ケイの読書日記

個人が書く書評

岸本葉子「女の旅じたく」

2010-02-28 10:48:56 | Weblog
 「旅じたく」…か。素敵な響きだなぁ。そういえば、泊りがけの旅行なんてこの7年ほど行ってないなぁ。

 なにせ、私の実家もダンナの実家も車で10分ほどの所なので、お正月も元旦に両方の実家に日帰りで年始に行くだけで、泊まるなんてことはない。
 スキーも、ダンナと子どもとその友達で出掛け、私はお留守番。スキーは下手だし、寒いのは嫌いだし、その方が快適なのだ。

 筆者の岸本さんは、旅のエッセイの仕事やプライベートで、あちこちに出かけることが多い。その岸本さんの鞄の中をのぞいて見ると…

 誰でも荷物を減らしたいと思っているが、彼女は徹底している。化粧品は日数分小分けして、専用小型ボトルに詰め替えるし、ガイドブックは必要な所をカッターで切り取って持って行くらしい。
 なんせ、シャープペンシルの芯の本数まで減らすそうだ。すごいね。
 でも、宿備え付けの夜着は薄くて着られないとパジャマを持ち込むし、きちんとした服装を好む人なので、どうしても洋服が多くなってしまう。
 それなら、宅配便で荷物を宿まで送ればどうだろう?お金はかかるけど、荷物はぐんと少なくなるよ。

 それから、ネットで宿を予約するとべらぼうに割安になるらしい。
それも、ホテルのホームページとは別の宿泊予約サイトが、よりお得!…らしい。

 でも旅行に行く予定はないものね。残念。
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京極夏彦「魍魎の匣」

2010-02-23 14:19:52 | Weblog
 これは秀作。すごく面白い。厚さ45mmの文庫だが一気に読める。特に後半。

 箱を祀るヘンテコな霊能者、家出した二人の少女、美少女転落事故、かつての人気女優、あちこちで見つかるバラバラな腕や脚、マッドサイエンティスト、巨大な箱型研究所…色んなものが脈絡なく登場するが、最後にはキレイにつながっていく。
 まるで、きちんと箱に整理整頓されたみたいに。

 京極堂オールスターズの探偵・榎木津、小説家・関口、刑事・木場たちが、それぞれ自分の持ち味を発揮して活躍し、物語は進んでいく。

 (そうだよね。先回読んだ「塗仏の宴」では、榎木津は天才バカボンのパパだし、関口は最初から最後までくらげのようにフニャフニャしていたし、木場は浪花節のおっさんのようだった。キャラが崩れすぎ。)

 それにもまして今回の京極堂はカッコイイ!必殺仕事人みたい。
 どうしてこんなに今回はカッコイイのかというと、京極堂のいつもの学術的妖怪話が比較的少なかったせいではないだろうか?
 あれは冗長。彼の魅力を半減させる。「塗仏の宴」では全体の1/5ほどを、その学術的妖怪論で占めていて苦痛だった。
 だいたい、目で字を読むからなんとなく分かったような気になるけど、木場や関口が耳で聞いても全然理解できないだろう。

 次に読む予定の「狂骨の夢」は、京極堂のあの話が少ない事を祈ります。
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チェスタトン「ブラウン神父の知恵」

2010-02-18 18:35:12 | Weblog
 サクサクと京極夏彦「魍魎の匣」を読んでいるはずなのだが、さすが京極堂シリーズ。手ごわい。まだ全体の1/4くらいしか読めていない。
 でも、「塗仏の宴」よりはうんと読みやすい事は確か。

 ということで、今回も昔読んだ読書メモから「ブラウン神父の知恵」をUPしようっと。

 前にも書いたが、チェスタトンのブラウン神父シリーズは言い回しが独特で、難しい言葉がたくさん使ってあるので、読むのにすごく時間がかかる。
 短篇ばかりだから読み切れるが、これが5巻も続く長編だったら、いかにブラウン神父が魅力的でも、読み終えるかどうかわからない。

