ケイの読書日記

個人が書く書評

酒井順子 「男尊女子」 集英社

2022-09-09 14:46:15 | 酒井順子
 酒井順子さんは、自分ではフェミニストだと思っているらしいが…失礼ながら、ものすごく図々しいというのが私の印象。

 フェミニストという人は、私の中では、上野千鶴子、土井たか子、辻元清美といった若い頃から女性の権利を声高に叫び、戦ってきた人たちのこと。この「若い頃から」というのが大きなポイント。

 例えば「夫婦別姓」。「別姓だと家族としての一体感が無くなる」と自民党は言ってるらしいでど、結婚した夫婦の3組に1組が離婚するこの時代に、最初から別姓の方が子どもの負担も少ないと思う。それに何といっても、男一人が家族を養わなければ!というプレッシャーが弱まるんじゃないかな? 女の方も、特別な事情がない限り、自分の食い扶持くらい自分で稼がなければって思うだろうね。とにかく夫婦別姓はこの先、避けられないよ。
 当然、酒井順子さんも「夫婦別姓」肯定派だけど、それではいつから肯定派に?って思ってしまう。
 酒井さん、若かりし頃は、気に入った異性の姓と自分の名前を組み合わせ、ニヤニヤしていたんじゃない?
 こういう所が信用できない。

 酒井さんは、バブル真っ盛りの時代に若い頃を過ごし、男に貢がせてなんぼ、という価値観を持っていた人。それが、自分の年齢が上がり時代も変わって、異性の視線を感じなくなると、さっとフェミニストの看板を掲げるなんて図々しいよ。昔から、女性の地位向上を闘ってきた人たちに申し訳なくない?

 確かに自分の僻みもあるとは思うが、違和感を感じてしまう人って少なくないと思うよ。

 それからもう一つ。彼女が参加する女子会の話題が、あまりにもあけすけ。こんなに自分の性生活を友達に話さなくちゃ、仲良くなれないの? 怖いよ。酒井さんは、小学校から私立のお嬢様女子校に通っていたから、その影響なんだろうか?
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酒井順子 「ズルい言葉」 角川春樹事務所

2018-04-20 14:27:51 | 酒井順子
 「ズルい言葉」か…。酒井さんは「ある意味」「嫌いじゃない(否定の否定)」「どこか懐かしい」「普通」「もしアレだったら」などなど挙げているけど、これってズルいというより、直接的に言うより婉曲的に表現する方が良いとする日本人の価値観から来るんじゃないかなぁ。回りくどいとは思うが。
 酒井さんが挙げた言葉の中で一番ズルいと思うのは「ある意味」。本当に便利だね。「ある意味」というんだから別の意味もあるんだろうか。これを文章に使うと、深く思考しているという印象を人に与える。本当は何も考えていないのに。

 私が個人的にズルいと感じる言葉は「考えておきます」かなぁ。昨年度まで町内会の役員をやっていて、引っ越してきた世帯に「町内会に入りませんか?」と勧誘していた。
 はっきり「興味ありません」「入りません」と意思表示をしてくれる人は、分かりやすくていいけど、「考えておきます」という人には困った。
 どうだろう。世間的には「考えておきます」って、体のいい断り言葉だよね。でも拒否されている訳じゃないので、再度、勧誘に行く。でも、しつこいと思われるのも嫌だしなぁ…と、人を悶々とさせる言葉。

 読んで、たいして面白いエッセイ集でもなかったが(失礼!)言葉がズルいというより、酒井順子さんの人生が、ズルい!!!(もっと失礼)と感じてしまう。バブル絶頂期に20代を過ごした人だもの、本当に良い思いをしている。
 若い人から、世代についてイヤミを言われると「あの時代は、今と違ってうんと人工的で派手で楽しかったなぁ。あなた達はその時代を知らず、可哀想にねえ。生まれてから今まで、ずっと地味ーーーーに暮らしてるんでしょ?」と余裕で返す。
 ズルいぞ!すごぉぉぉぉくズルいぞ!!!!酒井さん。
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酒井順子 「忘れる女 忘れられる女」  講談社

