ちょっと前、TVドラマで『鍵のかかった部屋』というのをやっていた。私はドラマはほとんど見ないが、面白そうだったので全回見る。
へー、これって貴志祐介の原作か…と知り、『鍵のかかった部屋』を図書館で予約すると、当然ながら数十人待ち。
防犯の専門家・榎本(大野智)、弁護士の青砥純子(戸田恵梨香)、純子の上司の法人専門弁護事務所所長(佐藤浩市)の3人組とはしばらく会えないな、と諦めていたら、図書館の書架でこの『硝子のハンマー』を見つける。
TVドラマでは、この『硝子のハンマー』は最終回だったが、原作では、このシリーズ最初の作品なんだ。
キャラも少しずつ違っていて、TVでは、榎本の純子に対する好意は隠されているが、原作では露骨!に口説いてます。
あと、原作では、純子の上司の所長がいないのが残念。
あの金儲けの事しか考えていない所長が、いい味出してたのにね。
そうそう、大事なことがあった。TVドラマでは、榎本が密室の謎を考えている時に、耳のそばで指をこすり合わせ、鍵を開ける仕草をして「密室は解けました」という決めポーズ・決めぜりふがあったけど、原作にはそれがない。だから、ちょっと物足りない気がするな。
トリックとしては、すごく考えられた本格の密室ものだけど、ややこしい。
私はTVドラマを見ていたので、理解しやすかったが、小説だけでトリックを理解しようとすると大変。
それから、著者紹介を読んで気が付いたんだが、1959年生まれで京都大学経済学部卒だから、綾辻行人と同期なんだ。デビューはうんと遅いけど。
へーぇ、あの時代の京都大学は、すごい人がいっぱいいたんだね。
へー、これって貴志祐介の原作か…と知り、『鍵のかかった部屋』を図書館で予約すると、当然ながら数十人待ち。
防犯の専門家・榎本(大野智)、弁護士の青砥純子(戸田恵梨香)、純子の上司の法人専門弁護事務所所長(佐藤浩市)の3人組とはしばらく会えないな、と諦めていたら、図書館の書架でこの『硝子のハンマー』を見つける。
TVドラマでは、この『硝子のハンマー』は最終回だったが、原作では、このシリーズ最初の作品なんだ。
キャラも少しずつ違っていて、TVでは、榎本の純子に対する好意は隠されているが、原作では露骨!に口説いてます。
あと、原作では、純子の上司の所長がいないのが残念。
あの金儲けの事しか考えていない所長が、いい味出してたのにね。
そうそう、大事なことがあった。TVドラマでは、榎本が密室の謎を考えている時に、耳のそばで指をこすり合わせ、鍵を開ける仕草をして「密室は解けました」という決めポーズ・決めぜりふがあったけど、原作にはそれがない。だから、ちょっと物足りない気がするな。
トリックとしては、すごく考えられた本格の密室ものだけど、ややこしい。
私はTVドラマを見ていたので、理解しやすかったが、小説だけでトリックを理解しようとすると大変。
それから、著者紹介を読んで気が付いたんだが、1959年生まれで京都大学経済学部卒だから、綾辻行人と同期なんだ。デビューはうんと遅いけど。
へーぇ、あの時代の京都大学は、すごい人がいっぱいいたんだね。
図書館で見つけ、映画化されたと聞いていたので、すぐ借りる。
30代キャリアウーマン5人を、それぞれ主人公とした5つの中編集。
彼女たちのキャリアがすごいのだ。
大手不動産会社に入社して14年目。営業3課課長の肩書がついた女性。
大手生命保険会社の広報課勤務。入社12年目。マンションを買おうとする女性。
300人に1人という超難関を突破して広告代理店に入社し10年。誰もが振り返る美人社員。
自動車メーカーに就職し、32歳で離婚、シングルマザーに。今年36歳になる営業部の女性。
老舗文具メーカーに入社10年目。イケメン新人君の指導に当たる女性。
うわ~!! すごい人ばっかり! 会社の業績不振リストラとか結婚退職を勧められたとか、一切なし。ものすごく恵まれた職場の総合職女性ばかりを描いている。
特に、友人がマンションを買ったので、自分もマンションを買おうとする大手生命保険会社・広報課勤務の女性。
なんと!!! 彼女は家賃16万の賃貸に住んでいるのだ! えええええ??? 大手生命保険会社って、日本生命みたいな所がモデルだろうけど、そんなに給料がいいの?入社12年目、本社勤務の女性だよ。
いっくらなんでも月16万円の家賃が払えるとは…。ブランド物の服やエステや海外旅行にも行っているようだし。
という事は、手取りHOW MUCH? あーーー妬ましい!!
