ケイの読書日記

個人が書く書評

京極夏彦「魍魎の匣」

2010-02-23 14:19:52 | Weblog
 これは秀作。すごく面白い。厚さ45mmの文庫だが一気に読める。特に後半。

 箱を祀るヘンテコな霊能者、家出した二人の少女、美少女転落事故、かつての人気女優、あちこちで見つかるバラバラな腕や脚、マッドサイエンティスト、巨大な箱型研究所…色んなものが脈絡なく登場するが、最後にはキレイにつながっていく。
 まるで、きちんと箱に整理整頓されたみたいに。

 京極堂オールスターズの探偵・榎木津、小説家・関口、刑事・木場たちが、それぞれ自分の持ち味を発揮して活躍し、物語は進んでいく。

 (そうだよね。先回読んだ「塗仏の宴」では、榎木津は天才バカボンのパパだし、関口は最初から最後までくらげのようにフニャフニャしていたし、木場は浪花節のおっさんのようだった。キャラが崩れすぎ。)

 それにもまして今回の京極堂はカッコイイ!必殺仕事人みたい。
 どうしてこんなに今回はカッコイイのかというと、京極堂のいつもの学術的妖怪話が比較的少なかったせいではないだろうか?
 あれは冗長。彼の魅力を半減させる。「塗仏の宴」では全体の1/5ほどを、その学術的妖怪論で占めていて苦痛だった。
 だいたい、目で字を読むからなんとなく分かったような気になるけど、木場や関口が耳で聞いても全然理解できないだろう。

 次に読む予定の「狂骨の夢」は、京極堂のあの話が少ない事を祈ります。
コメント (6)
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