2018-03-23 12:43:10 | 酒井順子
 『週刊現代』2016年7月9日号から2017年8月19・26日合併号連載のエッセイ49本を収録してあるので、比較的新しいネタが満載。
 衆院選で負ける前の小池百合子さんの満面の笑み(筆者は独身子なし女性の代表として、小池さんを応援しているようだ) ベッキーの謝罪に共感が集まらないのは髪が長いせいじゃないか(今はカットしている)おお、小保方晴子さんやピコ太郎の名前もある。懐かしいなぁ。

 正直なところ、筆者とは生育環境が全然違うので、いつも共感という訳ではないが『お酒という麻薬』という章には、心底共感した。
 意外だけど、酒井さんって下戸なんだね。だから、お酒を飲まない酒井さんが「人生の愉しみの半分を知らない」とか「下戸の人って、よくシラフでセックスとかできるよね」という非難めいた言葉を投げかけられ、憤慨する気持ちはよく分かる。
 普段は常識的で温厚な人が、酔っ払って暴力的になり困っているのに、酒の席の事だからと、あまり問題にならないのもおかしいと思う。


 実は今、実家の母のアルコールの事で、ほとほと困り果てている。もともと酒好きだったが、父が生きている時は、たまに飲む程度だった。それが25年ほど前、父が亡くなると毎晩、晩酌。でも当時は、孫育てや習い事、趣味や旅行があったので、晩酌ですんでいた。
 ところが、年を取って、いままで好きだった趣味や旅行にも興味を示さなくなる。もちろん認知症もある。
 昼間から、いや朝から飲んでいる事がある。週3回実家に通っているのだが、ドアを開けると、朝からアルコール臭がぷーーーーん。本当に嫌だ。
 近所の人からも苦情があるので注意すると「この程度の酒で酔う訳ないだろ」「おまえが近所で母親の悪口を触れ回るので、皆よそよそしくなった」とか、逆ギレしてくる。
 ああ、いやだいやだ。何でこうなるんだろうね。

 アルコール依存症の本を読んだら、地域の保健所に相談するのが良いと書いてあったので、月に2回ある相談日に予約して行ったら…「今のお母さんの状態が、アルコールのせいなのか、認知症のせいなのか、薬のせいなのか、それとも複合的なものなのか、あなたの話では判断できませんので、一度、アルコール依存症専門医に診てもらったらどうですか?」とアドバイスされた。
 でもね、アルコール依存症に特化した病院というのはほとんど無くて、精神病院の一部門にアルコール依存症外来があるんだ。
 ああ、敷居が高い。世間体もある。まだ決断できてない。
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酒井順子 「ギャルに小判」 

2018-02-15 17:10:30 | 酒井順子
 前回、前々回のブログは、なかなかシリアスな本を取り上げてたので、今回はちょっと軽めのものを…と読んだのが、このエッセイ。「ギャル」という普通名詞が古めかしい。時代を感じる。これ、初出は1994年だってね。
 酒井さんは1966年生まれだから、彼女28歳の時に出版されたもの。

 酒井さんって、高校生の時に、『オリーブ』という雑誌にコラムを載せていたらしい。すごい!!! 現役高校生コラムニスト! こういうのって、どういうツテで依頼が来るんだろうか? 知り合いが編集部にいた? それとも自分で売り込みに行くんだろうか? そこら辺のところを、もっと書いてもらいたいのにね。
 とにかく、彼女の所へ、その原稿料10万円が現金書留で送られてきたらしい。
 図書券とかじゃなくて、お金で払ってもらえるんだ。すごいなーーーー!

