ケイの読書日記

個人が書く書評

香山リカ「イヌネコにしか心を開けない人たち」

2011-10-27 15:19:51 | Weblog
 こういったタイトルの新書を出す香山リカ自身が、イヌ1匹ネコ5匹と暮らしているからなぁ…。
 確かに、人間よりもイヌ・ネコを愛してしまう心理は問題だけど、ネコは可愛いから。

 我が家にも、みぃ太郎というオスの雑種がいる。今は大学生の三男が中2の時に拾ってきた。中学校正門に段ボールの箱が置かれ、その中に子猫が捨てられていたらしい。
 ダンナが犬は好きだけど猫は嫌い!という人だったので心配したが、ブツブツ言いながらも、今ではダンナも可愛がっている。

 猫嫌いの人でも、飼えばやっぱり情が移るよ。
 ポカポカ温かい陽だまりで、お腹を丸出しにして気持ち良さそうに寝ている姿を見ると、猫って平和の象徴だなと思う。
 子どもたちはケータイの待ち受けにしている。
 ちなみに、我が家のみぃ太郎は、1日20時間寝ているね。(猫も去勢手術してない自然のままだと、発情期には2,3日くらい眠らずにメス猫追いかけて、遊びまわっているらしいが)

 しかし…最近のペット飼育事情から考えれば、猫の不妊・去勢手術は仕方のない事だろうが、かわいそうな気もする。
 人間の勝手な都合で、自分の子孫を残す事が出来ないなんて。


 私の子どもの頃(40年以上前)さすがに犬は鎖につないであったが、猫は完全室内飼育の人などおらず、飼い猫でも好き勝手に外を歩き回っていた。
 だから、猫に花壇を荒らされたり、表に出してあったゴミ袋を破られたりというご近所トラブルはあった。
 でも、私はそんなに気にならなかったね。後から箒とチリトリで片付ければいいじゃん。

 野良ちゃんだって、生きていかなくっちゃ。
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米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」

2011-10-22 10:37:44 | Weblog
 ミステリ?ホラー?ファンタジー? うーん、なんと形容していいのか分からない。不思議な読後感。米澤穂信は、初めて読むけど、他の作品もこんなカンジなのかな?

 5つの連作中短篇集。すべて粒揃いで面白いが、特に『北の館の罪人』『山荘秘聞』がいいかなぁ。
 すべての作品に「バベルの会」という上流階級の子女しか入会できない読書会が出てくる。(メインではないけどね)


 最後の作品で「バベルの会」の会長が、会から除名した人にこう告げる。
「バベルの会とは、幻想と現実とを混同してしまう儚い者たちの聖域なのです。現実のあまりの単純さに、あるいは複雑さに耐えきれない者がバベルの会には集まってきます。」
「ただの偶然を探偵小説のように味わい、何でもない事故にも猟奇を見い出す。」

 彼女達の読書量の豊富な事!

海野十三「地獄街道」
エラリー・クイン「10日間の不思議」
泉鏡花「外科室」
小酒井不木「メジューサの首」
浜尾四郎「夢の殺人」
江戸川乱歩「夢遊病者の死」「二廃人」
谷崎潤一郎「柳湯の事件」
志賀直哉「濁った頭」   などなど


 ああ、また私の「読みたい本リスト」が増えてしまうじゃないか!!
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奥泉光「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」

2011-10-17 11:25:22 | Weblog
 クワコーこと桑潟幸一は、千葉にある『たらちね国際大学』の准教授。

 准教授なんて私の身内や友人にいないし、犯罪学の火村英生くらいしか知らないので、その生態がわからない。
 ほとんど女子しかいない大学の先生だから、クワコーはモテモテだろうな、さぞスタイリッシュな生活をおくっているだろう、と想像し読み進めたが…クワコー悲惨。クワコーかわいそー。顧問となっている文芸部のパシリではないか!!

 少子化の影響で、たらちね国際大学も毎年定員割れが続いて、学生さんはお客様、決してご機嫌を損ねないように、上司から言い渡されているのである。
 しかもクワコー、他の大学から移ってきて1年目という事が影響しているのか、月額手取りで110350円! 大学教師として10年のキャリアがある40歳なのに。 手当てが全く付かない。ボーナスも出るかどうかわからない。
 いくらなんでもひどくない?

