ケイの読書日記

個人が書く書評

奥泉光 「地下迷宮の幻影」 文藝春秋

2019-12-02 09:42:54 | その他
 これも前回UPした「ゆるキャラの恐怖」と同じ「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活③」に収められている。
 今回、クワコーこと桑潟幸一准教授は、学内の派閥抗争に巻き込まれ、上司の命令で同僚の行動を見張ることになった。その尾行の途中で、キノコの群生地を見つけ、大喜びで食すが…。

 前作の「ゆるキャラの恐怖」にもあったが、クワコーは食費を浮かすため、近所のスーパー特売日巡りでは足らず、ザリガニやセミも食べるのだ。ザリガニはともかく、セミって食べられるの? 食べる地域があるらしいね。もともと日本はイナゴを食べたり、ヘボ(蜂の幼虫)を食べたりするからね。しかも今では高級食材! 食糧難になるだろう将来を見越して昆虫食を研究する人もいる。毒が無ければ何でも食べられるはず!

 クワコーの場合、動機はエコじゃなくて食費の節約にある。同僚を尾行する途中で見つけたメイテイダケは、キノコハンターの間では垂涎の的で、とても美味しいらしい。しかもタダ!!網焼きと鍋にして食べ、その美味しさに感動し…。

 しかし、私大の准教授って、そんなにお給料が少ないんだろうか? 非常勤の大学講師が生活に困窮している話はよく聞くが、正規職員の准教授でも?
 クワコーが以前勤務していた、東大阪の女子短期大学から千葉のたらちね国際大学に移った時、給料がガクッと下がったと書いてあったなぁ。タレント教授(どこの大学にもいる、人寄せパンダみたいな有名人)には、別枠で高いお給料を払うんだろうか?

 クワコーの節約生活は涙ぐましい。シャワーなど大学体育館のシャワー室を使い、自宅では絶対入浴しない。。もちろん水道代とガス代の節約のため。トイレもできるだけ大学構内で済まそうとする。車などもってのほか。どこへでも自転車で行く。
 このクワコーの節約精神を、私も見習わなければ!と強く思う。

 で、肝心のクワコーの同僚の謎行動だが、いつものとおりホームレス女子大生ジンジンこと神野仁美がスラスラ解決する。この神野仁美が謎なんだ。実家は東京都港区にあるらしい。ひょっとして お嬢!? なんで千葉の片田舎でホームレス女子大生をやってんのよ!? しかも賢いし。
コメント
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