心の扉 神戸カウンセリング花時計

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反出生主義

2019年06月06日 | 雑感・愚見

2019年、2月にインドのムンバイ出身の27歳の男性が、

「同意無しに自分を生んだ。」として、両親を訴えたそうです。

この男性は、子供を持つことに否定的な考えを持つ

反出生主義者だったとのことです。

 

現在の自分の苦しみや辛さが続くことの責任を、

自分にではなく他人にすり替えることが行き過ぎると

こんなハチャメチャな論を唱える人が現れるんだとビックリです。


訴えの内容を心の底から純粋に思っているのであるなら

両親を訴え、断罪するより自らが死を選べば、

本人の問題は即座に解決するのですから

本人の訴えの本質は、別の所に有るとしか思えません。


本人の怒りが純粋に両親に対する怒りなのか、

社会や人間関係に対する怒りを両親に転嫁しているのか、

分かりませんが、根底にある何らかの本質の怒りを

真の対象にぶつけることを恐れたり苦痛、

あるいは後ろめたさや罪悪感を伴うので、

別の論点へとすり替えているように思います。


このようなことは、この男性ほどではないけれども

私達の身近にも起きていることだと思います。


僕(私)の学校の成績が悪かったのは、

両親がもっと勉強をしろと言ってくれなかったからだ。

塾などの勉強をする環境を整えてくれなかったからだ。


営業成績が悪いのは、上司が営業の仕方を

しっかりと教えてくれないからだ。


自分が貧乏なのは、政府が悪いからだ。


これら全部は、自分がもっと良くなるための責任は、

他人にあると言っています。


これらは、本来、自分が持つべき責任までをも他人に背負わせることで

自分への罪悪感や劣等感やだらしなさを感じなくするためです。


そして、その論点には全てが荒唐無稽というのではないので、

発掘した僅かな正しい部分に必死にしがみつき振り回します。


そうすることで自分への罪悪感や負い目や劣等感を感じることを

ある程度減らすことが出来ますが、

自分の問題を自分で解決することを放棄することになります。


インドの男性は、国の司法制度を利用して

恨みある両親への攻撃をしていることを認識しているのなら

まだ少しは救いがありますが、

本気で裁判に勝てると思っていたとしたなら、

男性の心の健康状態の程度が、かなり心配になります。


インドの裁判所がこんな訴えを認めて、

男性に勝訴の判決を下すことは、

インドの国、民族が亡びることを意味しますから

どの国の司法でもあり得ません。


それはそれとして、反出生主義者?

 

何じゃそりゃ。


私の勉強不足で反出生主義というような考えが

存在することを全く知りませんでした。


少し調べてみると、このような主義は、

最近になってと言うのか、古くからあると言うのか分かりませんが、

アルトゥル・ショーペンハウアー(1788~1860)と言う人が

反出生主義者として有名な人のようです。

 

反出生主義の方々の理論武装は、

◯深刻な人口過剰による資源や食料への負担を抑制するのに役立つ。


(これは、人口が増え過ぎないようにコントロールしようなので

 まあ理解できるように思います。)


◯人生は、嫌なことの方が多いと主張すると共に、

 子供は親、出生地、時代を選べないから子供が同意なしに

 この世に生み出されることの問題の一番の解決方法として、

 子供を生み出さないことを主張しています。


(このあたりになると、この人自身も両親との関係に

 問題を抱えた人である疑いを持ちます。)


◯養育者として不適格な親の元に生まれ不幸になる子供を無くすことが出来る。

 子供を持つ親は、持たない親よりも幸福度が低い。

 よって子供、親ともが不幸せになることを防ぐことが出来る。

 

 (自分の考えと合致しない人達を排除した

  かなり偏った考えが入り込んでいますし、この論調からも

  本人と親との関係に問題があったことを推察できます。)


◯ブッタの考え、人は生まれた瞬間から病、老、死を持って来て、

 だったら産まないことが簡単で一番じゃねえ。ってな感じです。

 

 (これもブッタが唱えた一部分を自分の主義に利用しているだけですね。

  悲観論者、鬱的な思考でしかなく、

  ブッタは、そんなことを唱えたのではありません。)

 

このような主義、主張は、一部の人達が本当の問題から目をそらし、

休憩所とか避難所として利用できる意味合いもあるので

その全てを否定することは出来ませんが、

 

恐ろしい病原菌のような毒性もあるので、

この主義、思想が宗教化して広がると、以前にあった

カルト宗教の信者たちの集団自殺に繋がり非常に危険です。


どんな考えも何々主義とか、何々主義者と付けるだけで

なんか立派な主義、主張のような感じに化けてしまいます。


情報伝達が発達した現代社会において、

権威ある人が言うから、メディアが言うから、

有名な芸能人、有名なコメンテーターが言うから、

尊敬し信頼する政治家が言うからではなく、

それらに流されないように、感化されないように

自分の軸をしっかりと持つことの大切さを教えてくれています。

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計



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