でも、社員のそんな高給は、生命保険加入者の支払う保険料が支えてるってことでしょう? 世間並みの給与だったら、支払保険料はもっと下がるんだ!
だから、インターネットの生命保険に、顧客をどんどん奪われるんだ。
今、生命保険の外交員さんたちも、どんどん辞めてるもんね。
お金の事ばかりを考えさせられた1冊でした。
30代キャリアウーマン5人を、それぞれ主人公とした5つの中編集。
彼女たちのキャリアがすごいのだ。
大手不動産会社に入社して14年目。営業3課課長の肩書がついた女性。
大手生命保険会社の広報課勤務。入社12年目。マンションを買おうとする女性。
300人に1人という超難関を突破して広告代理店に入社し10年。誰もが振り返る美人社員。
自動車メーカーに就職し、32歳で離婚、シングルマザーに。今年36歳になる営業部の女性。
老舗文具メーカーに入社10年目。イケメン新人君の指導に当たる女性。
うわ~!! すごい人ばっかり! 会社の業績不振リストラとか結婚退職を勧められたとか、一切なし。ものすごく恵まれた職場の総合職女性ばかりを描いている。
特に、友人がマンションを買ったので、自分もマンションを買おうとする大手生命保険会社・広報課勤務の女性。
なんと!!! 彼女は家賃16万の賃貸に住んでいるのだ! えええええ??? 大手生命保険会社って、日本生命みたいな所がモデルだろうけど、そんなに給料がいいの?入社12年目、本社勤務の女性だよ。
いっくらなんでも月16万円の家賃が払えるとは…。ブランド物の服やエステや海外旅行にも行っているようだし。
という事は、手取りHOW MUCH? あーーー妬ましい!!
でも、社員のそんな高給は、生命保険加入者の支払う保険料が支えてるってことでしょう? 世間並みの給与だったら、支払保険料はもっと下がるんだ!
だから、インターネットの生命保険に、顧客をどんどん奪われるんだ。
今、生命保険の外交員さんたちも、どんどん辞めてるもんね。
お金の事ばかりを考えさせられた1冊でした。
ラッシュ時の地下鉄の中の殺人的な混み具合の中で、人間は何を考えているのか…?
彼女に振られたばかりの自意識過剰な大学生・イチカワ。
20代後半のさえない独身サラリーマン・ニノミヤ。
痴漢に狙われて被害にあっているが、恥ずかしくて怖くて「やめてください」と抗議できない女子高生・シノハラ。
知り合いでも友人でもないシノハラを、なんとか痴漢から助けようと、満員電車の中でもがくOL・ミカミ。
この4人に焦点を当てて物語は進行していく。
しかし、この中のニノミヤが、なかなかいいヤツなんだ。気に入ってしまった。
容姿についての描写はほとんど無いが、読んでいるとドランクドラゴンの鈴木を思い出す。ほら、塚地じゃない方。売れてない方。
背は普通で、痩せていて血色が悪く、いかにも覇気が無さそうな若い男がイメージとして浮かぶ。
独身、家賃6万円の1Kのアパートに住む。スポーツニュースを見ながら晩酌するのが好き。ギャンブルはやらない。ローヤルゼリーの入っている栄養ドリンクに頼り切っている。
座席に座った時、足をひっこめ、なるだけスリムになるようにしているニノミヤは、電車に乗りなれた女性に人気があるようで、数少ない座った機会の際、前に女の人が来ることが多い。いやではないが、不用意に眺め回すこともできず、下方に視点を固定していなければならないのが面倒だ。
ね?! ニノミヤは結構、紳士でしょ?
