心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

見えない衣

2012年03月03日 | 催眠療法


東京での施療体験でのことになりますが、

ある日、初老の男性があることで相談に訪れました。

何でも数年前から外出先から帰宅すると、

玄関先で洋服を全部脱いで、すぐにお風呂に入り、

納得するまで身体をゴシゴシと洗うようになってしまっているとのことです。



このような自分の身体が凄く汚れてしまっていると言う

強迫観念を持つまでに心が混乱している方の場合、

今までの私の施療経験では、多くの施療期間を必要としますし、

多くの時間をかけると多くの人は解決しますとは

自信を持って言い切れません。



ですが、実際に解決した人もいることも事実で、

その中でも特に印象深かった人がその初老の男性でした。

初回カウンセリングは、話をお聞きし情報を集め、

催眠誘導をしてどの程度の催眠の反応性があるかどうかをチェックするのが

通常の流れなのですが、

その方の場合、催眠の初回誘導であるにもかかわらず、

催眠にどっぷりと没入するだけの反応性を示しました。



そして、次の施療の機会に

その方の催眠反応能力を利用しない手は無いなと思い、

催眠に深く誘導し、その方に見えない光の衣を身につけてもらいました。

そして、

「あなたを護る光の衣については覚醒しても全く覚えていないし、

気が付くこともないでしょう。ですが、

これからの人生においてずっとあなたを守り続けます。」

と暗示して覚醒。



このようなアプローチをしてはみたものの、

その時には、それで良くなるとの確信などなく、

その方の催眠反応がすこぶる良かったことから、

ものは試しでと言うのが正直なところです。



ところが、一週間後に来て頂いたその方はニコニコしながら、

前回のことは全く覚えていないのですが、

あれから外出先から帰宅しても普通に家に入るうことが出来、

その変わりように妻が驚いているとの話を聞くことになります。



私としてもとても嬉しかったのですが、

「そんなに簡単に変われるほど簡単な心の状態ではないはずだよなあ。」と、

心では思いながらも効果があったと本人から報告があったのですから、

ではと同じ誘導をし光の衣をさらに強化するアプローチ。



そして、次の施療は少し間を開けて2週間後に来て頂いても

変化がそのまま維持されているようなので、

話は強迫観念の話ではなくストレスを感じ始めた頃の話をして

誘導は同じ誘導をして、次は3週間後、そして、一カ月後として様子を見たのですが、

ずっと変化は維持されていたので

施療は一応の終わりとして様子を見て頂くことになりました。



今、思えば強迫観念が無くなったと言えども

その強迫観念を引き起こすまでになった元々のモノの見方や捉え方について

施療を引き続き行って行けば、

よりしっかりとした土台が築けたのではないかと思ってはいます。



心理療法は、どこまで行っても施療者の力だけではどうにもならず、

クライアントの力を貸してもらわなければ効果はあがりません。

この方の場合は、解決のために必要な殆どの部分を

その方の力でカバーしてもらった施療として忘れることが出来ません。


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