日々是マーケティング

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電力の原価は、いくらなのだろう?

2011-09-20 20:26:12 | 徒然
一部新聞社のWEBサイトに、東京電力が現在停止中の原発を再稼働させないと、電気料金の値上げが必要、だと言う内容の記事が掲載されている。

このような内容の記事が掲載されるのは、今回が初めてではない。
「フクシマ事故」から2ヶ月ほど経った頃にも、「原発の代わりに火力発電を稼働させると、1,000円ほど電気料金を値上げる必要がある」という内容の記事があった。
このときにも、拙ブログでは「本当に、そうなの?」という疑問を呈したことがあったのだが、今回も同じように疑問を感じている。

今回の記事と前回の記事の内容の大きな違いは、「企業年金の減額支給」や「従業員の給与カット」などが盛り込まれた点だろう。
「従業員の給与カット」については、ある一定期間を過ぎれば元に戻すと言う考えがある様だが、事故で被災した人たちは、生活基盤そのものを失う状態にあるとすれば、一定期間を過ぎれば元に戻すと言う発想は、受け入れられないだろう。
少なくとも、東京電力以外の人たちはそう考えるのではないだろうか?

ところで、このような「原発ありき」の電気料金の話が出るたびに思うのだが、「電力の原価はいくら?」という疑問がある。
ご存じの様に、電気料金には様々なモノが加わっている。
火力発電所を動かすための石油や原発を動かすためのウランの購入だけではなく、様々な交付金もその電気代に含まれている。
最近では、「太陽光発電」の売電に伴う費用も含まれる様になってきた。
それらの費用を電気料金に含むことが悪い、と言うのではない。
問題なのは、電力会社自体が様々なリスクを電気料金に被せているのでは?と言う気がする点だ。

「リスクを回避するための費用負担」を、利用者に負担させるのが悪いと言い切れるモノではないが、電力会社の様に独占企業の場合、いとも簡単に受益者負担とばかりに被せている様な気がするのだ。
それが「1,000円の値上げ」だったり、今回の「収支が厳し」という言葉に繋がっている様な印象を与えてしまうのだ。

もう一つは、「原発ありき」でモノごとを考えてはいるのでは?と言う点だ。
今回の「フクシマ事故」のようなことが起きれば、その賠償は途方もない額となる。
それだけの「リスク」を含めた「原発稼働の電気代」なのか?と言う点が、説明不足のような気がする。
もちろんその場合、「減原発稼働の電気代」との比較シュミレーションを提示してもらわなくては、私たちにはわからない。
それだけではなく、今年の様な「節電の夏」の使用電力の場合は、どのようになるのか?と言うことも提示する必要があると思う。

これまで、「生活に絶対必要なものだから、値上げは仕方ない」と、受け入れてきた生活者が「本当にそうなの?」という疑問を持ち始めたことに、電力会社は気がつかなくてはいけないのではないだろうか?