 それに、短篇で作品数が多いので、トリックが似かよってくる。二人一役のトリックが多いのよね。クリスティもそうだけど。
 意外性があって面白いけど、ごく親しい人間だったら騙せないと思うけどなぁ。

 この作品集でちょっと毛色が変わっているのは「銅鑼の神」。黒魔術ヴードゥー教の事が出てきたので驚いた。
 ヴードゥーといえばハイチなどの中米。わざわざ大西洋を渡って来たんだね。
 黒人といえばアメリカを思い出すが、イギリスにもたくさん移民してきているのかな。
 ただ、ニグロという言葉が出てきて驚く。これって使っていいんだろうか? まあ、この作品が書かれた19世紀後半から20世紀前半では、当たり前だったかもしれないが…。
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京極夏彦「塗仏の宴・宴の始末」

2010-02-13 12:41:21 | Weblog
 先日読んだ「塗仏の宴・宴の支度」の解決編。

 京極堂シリーズで私が読んだ他の作品は「姑獲烏の夏」だけだが、その「姑獲烏の夏」からこの「塗仏の宴」までいくつもの事件があって(魍魎の匣・狂骨の夢・鉄鼠の檻・絡新婦の理etc)それらの関係者がどっと、この解決編に登場し、ただでさえキャストが多くて混乱しているのに、ますます混沌としてくる。

 おまけに、色んな宗教団体やら政治結社やら風水やら占い師やらが、ゴチャゴチャにいがみ合い戦うので、何がなんだか分からない。
 最終盤になると、色んなものがそぎ落とされて、事件の発端となった伊豆山中の一つの集落が丸ごと消失するという出来事と結びついてきてホッとする。
 長かったなぁ。ここまで来るのに。


 それにしても、探偵役の榎木津ってこんなキャラだったっけ。この口調ではまるで天才バカボンのパパ。その他のメンバーもキャラが濃いというか、くどくて読むのに疲れます。そのなかで京極堂は比較的サッパリしてますね。

 また、凄腕の催眠術師が出てくる。催眠術に掛かりにくい人もいるはずなのに、彼にかかれば100人が100人とも、思うように操れる。
 でもそうなると、なんでも自由自在にできるから、つまらないよね。

 文句ばかり書いた。確かにあまり出来が良い作品ではないと思う。しかし、京極堂のほかのシリーズも読んでみようか、と思わせる魅力はある。
 「魍魎の匣」が一番の傑作なんだろうか?
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チェスタトン「ブラウン神父の醜聞」

2010-02-08 17:36:01 | Weblog
 ごめん。京極堂がまだ読み終わらない。あと1/4ぐらいだから、次回には間に合うと思うけど。
 
 で、5年ほど前に読んだ『ブラウン神父の醜聞』をUPする。その時の自分の読書ノートに「『古書の呪い』は秀作。他は…たいしたことない」と書いてあったので、早速『古書の呪い』を再び読み返してみる。
 うーん、秀逸ですなぁ。
 この文庫の後表紙に内容の紹介文があって、その中に「5人の人物が全員消失するという、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に先んじたような実に例のない作品『古書の呪い』をはじめ…」という箇所があったが、期待を裏切らない出来。

 まあ、チェスタトンの短篇をよく読んでいる人だったら、トリックを見破れるかもしれないが、「技あり!一本!」というカンジです。

 オープンショウ教授の特徴のあるキャラクター、この時代の心霊現象の流行、全く動じないブラウン神父の乾いたユーモア、読者をぐいぐい引き込む話の展開、そして最後の鮮やかなどんでん返し。

 このオープンショウ教授は、コナン・ドイルがモデルなんだって。
 確かにドイルは晩年、心霊現象に凝っていたよね。というより、この時代のヨーロッパが心霊現象ブームだったらしい。
 クリスティの小説にもよく題材として使われています。
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