 そのあと酒井さんは、付属の大学に行って大手広告代理店に就職。3年で辞め文筆業へ。とんとん拍子で売れっ子エッセイストになり現在に至る。

 あーーーこの人って、お金で苦労した事、ないだろうね。酒井さんの小学校時代はサンリオのキティちゃんが大流行で、いろんなものが欲しかったけど、月額500円のお小遣いでは買えるものは限られていて、お金持ちの友達が羨ましかった、とか、高校生の時はDCブランドブームで、洋服をバンバン買ってくれるお金持ちの親を持つ子に、憎しみに近い感情を持つようになった…とか書いてるけど、自分の家も十分お金持ちじゃん! そうじゃなきゃ、私立小学校の学費なんて払えないよ。

 そして、酒井さんの会社員時代は、バブルという事もあり本当に華やか。お友達と連れだってハワイに出掛け、あるいは現地で友達と合流して、涼しい時間帯はビーチ、暑くなるとショッピングセンターをぶらついて、疲れたらお茶を飲みながら買い物三昧。ああ、いいなぁ。
 ただ、この時代は酒井さんたちだけじゃない、多くの日本の若い女性が、買い物フリークになってたんだよね。


 そして、この本が出版された1994年、世の中は不況です。ただ、酒井さんの仕事は相変わらず順調らしく「私も、バブルの崩壊まで会社に勤め続けていれば、ちょっとは不況な気分を味わう事ができたかもしれない」なんて、ノーテンキな事を書いている。
 「フリーの立場って、バブルとか景気とかは関係ない真空地帯にいるようなもの」って書いてもいらっしゃるが、そんなことはない!!! フリーの人が一番、景気の動向に左右される。それを感じないってことは、実力があるって事なんでしょう。
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酒井順子 「朝からスキャンダル」  講談社

2017-08-04 13:33:43 | 酒井順子
 「週刊現代」連載中のエッセイ 2015年7月4日号~2016年7月2日号 から45本をまとめて掲載しているのが本書。11冊目らしい。ということは11年連載が続いているって事?! 結構、人気あるんだ!

 週刊誌の連載なので、スキャンダルを題材にしたものが多いが、それってタイムリー感が大事で、今更ベッキーの不倫についてあれこれ書いてあってもなぁ…というのが、正直な感想。その中で古くなっていないタイトルが『初めての詐欺被害』


 酒井さん、どうも偽のネットショッピングサイトに引っかかったもよう。
 夏にプールがある宿に泊まる予定だった酒井さん。久しぶりに水着を新調しようとネットを見ていたら素敵な水着が載っているサイトを発見! お金を振り込み、商品の到着を楽しみに待っていたが、なかなか届かない。
 忘れた頃にやっと、中国から謎の包みが届く。開けてみると水着なのだが、色も形もサイズもブランドも違う。メールで問い合わせると「調査するから、送られてきた水着の写真を送信してほしい」と連絡があり、送ったがなしのつぶて。その後、まったく連絡がつかなくなる。

 典型的な詐欺サイト。酒井さんが払ったお金は、2万円。
 しかし…いくら安物でも水着は送っているし、送料はかかるし、人件費もかかる。詐欺師たちは、たいして儲かっていないんじゃないの? ヘンな心配をしてしまうなぁ。


 私も、お金の被害はなかったが、すっかりダマされた事がある。
 ずいぶん前、三男が小学校低学年だったころ。夜、1本の電話がかかって来て「〇〇動物園の落とし物係の物だが、かわいい巾着袋が届いている。中を調べるとA君の物らしい。でもA君の家の電話番号が分からないから、電話が掛けられない。メモが中にあって友達の電話番号は書いてあるから、あなたの所に電話している。A君の家の電話番号を知らないか?」と言われた。
 ちょうどプライバシー保護が問題になっていて、クラス名簿にも電話番号は載っていないし、子どもに尋ねても知らないというので、「申し訳ないが分からない」と伝えた。
 それでも相手は「この巾着袋は明日の朝になると処分されてしまう。それでは可哀想。なんとかA君の連絡先を知りたい」と食い下がってくる。
 私はその時、落とし物係って仕事熱心なんだなと感心していた。

 ところが、その後真相が明らかに。
 しばらくして、学級懇談会の席で、担任の先生が「最近、業者と思われる人たちが嘘をついて電話番号を聞き出そうとしているから、気を付けて!」とおっしゃるではないか! そうか、あの電話が!と合点がいった。そうだよね、勤務時間外の夜間に、どうして落とし物係がわざわざ電話してくるの。バカバカしい。
 私は知らなかったので、電話番号を業者に伝えることは無くて実害はなかったが、気分が悪い。
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