ケイの読書日記

個人が書く書評

ケイの心の俳句

2012-09-27 15:11:25 | Weblog
みぃ太郎 やっぱり君は 男前
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貴志祐介「硝子のハンマー」

2012-09-25 14:17:45 | Weblog
 ちょっと前、TVドラマで『鍵のかかった部屋』というのをやっていた。私はドラマはほとんど見ないが、面白そうだったので全回見る。
 へー、これって貴志祐介の原作か…と知り、『鍵のかかった部屋』を図書館で予約すると、当然ながら数十人待ち。

 防犯の専門家・榎本(大野智)、弁護士の青砥純子(戸田恵梨香)、純子の上司の法人専門弁護事務所所長(佐藤浩市)の3人組とはしばらく会えないな、と諦めていたら、図書館の書架でこの『硝子のハンマー』を見つける。

 TVドラマでは、この『硝子のハンマー』は最終回だったが、原作では、このシリーズ最初の作品なんだ。
 キャラも少しずつ違っていて、TVでは、榎本の純子に対する好意は隠されているが、原作では露骨!に口説いてます。
 あと、原作では、純子の上司の所長がいないのが残念。
 あの金儲けの事しか考えていない所長が、いい味出してたのにね。

 そうそう、大事なことがあった。TVドラマでは、榎本が密室の謎を考えている時に、耳のそばで指をこすり合わせ、鍵を開ける仕草をして「密室は解けました」という決めポーズ・決めぜりふがあったけど、原作にはそれがない。だから、ちょっと物足りない気がするな。

 トリックとしては、すごく考えられた本格の密室ものだけど、ややこしい。
 私はTVドラマを見ていたので、理解しやすかったが、小説だけでトリックを理解しようとすると大変。


 それから、著者紹介を読んで気が付いたんだが、1959年生まれで京都大学経済学部卒だから、綾辻行人と同期なんだ。デビューはうんと遅いけど。
 へーぇ、あの時代の京都大学は、すごい人がいっぱいいたんだね。
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奥田英朗「ガール」

2012-09-20 14:52:33 | Weblog
 図書館で見つけ、映画化されたと聞いていたので、すぐ借りる。

 30代キャリアウーマン5人を、それぞれ主人公とした5つの中編集。
 彼女たちのキャリアがすごいのだ。

 大手不動産会社に入社して14年目。営業3課課長の肩書がついた女性。
 大手生命保険会社の広報課勤務。入社12年目。マンションを買おうとする女性。
 300人に1人という超難関を突破して広告代理店に入社し10年。誰もが振り返る美人社員。
 自動車メーカーに就職し、32歳で離婚、シングルマザーに。今年36歳になる営業部の女性。
 老舗文具メーカーに入社10年目。イケメン新人君の指導に当たる女性。

 うわ~!! すごい人ばっかり!  会社の業績不振リストラとか結婚退職を勧められたとか、一切なし。ものすごく恵まれた職場の総合職女性ばかりを描いている。

 特に、友人がマンションを買ったので、自分もマンションを買おうとする大手生命保険会社・広報課勤務の女性。
 なんと!!! 彼女は家賃16万の賃貸に住んでいるのだ! えええええ??? 大手生命保険会社って、日本生命みたいな所がモデルだろうけど、そんなに給料がいいの?入社12年目、本社勤務の女性だよ。
 いっくらなんでも月16万円の家賃が払えるとは…。ブランド物の服やエステや海外旅行にも行っているようだし。
 という事は、手取りHOW MUCH?  あーーー妬ましい!!

 でも、社員のそんな高給は、生命保険加入者の支払う保険料が支えてるってことでしょう? 世間並みの給与だったら、支払保険料はもっと下がるんだ!
 だから、インターネットの生命保険に、顧客をどんどん奪われるんだ。
 今、生命保険の外交員さんたちも、どんどん辞めてるもんね。

 お金の事ばかりを考えさせられた1冊でした。
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津村記久子「地下鉄の叙事詩」

2012-09-15 20:32:43 | 津村記久子
 ラッシュ時の地下鉄の中の殺人的な混み具合の中で、人間は何を考えているのか…?

 彼女に振られたばかりの自意識過剰な大学生・イチカワ。
 20代後半のさえない独身サラリーマン・ニノミヤ。
 痴漢に狙われて被害にあっているが、恥ずかしくて怖くて「やめてください」と抗議できない女子高生・シノハラ。
 知り合いでも友人でもないシノハラを、なんとか痴漢から助けようと、満員電車の中でもがくOL・ミカミ。

 この4人に焦点を当てて物語は進行していく。

 しかし、この中のニノミヤが、なかなかいいヤツなんだ。気に入ってしまった。
 容姿についての描写はほとんど無いが、読んでいるとドランクドラゴンの鈴木を思い出す。ほら、塚地じゃない方。売れてない方。
 背は普通で、痩せていて血色が悪く、いかにも覇気が無さそうな若い男がイメージとして浮かぶ。
 独身、家賃6万円の1Kのアパートに住む。スポーツニュースを見ながら晩酌するのが好き。ギャンブルはやらない。ローヤルゼリーの入っている栄養ドリンクに頼り切っている。
 座席に座った時、足をひっこめ、なるだけスリムになるようにしているニノミヤは、電車に乗りなれた女性に人気があるようで、数少ない座った機会の際、前に女の人が来ることが多い。いやではないが、不用意に眺め回すこともできず、下方に視点を固定していなければならないのが面倒だ。

 ね?! ニノミヤは結構、紳士でしょ?

 他にもニノミヤは自分で「順応性に長けていることが取り柄だ。どんな環境でも、リラックスした者の勝ち」と自己充足をモットーとしている。

 ふう、彼ら彼女らは、地下鉄の中で哲学しているわけですよ。予想に反して、面白く読みごたえがあった。
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津村記久子「アレグリアとは仕事はできない」

2012-09-10 08:56:26 | 津村記久子
 タイトルが「アレグリアとは仕事はできない」だから、アレグリアというのは外国人研修生か何かの名前で、日本で働き始めて、職場の日本人と文化的摩擦でも起こしているんだろうか?と思ったが…。

 なんと!! アレグリアとはコピー機の名前なのだ。コピー機というか、もうちょっと上等のスキャナ・プリンタ機能も併せ持つ複合機。品番YDP2020、商品名アレグリア。へぇー!!

 女主人公ミノベは、地質調査会社に勤める事務員で、当然のことながらコピー機をよく使う。スキャナ機能・プリンタ機能は男性社員がよく使い、すこぶる調子がいいのだが、コピー機能はしょっちゅう故障し、サポートセンターに何度も電話するので、サポセンの女性従業員が嫌がっているのがわかるほど。
 それに、修理に来るサービスマンは、きまって終業時間ギリギリなのだ。
 このムカつくコピー機との仁義なき戦いが書かれている。

 しかし、いくら故障ばかりするといっても、たかだかコピー機を「ビッチ」だの「性悪女」だのと罵るだろうか? そこまでコピー機を擬人化する? 

 いやいや、私の使っているコピー機は、そもそもこんなに故障しないし、サポートセンターに電話しても、サービスマンも1~2時間ほどで来てくれるから、さほど腹も立たない。
 でも中には、サービスマンに「いっそのこと、あいつを葬りましょう。この機会に」と言わせるほどひどいコピー機もあるのだろう。
 そういったコピー機に当たらなくて本当に良かった!

 津島記久子は、地味な芥川賞作家だが、独特のユーモアがあり、だんだん好きになってきました。 
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