 しかし、作者の奥泉光は、近畿大学の現職教授らしいから、この数字にまったく根拠が無いわけでもあるまい。


 文芸部には、ジンジンこと神野仁美という、黒のTシャツ・黒のジーンズ・黒のニット帽をかぶっている部員がいて、彼女は家賃が払えなくてアパートを追い出され、大学の敷地内に段ボールとブルーシートで家を作って住んでいる。
 このホームレス女子大生の推理力や行動力が抜群なのだ!

 クワコーの周りで起きるミステリアスな事件(研究室で起きる怪奇現象・盗まれた手紙や書類)をスラスラ解決。しかも解決したのはクワコー先生という事にしてあるので「クワコー名探偵」という評判が一部にはある。

 地味な事件だけど、推理部分はキチンとしている。でもこの本の面白さは、クワコーVS文芸部員の掛け合い漫才にあるね。
 続編が出たら是非読みたいです。
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ウォルター・サタスウェイト「リジーが斧をふりおろす」

2011-10-11 14:32:07 | Weblog
 リジー・ボーデンは実在の人物。
 1892年、マサチューセッツの名士の娘・リジーは、父と継母を斧で斬殺したとして逮捕された。しかし、彼女は裁判で無実を主張。認められて釈放される。しかし世間はリジーがやったと囃し立てる。

 この作品は、リジーのその後を書いているフィクション。

 事件が迷宮入りしてから、ほぼ30年。海辺に避暑に来ていた少女アマンダは自分の隣の家で暮らすのが、あの悪名高いリジー・ボーデンであると知り、驚く。
 しかしリジーはとても好感が持てる年配の女性で、2人はすぐ仲良くなる。
 そんなある日、昼寝から目覚めたアマンダは、大嫌いな継母が斧で滅多切りされているのを発見!驚いてリジーに助けを求める。

 警察署長は、リジーが再び斧で人を殺したと思い込んでいて役に立たないので、リジーは自分で探偵を雇って情報を集め、真犯人を絞り込んでいく。ミス・マープルみたいに。

 ふーん、悪名高いリジーが名探偵役か…。こういった設定もあったんだ。


 継母殺しは誰か?一応、推理仕立てにはなっているが、さほど興味を引かない。
 それよりも、無罪となったが本当はリジーが殺しているに違いないと思い込んでいる群集に、リジーが罵倒される場面や、黒人がいかに不当な扱いを受けているかや、この時代の禁酒法がいかに馬鹿げた法律であったか、を書くことに作者の情熱が向けられているような気がする。
 読み終えて、やや散漫な印象を受ける。
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柳田国男「遠野物語」

2011-10-06 13:25:54 | Weblog
 明治の末頃、民俗学者・柳田国男は、岩手県遠野の青年の訪問を受け、彼の故郷の山神山人伝説を筆記し始める。
 この有名な『遠野物語』を私はずーっと読みたいと思っていたが、なかなかその機会がなかった。
 でも、2ヶ月ほど前、マンガチックなカバーが付いた、この本に出会って手に取る。

 日本という国は平地が少なく、ほとんどが山間地だから、こういった山男・天狗・河童の伝説がいたるところにあったんだろうね。今はもう忘れられているが…。


 しっかし、これらを山の神というべきか…はっきり言って、日本の神様って人間に利益をもたらさず、祟るだけ。祟られるのが怖いから、お供えしたり祀ったり…まるでヤクザのみかじめ料みたい。
 これが多神教の世界なんだろうか?

 自分たちの能力を超えた力を持つ存在を、とりあえず神様にしておこう、という事なんだろう。

 メルヘンチックな話もある。よく知られているのがザシキワラシ(座敷童)。それにマヨイガ(迷い家)
 人が山道に迷い、マヨイガに行き当たる。素晴らしい屋敷で、庭には花が咲き乱れ、牛小屋や馬小屋にはたくさん牛馬がつながれている。
 玄関より上がれば、多くの膳やお椀が用意されていて、火鉢には火がおこって鉄瓶には湯がわいている。しかし、一向に人はいない。
 山男の家かと、怖ろしくなって逃げ出す。
 後で、村の年寄りに聞くと、それはマヨイガと言って、そのマヨイガから膳やお椀を持ち出すと長者になるという。


 そういえば…亜愛一郎の推理小説の中に、このマヨイガを題材にした作品があったなぁ。
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