暗黒へ向かう時代昭和13年、神津恭介が旧制第一高等学校2年の時、彼の同級生が一高本館正面の時計台の中から、跡形もなく忽然と姿を消した。まるで煙のように…。
木原敏江の少女マンガ「摩利と新吾」を思い出すなぁ。旧制高校を舞台としたマンガや小説は大好きなので、私としてはこの「わが一高時代の犯罪」はとても楽しめたが、推理小説としては平凡。
トリックもたいしたものは無く、姿を消した理由も偽一高生らしい不気味な男の素性も分かりやすい。
ただ推理小説としては凡作だが、軍国主義に日本全体が覆われていた時代、一高生が何を考え、何を思い、何に悩んだかが、かなりリアルに書かれている。
高木彬光は自分の母校を愛していたんだね。
作品中、カフェの女給に神津たちが罵られる場面がある。
「あんたたちぐらいの若い男はね。みんな兵隊へいってお国のために命をささげて働いてんのよ。それを何さ。役にもたたない学問をして筋も通らない理屈をこねて、あげくのはては歯の浮くようなきざっぽい愛の告白とやらをやらかして…。いまどきのような非常時には、そんな寝言は通用しないよ」
高木彬光も、そういった申し訳なさを感じていたんだろうか?
木原敏江の少女マンガ「摩利と新吾」を思い出すなぁ。旧制高校を舞台としたマンガや小説は大好きなので、私としてはこの「わが一高時代の犯罪」はとても楽しめたが、推理小説としては平凡。
トリックもたいしたものは無く、姿を消した理由も偽一高生らしい不気味な男の素性も分かりやすい。
ただ推理小説としては凡作だが、軍国主義に日本全体が覆われていた時代、一高生が何を考え、何を思い、何に悩んだかが、かなりリアルに書かれている。
高木彬光は自分の母校を愛していたんだね。
作品中、カフェの女給に神津たちが罵られる場面がある。
「あんたたちぐらいの若い男はね。みんな兵隊へいってお国のために命をささげて働いてんのよ。それを何さ。役にもたたない学問をして筋も通らない理屈をこねて、あげくのはては歯の浮くようなきざっぽい愛の告白とやらをやらかして…。いまどきのような非常時には、そんな寝言は通用しないよ」
高木彬光も、そういった申し訳なさを感じていたんだろうか?