1993年 アメリカで58歳の男が
死亡した83歳の母親の遺体を
2年間も隠していたことが近所の人の通報で発覚。
遺体の顔には酸素マスク。
犯罪の痕跡は、なかったようです。
日本の刑法では、
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めて有る物を損壊し、
遺棄し、又は領得した者は、3年以上の懲役に処すると
されているようです。
日本では、精神障害の母親の世話に疲れた息子が
母親の首を絞めて殺害し、遺体を三年間、
衣装ケースに入れて押し入れの中に放置した事件。
病死した父親の遺体を死後6年間にわたって
自宅に放置していたことが発覚し
死体遺棄と父親の年金を騙し取ったとして
詐欺罪で起訴された男性の裁判では、
男性に軽度の知的障害が認められ、
誰かに尋ねる技能が乏しく障害が
犯行に影響を与えたことは否定しがたいとして
執行猶予の判決が下された事件は、
複数回報道されていた死亡届を出さずに
親の年金を引き続き得ようとして
親の遺体を自宅に放置していた事件とは、
内容の質が違うようです。
稀に特異な宗教の教えから
生き返りを信じて遺体を放置する場合もありますが、
そうではなく両親への強い愛情から
親の死を認めたくないと言う心理が働いて
死亡届を出さずに自宅に放置する場合もあります。
(この気持ち、分かるんですよね。)
このような強い悲しみや怒りから立ち直る心理過程を
フロイトの流れをくむ考えでは、
喪の作業と言って、喪の作業は順番通り起こり
省略は不可としています。
①無感覚の段階
激しい衝撃にショックを受けて呆然としている状態。
②否認・抗議の段階
対象喪失を認められずに、
認めさせようとする者へ反発する状態。
③絶望・失意の段階
強い失意、不安、抑うつ等の心理反応が起きる状態。
④離脱・再建の段階
喪失を徐々に受け止め、事実と折り合いをつける状態。
この当人がこれらの過程を進む際には、
当人はもちろん、援助する者も慌てずに焦らずに
当人が、ちゃんと悲しいことを悲しみ、怒る時に怒りながら
当人の悲しみや寂しさや苦しみを受け止められるように
必要な時間をかけて進んでいくことが求められます。