心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

心理的境界

2014年02月11日 | 心理カウンセリング




その方は、上司の威圧的な言動に対して

ビクビクしてしまい

一年前から身体にまで

変調をきたすようになっていました。



このような相談を受けた時には、

私は、まず現実的な問題があるかどうかについて

確かめることから始めるようにしています。



現実の問題とは

強迫を受けていたり、ストーカー被害を受けていたり、

暴力を受けていたり、

過酷な労働をさせられていたり、

パートナーが浮気をしていたり、

身体の不調を感じていたり、

いまそこにある問題のことです。



自分の人格や性格に原因があるとして自分を責めていたり、

自分の運命を嘆いて悲しんでいることは、

現実の問題ではなく

自分の心が創り出している問題になります。



現実的な問題があきらかにあるようなら

その方の心理的な対処はもちろんなのですが、

それ以上に

現実的な問題を優先しなければなりません。



必要となるなら

医師、弁護士、警察、労働基準監督署等に

相談することも考えなくてはなりませんし、



パートナーの浮気を咎めた時に

謝罪も反省も示さずに

「お前が優しくしてくれないから浮気をした。」

と自分の浮気を正当化しているような時、



優しいか優しくないかの問題と

浮気の問題は別の問題ですから、

毅然とした態度を示して、

その相手の反応によって

自分はどうするのかの選択をすることもそうです。



しかし、

現実的な問題の対処のしようがあるのに

その選択をしようとしなかったり、


現実的な問題が起きていなかったり、

問題が起きる可能性は低いのに関わらず、

我慢し続けているとか、

悲しみ続けているとか、

過ぎた恐れや不安を感じ続けている場合には、

そこには

心理的な問題が存在すると考えることが出来ます。



心理的な問題とは、

本人の心に持つイメージ(記憶)から起きている問題であり、

そのイメージを維持させ続けているのが

記憶(体験)から自分が心に学び取った自分の生き方、

つまり心のルールです。



ある時の、強く心が動く何らかの出来事によって

本人の心に強く焼き付いたイメージと

そのイメージの解釈がセットになって

起きている心の反応です。



今の時点では、現実の問題を検討する必要がないものと

確認することが出来ると

取り組みを、記憶と解釈の不適応さについての検討に

絞り込むことが出来ます。



そして、その方には催眠の退行催眠の技法を用いて

同じような気持ち、同じような感情

同じような身体の反応をしていた

過去の場面に戻ってもらいました。



この時、

不適応な心のパターンを変えるためには、

それらをただ思い出してもらうよりも

再体験をしてもらうことで

より影響を与えることが出来ます。



すると、子供の頃から、

いつも命令口調で威圧的で、

そして、自分の気にくわないことをすると

怒鳴り散らす父親が浮かんできました。




怒鳴り散らす父親を前にして

ビクビクしている子供の自分と重なり

再体験をしてもらい、

その時の自分がどう思っていたのか、

その事態に対処するために

自分に何を言い聞かせたのか等を

感じとってもらいました。



私は、世の父親は、

弱いよりも怖い存在であった方が良いと思われますが、

それは、子供が何か悪いことをした時に

それを戒めるために発揮されるもので

全てにおいて支配的である場合には

その意味が違ってきます。



威圧的、支配的な父親が

その方の心理的境界内へ度々に入り込むような状態は、

いつ他人が入り込んでくるかもしれない

玄関のドアが無い家に住んでいるような状況ですから

落ち着いた気持ちになれるはずがありません。



となると、

玄関に頑丈なドアをつけて

しっかりとしたカギをつけてもらえれば

威圧的な言動に対して悪戯に反応することがなくなります。



玄関のドアをつけ、鍵をかけるということは

あやふやになったままの自分の心理的境界を

しっかりと確認し、実行力のある境界線を引いてもらうことです。



一旦、子供の自分を椅子に残したまま

大人の自分は、別の椅子に移動してもらいます。



そして、子供の頃は、

威圧的、支配的な父親の侵入を阻むことは

出来なかっただろうし、

してはならないと思っていたかもしれないけれども

大人になった今の自分は、

暴力から身を守る術を持っているし

自分の精神を守るためにも

それを拒否しても良いことを確認してもらえれば、


後は、どのようなラインを引くのかを

その人に決めてもらった後に、

再度、子供の自分と重なり、

大人の自分の考えや決めたことを子供の自分に伝えもらい、

後は、それを決行するだけです。



心理療法によって

そのハードルを低くすることについては

どこまでも一緒に取り組むことは出来ますが

その先に進むのは本人自身であって

本人に代わって心理療法を行う者ではありません。


だから、

どうしても最後の所は、

本人自身がおこなってもらうしかありません。



全ての準備が整った最後の段階では、

心理療法を行う者がおこなうこと、やれることは、

前に進むことを促し、背中を押すことだけになります。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


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