シリーズ第5弾! 英国での奇跡調査からの帰り、悪天候で交通事故にあい、ホールディングスという田舎町に滞在することになった平賀とロベルト。
その町には、黒髪に赤い瞳のハンサムな吸血鬼が現れ、次々と人を襲っていた。教会が退治に乗り出すが、逆に牧師様がやられてしまう。警察は、吸血鬼は教会の管轄だと言って動こうとしない。宗派は違うが、バチカンの神父である平賀とロベルトがかかわることになる。
不死身の吸血鬼は、現代でも本当に存在するのか?
イギリスは、ほとんどの人が英国国教会の信者なので、ここではバチカンの威光は通用せず、冷たくあしらわれる。(イギリスではカトリックは1割にも満たないそうだ) それに、一応21世紀の話のはずだが、このホールディングスという町は、中世の城下町のようで、領主を筆頭に、その親せき・遠戚、聖職者、中間層、貧しい人々と身分が固定化していて、読んでいてグリム童話を読んでいるみたいな気になる。
なんせ、領主の城で舞踏会がある時、招待された人々は、馬車で城の門まで行って、門の前でずらりと並び、お城の執事に名前を呼ばれると、粛々と中に入っていくのだ。シンデレラかよ!この話は!!
領主様はとても裕福で、小作料を取らず、土地を領民に貸し与えている。
でも、本当は、労働党政権下のイギリスでは、屋敷や土地にべらぼうな税金がかかり、貴族様はとっても大変だという。だから、観光客に城の一部を公開し、入館料を取っているんだろう。
最後に、平賀やロベルトが、城や吸血鬼の秘密を科学的に解明しようとしているが、成功したとは言えない。ホラー小説としてもイマイチ。吸血鬼物としても、とにかく官能が足りない!! 大幅に。
シリーズ物は進んでいくにつれ作品としての魅力は薄れるが、キャラに対しては、どんどん愛着が増す。しかし、このシリーズでは…。主人公は平賀だが、あまりにも淡白で愛着を持ちにくいね。作者も書きあぐねているんではないか?まだロベルトの方が、魅力を感じる。
そのせいなのか、この第5作では、ロベルトの方が活躍している。