭が良くても水飲み百姓の娘はお断りという雰囲気ぷんぷん。


 しかし、しかしですよ。モテない男同士が飲み屋で「雨夜の品定め」をしているならともかく、こんなことわざわざ本にして一体どうするんだろうか?
 アタマとカオの両方を望むから相手がいない、と嘆くなら、片方の条件を人工的に作り出したら?
 例えば、知性が著者にとって合格点なら、カオの方を美容整形によって補うとか。

 男が女になれる時代です。容姿の美しさを手に入れることなど(お金はかかるでしょうが)簡単でしょう。


 この著者の小谷野敦って、どういう人なんだろう。少女マンガやレディスコミックを好む成人男性は結構いますが、名香智子が好きな男性は珍しいんじゃないだろうか?
コメント (11)
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エラリー・クイン「フランス白粉の謎」

2006-08-11 10:05:36 | Weblog
 ご存知、国名シリーズ第2弾。1作目の「ローマ帽子の謎」よりも面白い。

 
 ニューヨーク5番街にそびえたつ人気デパートの展示室から転がり出た女の死体。その死体には、どういう訳だか、くちびるの半分しか紅が塗られていなかった。一体どうして?


 国名シリーズお約束の読者への挑戦状のところで、私もじっくり犯人が誰か推理してみたが、うーん分からない。
 1作目もそうだけど、この「フランス白粉の謎」でも登場人物が多すぎるよね。それで、解答編を読んでみる。
 いつものように探偵役のエラリー・クインの長い長い論理的考察が延々と述べられている。
 確かにつきつめていくと、犯人はその人しかいなくなる。納得!

 こうやって、謎が解けてしまうと、「どうして、こっちの方向から事件にアプローチしなかったんだろう」と自分のふがいなさを悔やむ。

 しかし、最大の謎、くちびるの上半分しか紅が塗られてなかった理由が、これでは弱すぎるような気がする。
 女はそんなことで紅を塗るのを途中で止めたりしません。


 最後に気になることを一つ。この時代としては(1930年前後)しかたがないことだろうけど、人種的偏見が強い表現が多々見られる。残念です。
コメント (2)
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