被験者の催眠体験のために
より良い環境が準備されていることが
催眠体験を助けてくれます。
この環境は何も格別な空間ではなく
私達が何かの集中したいとき、没頭したいとき、
寛ぎたいとき、就寝等に当たり前のように求めるもので、
それは基本的には次のようなものです。
①適した空間の広さ
空間が広すぎても落ち着かない、
狭すぎて窮屈感、圧迫感、閉塞感を感じないような空間。
②邪魔されない。
催眠誘導中の部屋に人の出入りがないこと、
催眠体験に関係のない他人の声が聞こえないこと、
催眠体験中に着信音が鳴り響かないように
携帯電話の電源を切っておくこと等、
静寂さが保たれる空間。
③空間の色調と明るさ
落ち着いた色調、明るさは少し暗め、
④リラックスを助けるもの
静かで落ち着いたBGM、香り等。
⑤空間が適温に保たれていること。
⑥座り心地の良い椅子、またはベット。
⑦身体的、心理的に楽な状態
身体を締め付けているネクタイやベルトを緩めてもらったり、
メガネを外してもらう。
被験者が女性で短めのスカートである場合には
膝かけなどを提供すること。
⑧生理現象による中断を防止
体験を始める前にトイレを利用しておいてもらうことで
生理現象による体験の中断を避けます。
⑨時間的ゆとり
初めての催眠体験の時には通常1時間前後を費やすことになります。
定められた施療時間の残り少ない時であったり、
大切な約束や用事の時間が差し迫っていたりすると
気持ちにゆとりがなくなり催眠体験に集中することを邪魔します。
⑩清潔感や身なり
極端な話ですが、
誘導者が2週間もお風呂に入らないで
異臭を漂わせていたら普通はアウトですが、
稀ではありますが生物臭があることで落ち着ける人がいます。
身なりもですが、
誘導者がパンクロック的ないで立ちで登場したり、
仮面舞踏会のような派手ないで立ちで登場したりすると
普通はスムーズな誘導、体験を邪魔しますが、
これも個人差があります。
被験者の中には催眠誘導者の威光暗示として利用する
あえて怪しさをあえて醸し出す装いが
効果的に働くことも有ります。
私が師事した中山和輝氏は、当時頻繁にテレビ番組に呼ばれ
初対面の被験者、上記のような環境も時間も整っていない中で
催眠誘導率とでも申しましょうか、
非常に高い確率で被験者を深い催眠状態に導いていたのを
この目で見ています。
ですから上記のような環境設定は
必須のものとは言えませんし、例外もありますが、
整えることが出来るのなら整えておく方が、
プラスになってもマイナスにはなりません。