ケイの読書日記

個人が書く書評

高木彬光「能面殺人事件」

2007-05-02 10:45:11 | Weblog
 高木彬光にとっては「刺青殺人事件」に次ぐ第2の長編。脂ののっている時期に書かれただけあって、さすがに面白い。力作です。昭和24年発表。


 昭和21年夏。柳は旧友の高木彬光を訪れた。世話になっている家の主人・千鶴井が、不吉な出来事が起こるので調べて欲しい、というのだ。
 会談の途中で当の千鶴井から「鬼女の正体をつきとめた」という電話がある。だが屋敷に駆けつけた2人が見たのは、密室の中の千鶴井の死体だった。傍らには能面が、そして室内にはジャスミンの香りが妖しく漂っていた。


 名探偵・神津恭介ではなく高木彬光が探偵役だが、その高木も途中で退場し、柳が探偵役をつとめるなど、構成からしてちょっとややこやしい。また手記も二重になっている。(その理由は最後にわかる)
 トリックも荒唐無稽というのでなく、考えられている。


 また、高木彬光はヴァン・ダインのファンなのか、至る所にヴァン・ダインの引用がなされていて、躊躇なく犯人やトリックを明かしているので、これは推理作家としてどうかな?と思う。
 これから読もうと思っている人は要注意!!

 私も『カナリヤ殺人事件』は未読なのだが、トリックがわかってしまったよ。まあいいか。『カナリヤ殺人事件』は出来が良くないみたいだから。
コメント (6)
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