他にもニノミヤは自分で「順応性に長けていることが取り柄だ。どんな環境でも、リラックスした者の勝ち」と自己充足をモットーとしている。
ふう、彼ら彼女らは、地下鉄の中で哲学しているわけですよ。予想に反して、面白く読みごたえがあった。
彼女に振られたばかりの自意識過剰な大学生・イチカワ。
20代後半のさえない独身サラリーマン・ニノミヤ。
痴漢に狙われて被害にあっているが、恥ずかしくて怖くて「やめてください」と抗議できない女子高生・シノハラ。
知り合いでも友人でもないシノハラを、なんとか痴漢から助けようと、満員電車の中でもがくOL・ミカミ。
この4人に焦点を当てて物語は進行していく。
しかし、この中のニノミヤが、なかなかいいヤツなんだ。気に入ってしまった。
容姿についての描写はほとんど無いが、読んでいるとドランクドラゴンの鈴木を思い出す。ほら、塚地じゃない方。売れてない方。
背は普通で、痩せていて血色が悪く、いかにも覇気が無さそうな若い男がイメージとして浮かぶ。
独身、家賃6万円の1Kのアパートに住む。スポーツニュースを見ながら晩酌するのが好き。ギャンブルはやらない。ローヤルゼリーの入っている栄養ドリンクに頼り切っている。
座席に座った時、足をひっこめ、なるだけスリムになるようにしているニノミヤは、電車に乗りなれた女性に人気があるようで、数少ない座った機会の際、前に女の人が来ることが多い。いやではないが、不用意に眺め回すこともできず、下方に視点を固定していなければならないのが面倒だ。
ね?! ニノミヤは結構、紳士でしょ?
他にもニノミヤは自分で「順応性に長けていることが取り柄だ。どんな環境でも、リラックスした者の勝ち」と自己充足をモットーとしている。
ふう、彼ら彼女らは、地下鉄の中で哲学しているわけですよ。予想に反して、面白く読みごたえがあった。
タイトルが「アレグリアとは仕事はできない」だから、アレグリアというのは外国人研修生か何かの名前で、日本で働き始めて、職場の日本人と文化的摩擦でも起こしているんだろうか?と思ったが…。
なんと!! アレグリアとはコピー機の名前なのだ。コピー機というか、もうちょっと上等のスキャナ・プリンタ機能も併せ持つ複合機。品番YDP2020、商品名アレグリア。へぇー!!
女主人公ミノベは、地質調査会社に勤める事務員で、当然のことながらコピー機をよく使う。スキャナ機能・プリンタ機能は男性社員がよく使い、すこぶる調子がいいのだが、コピー機能はしょっちゅう故障し、サポートセンターに何度も電話するので、サポセンの女性従業員が嫌がっているのがわかるほど。
それに、修理に来るサービスマンは、きまって終業時間ギリギリなのだ。
このムカつくコピー機との仁義なき戦いが書かれている。
しかし、いくら故障ばかりするといっても、たかだかコピー機を「ビッチ」だの「性悪女」だのと罵るだろうか? そこまでコピー機を擬人化する?
いやいや、私の使っているコピー機は、そもそもこんなに故障しないし、サポートセンターに電話しても、サービスマンも1~2時間ほどで来てくれるから、さほど腹も立たない。
でも中には、サービスマンに「いっそのこと、あいつを葬りましょう。この機会に」と言わせるほどひどいコピー機もあるのだろう。
そういったコピー機に当たらなくて本当に良かった!
津島記久子は、地味な芥川賞作家だが、独特のユーモアがあり、だんだん好きになってきました。
なんと!! アレグリアとはコピー機の名前なのだ。コピー機というか、もうちょっと上等のスキャナ・プリンタ機能も併せ持つ複合機。品番YDP2020、商品名アレグリア。へぇー!!
女主人公ミノベは、地質調査会社に勤める事務員で、当然のことながらコピー機をよく使う。スキャナ機能・プリンタ機能は男性社員がよく使い、すこぶる調子がいいのだが、コピー機能はしょっちゅう故障し、サポートセンターに何度も電話するので、サポセンの女性従業員が嫌がっているのがわかるほど。
それに、修理に来るサービスマンは、きまって終業時間ギリギリなのだ。
このムカつくコピー機との仁義なき戦いが書かれている。
しかし、いくら故障ばかりするといっても、たかだかコピー機を「ビッチ」だの「性悪女」だのと罵るだろうか? そこまでコピー機を擬人化する?
いやいや、私の使っているコピー機は、そもそもこんなに故障しないし、サポートセンターに電話しても、サービスマンも1~2時間ほどで来てくれるから、さほど腹も立たない。
でも中には、サービスマンに「いっそのこと、あいつを葬りましょう。この機会に」と言わせるほどひどいコピー機もあるのだろう。
そういったコピー機に当たらなくて本当に良かった!
津島記久子は、地味な芥川賞作家だが、独特のユーモアがあり、だんだん好きになってきました。