たかさんがブログで紹介していて面白そうだったので、私も読んでみる。この怪奇幻想作家(市井の民俗学者)刀城言耶シリーズは、なかなかの人気らしい。
民俗ホラーと本格ミステリの結実という謳い文句だが、そんなにホラーっぽくない。終戦から10年近くたったと書いてあるので、昭和30年あたりか。
ただ、主人公の刀城言耶やその他の面々があまりにも明るく現代的なため、昭和30年の奈良の山中の村々、という雰囲気がまったくない。
だからこそサクサク読めるが、ちょっと物足りない気もする。横溝正史がこれを書いたら、どんな禍々しい読み物になるんだろうとも思う。
(京極堂シリーズも昭和27年~28年あたりを舞台にしているが、昭和らしさがよくでているよ)
しかしミステリの部分は成功している。
奈良の奥深い山中の村で珍しい雨乞いの儀式が行なわれる。村に豊かな水をもたらす湖には水魑という神様がいらっしゃるという。その儀式の最中に殺人が起こる…。
村一番の権力者は、殺されたのが自分の息子でも警察の介入を許さない。治外法権と化した村でろくな現場検証も検死も行なわれない中、刀城言耶の推理が冴える。
推理は二転三転し真実は村を襲った鉄砲水に飲み込まれてしまう。
あまり後味は良くないが、読み応えある1冊。
民俗ホラーと本格ミステリの結実という謳い文句だが、そんなにホラーっぽくない。終戦から10年近くたったと書いてあるので、昭和30年あたりか。
ただ、主人公の刀城言耶やその他の面々があまりにも明るく現代的なため、昭和30年の奈良の山中の村々、という雰囲気がまったくない。
だからこそサクサク読めるが、ちょっと物足りない気もする。横溝正史がこれを書いたら、どんな禍々しい読み物になるんだろうとも思う。
(京極堂シリーズも昭和27年~28年あたりを舞台にしているが、昭和らしさがよくでているよ)
しかしミステリの部分は成功している。
奈良の奥深い山中の村で珍しい雨乞いの儀式が行なわれる。村に豊かな水をもたらす湖には水魑という神様がいらっしゃるという。その儀式の最中に殺人が起こる…。
村一番の権力者は、殺されたのが自分の息子でも警察の介入を許さない。治外法権と化した村でろくな現場検証も検死も行なわれない中、刀城言耶の推理が冴える。
推理は二転三転し真実は村を襲った鉄砲水に飲み込まれてしまう。
あまり後味は良くないが、読み応えある1冊。