ケイの読書日記

個人が書く書評

三浦しをん 「桃色トワイライト」 新潮文庫

2018-12-06 09:31:08 | 三浦しをん
 面白い!!! 1976年生まれのしをんさんの20代終わりころの日常を綴ったエッセイ。先回呼んだ『乙女なげやり』より少し後。私の中学・高校時代に、しをんさんのような同級生がいたら、仲良くなれたのに…なんて妄想している。私の方が18才も年上だけど。

 エッセイを読んで驚かされるのは、仕事関係では無い同年代の友人が本当に多く、頻繁に会っていること。彼女は私立の中高一貫の女子校を卒業していて、結束が強いんだろうか? さぞ楽しい学校生活がおくれたんじゃないかと思う。うらやましい。

 女性の20代終わり頃って、同級生が次々結婚したり出産したりと忙しくなり、今まで仲良しでも徐々に疎遠になることが多いのだ。
 しかし、しをんさんと彼女の周りの人たちは、オタク道をバク進。よくもまあ、こんなに真性オタクが集まってるな、と思うほど。脳内で十分楽しんでいるから、現世での喜びはさほど追求しない。

 ずいぶん前に、しをんさんと中村うさぎさんとの対談を読んだことあるけど、誰が企画したのかな? 彼女は中村うさぎとは真逆のタイプであり、正反対の道を追求している。
 例えば、映画の試写会で、大ファンのオダギリジョーと引き合わせてもらえるチャンスがあった。しをんさんは、仮面ライダークウガを観て、オダギリジョーの大ファンになり、このエッセイでもオダジョーの事ばかり書いてあるのだ。
 でも、しをんさんは会うのを断る! ビックリでしょ? でも、その気持ち、わからなくもない。同じオタク気質の私としては。
 しをんさん本人は「断食明けに、いきなり満漢全席を食ったら、腹下しちゃうだろ」と答えているけど、ビミョーに違うと思う。生身のオダジョーに会いたくないんだよ。脳内のオダジョーが壊れてしまうから。

 また、他の章では友人と『物陰カフェ』を考案する。女性客を狙ったコスプレ喫茶。かっこいい男の子たちを集めたカフェだと、ホストクラブと同じになってしまう。あくまでもオタク女性たちのための『物陰カフェ』
 具体的には、店員さんである素敵な殿方とおしゃべりして親しくなろうとするんじゃなく、かっこいい男性たちの仲良く働く様子を物陰から見守るカフェ。従業員と客との会話は禁止。

 なるほどなるほど。ただ、いくら容姿は優れていても生身の人間。嫌な部分だっていっぱいある。自分の脳内で考えているように都合よく行動してはくれないよ。

 という事は、演技を要求されるわけだから、テーブルにコーヒーを置いて小芝居を観劇という事じゃない?
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