ケイの読書日記

個人が書く書評

佐藤俊樹「不平等社会日本 さよなら総中流」

2010-09-28 11:18:53 | Weblog
 そんな事、言われなくてもわかってるよーーー!!っていうタイトルですね。

 筆者の言いたかった事を、私なりに要約すると、
「日本のエリートは、親もエリートで、その人的・経済的・文化的資産を受け継いで、自分もエリートコースに乗っているだけなのに、それをコロッと忘れ、日本社会は一応平等だから自分の実力でエリートになったと思っている。
 そこが、イギリスのような階級社会のエリートとは決定的に違う。階級社会の生まれながらのエリートが常に意識している『高貴な義務(ノブレス・オブリージュ)』を全然持っておらず、非常に利己的だ」…という事でしょうか。

 だから、筆者も世の中を流動化するために、色々な案も提案しているんだが…。無理じゃないの? というのが私の感想。

 そりゃ、無理でしょうよ。戦争に負けて世の中が大混乱に陥った時代は、実力でのし上がってくる人も出てくるでしょうが、この平穏な世の中ではね。

 会社だって『年功序列』を止めて『実力主義』に、とか言ってるが、車を何台売ったかで評価されるセールスマンならともかく、管理職をどうやって正当に評価するの?

 『実力』と聞いて一番イメージするのは芸人さんの世界だね。親がいくら有名芸人でも、笑いが取れなかったらアウトだもの。(もちろんデビューのときは他の人よりチャンスを早くもらえるだろうけど)
 二世芸能人は多いけど、成功している二世芸人は少ないんじゃないだろうか?
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堀井憲一郎「若者殺しの時代」

2010-09-23 21:33:04 | Weblog
 すごいタイトルだけど、内容はさほど過激ではない。

 この堀井氏は1958年生まれ。私と同い年なんだね。(正確には堀井氏は2月生まれなので学年は1つ上)だから、色んな社会事象について、うなずける事が多い。
 
 例えば、クリスマスやバレンタインデーなど、今では皆さん、縄文時代からやってたと思っているんじゃないかなぁ。違います。私の子どもの頃は、たいしたイベントではなかった。
 私など、クリスマスに親からプレゼントをもらったことは無いです。
 「我が家は仏教徒」が、父親のクリスマス前の口癖だった。
 バレンタインについても…私の中学生時代に広まりだした覚えがある。

 犯罪では「よど号ハイジャック事件・1970年」と「宮崎勤事件・1989年」にも言及している。
 「よど号ハイジャック事件」は子供心にもショックだったなぁ。民間機をハイジャックしてまで、母国を捨て北朝鮮に渡りたい人がこの世にいるとは信じられなかった。 
 そこまでして行った連中が、日本に帰りたいと帰国したんだってね。

 それから、団塊の世代(全共闘世代)に対する否定的なイメージに共感します。
「この時代の大学生は、政治に関心があるふりをすることで、ずいぶん忙しかった」「赤軍派が暴走を始める(あさま山荘事件・1972年)ころ、大学生はあっという間に政治活動から離れていく。もともとかっこいいし、もてそうだから政治的発言をしていたまでで、それが終わってしまえば、別のスタイルでいくだけである」などなど、拍手したい。
 自分達の取った行動にたいし、責任を持ってほしいね。若かったからなんて言い訳しないで。
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樋口康彦「崖っぷちの高齢独身者」

2010-09-18 10:48:02 | Weblog
 高齢独身者と書いてあるから、夫や妻に先立たれた50代・60代の人の事だろうと思って手に取ったが、全く違う。
 この新書では、平均初婚年齢をもとに38歳以上の独身男性、33歳以上の独身女性を高齢独身者と定義している。

 この樋口康彦先生は、1965年大阪生まれ。専門は教育社会心理学。
 現在は、大学の教員をしていらっしゃる。


 帯に「お見合いパーティ(114回)と、結婚相談所で見合い(68人)を極めた筆者が、結婚を妨げる要因をズバリ解説」と書かれてあるので、めでたくゴールインして婚活を止めたのかと思ったが、どうもそうではないらしい。(つまり独身) びーっくり!!

