ケイの読書日記

個人が書く書評

芥川龍之介 「鼻」

2020-06-12 16:03:06 | その他
 この短編も、すごく有名な話だから、読んだ人も多いだろう。

 昔々、ある偉いお坊さんが、自分の鼻が長い事をとても苦にしていた。もちろん、高位のお坊さんなので、容姿などといった俗っぽい事柄に関心はありません、というふうを装っていたけど、本当に気にしていた。
 なんせ、少々の長さではない。食事する時、自分の鼻がお椀の中に入ってしまうので、小僧の1人に棒を持たせ、食事の間じゅう、鼻を持ち上げてもらうのである。その小僧がくしゃみをした時には、鼻がお粥の中に落ち、近所の人々はその話でもちきりだったそうだ。

 とにかく、なんとか鼻を短くできないかと悩んでいた時に、弟子の1人が京にのぼったついでに知り合いの医者から、鼻を短くする方法を教わってきた。
 その方法というのは、お湯で鼻をゆで、その鼻を人に踏ませ、出てきた鼻の脂の角栓を毛抜きで抜いて、再び茹でるというもの。ふむふむ、なかなか理にかなっているよね。
 実は私、ここで話を少し間違って覚えていたのだ。記憶間違い。毛穴から皮脂と一緒に小さな虫が出てくる、うわーーー!気持ち悪い!と覚えていたのだ。それもかなりハッキリと!
 なんで、そんな記憶の書き換えが起こったのかな?
 想像するに、かなり前、顔ダニが話題になったでしょ? 顔ダニ石鹸っていう専門石鹸がすごく良く売れた。皆さん、覚えてません? 顔ダニなんて気持ち悪いモノ、私にいるわけがない!と考えている人が大半だろうが、生まれたての赤ちゃんでもないかぎり誰にでも顔ダニっているんだってね。ホラーだね。

 とにかく、この偉いお坊さんは、鼻が短くなった当初はホクホクと喜んでいたけど、どうも周囲の反応がビミョー。かえって消極的な敵意みたいなものを感じてしまい、前の方が良かったかも…と後悔しだす。
 結局、1週間ほどで鼻は元に戻ってしまったが、お坊さんはかえって晴れ晴れした心持になった。

 美容整形した人なんかも、最初は消極的な敵意を感じたりするのかな? 

コメント
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