 ご本人の公式ブログも見たけど、容姿もまあまあ。それに教育社会心理学者ということで、女性が興味を持ちそうな職業だと思うけど…そうではないのかなぁ。

 
 小谷野敦の『もてない男』を読んだ時も感じたけど、高望みしすぎ!  自分の知人・友人に「これがボクの妻です」と言って、美しい女性を紹介したいのは理解できるが、当の美女達からNGを出されているんだから、いいかげん諦めたら?


 この樋口先生も小谷野先生も、美人は永久に美人、不美人は永久に不美人と思い込んでいるみたい。
 結婚が決まって、ウェディングエステなどに通って、あまりパッとしなかった女性が、みるみるキレイになっていく事はよくあります。
 この人たちも、そういう女性を見つけなきゃ。












コメント (2)
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岸本葉子「刺激的生活」

2010-09-13 15:19:57 | Weblog
 先日、デパートへ行った。時間があったので、隣にある大型書店へ行く。
ぶらぶらしていたら、この本が目に留まる。
 『刺激的生活』か…。岸本葉子大好きな私だが、この本は読んでなかったな。(岸本さんは売れっ子エッセイストとはいっても、重版になることは、まず無い。ただ、本はいっぱい出している。ひょっとしたら100冊くらい出ているかもしれない)

 立ち止まって考える。税込み1260円か。2007年初版発行だし、岸本さんだから他に予約が入っている事は無いだろう(失礼!)
 図書館で探せば、すぐ読めるな。
 いやいや、ここで買えば2割の印税は彼女に入る。今は落ち着いているとはいえ、闘病生活も大変で物入りだったろう。
 ここはひとつ、ファンとして買わなければ!ということで購入。
 ああ、貧乏人はツライ!! 本がぱっぱっと買える身分になりたいです。

 しかし、本をあまり買わず図書館を利用するのは、金銭的な理由もあるが、それ以外に本がたまって置くスペースに困る問題の方が切実。
 だから、いろいろ批判はあるようだが、電子書籍のソフトがもう少し充実してきたら買うつもり。

 そうそう、本書の内容は…どこが刺激的?! 看板に偽りあり!と抗議したいほど低刺激なエッセイ。
 その刺激の無さが岸本さんの魅力なのよね。

 人間に慣れないといわれたスズメが、手のりスズメになる話など、癒されるお話が満載です。
 
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小倉千加子「シュレーディンガーの猫」

2010-09-08 11:20:26 | Weblog
 小倉千加子は、上野千鶴子と並び称されるフェミニズムの権威。こう書くとすごくおっかない人のようだけど、実際は芸能ネタの大好きな柔らかな文章を書く人です。
 なんせ『松田聖子論』という論文を書いた事もある。1952年生まれ。

 この『シュレーディンガーの猫』は、1990年から2005年にかけて新聞や新聞系週刊誌に載せたエッセイを集めたもの。
 朝日、読売、毎日、などなど大手ばかりです。

 やっぱり古いですね。(初出が1990年~2005年だから、今読めば古いのは当たり前だが)女子大の教授を長く勤め、女子大生の就職観や結婚観を題材としてエッセイをたくさん書いているが、ズレてるなぁ。
 今の女子大生は、もっと必死だと思う。


 面白かったのは『林真理子論』(他にも中村うさぎ論というのも載っているが、これは中村うさぎを持ち上げすぎ)
 美しい女流作家がマスコミにチヤホヤされている中、美しくない事を一種の武器として戦っている彼女は、カッコイイ。
 泥臭いほどメジャー志向の彼女は、ヘンに高尚な文化人、趣味人を気取ってないので清々しい。
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