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NHKの受信解約に見る数字

2011-09-08 20:20:32 | マーケティング
NHKの受信解約の申し出が、7~8月にかけ9万件ほどあったようだ。
NHK解約申し出、2カ月で9万件 地デジ完全移行影響-asahi.comより-

最終的には、10万件を超すとNHKは見込んでいるようだが、この数字をどう見るのか興味がある。
単純に「9万件の家庭が、地デジ化をしていない。または、地デジ化に合わせテレビの視聴を止めた」と見ることが出来る。
一方、とても穿った見方ではあるが、地デジ化をキッカケに「普段見ないNHKの受信契約を解約した」という可能性も「0」では無いと思う。
NHKの基本的な考えが、「テレビのある家庭は、必ずNHKを見ている」というトコロから始まっていると思われる受信契約だと感じるからだ。

その背景にあるのは、「テレビ」が家族が集まる場所に1台しかなかった時代から、契約そのものの考え方が変わっていないからだ。
民放はあくまでもNHKのオマケ程度で、「家族が見るのはNHK」という感覚が抜けきれていないように感じる部分があるのも事実だ。
実際には、テレビと生活者のかかわり方が随分と変わり、「1家に1台」という時代は30年以上も前に終っている。
その変化に合わせてきたのは、NHKというより民放だったように感じている。
それだけではなく今では、パソコンで地デジが受信できたり、携帯電話でワンセグ放送が見られたりするのが、当たり前になってきている。
まして、先日にはNTTdocomo系の通信会社が、地デジ化によって空いた地上波を使った映像サービスを実施する、と発表したばかりだ。

とすれば、「テレビ番組を受信する」という形態も変わってきているはずだ。
そのことにNHK自体分っているとは思うのだが、なかなか対応できていないというのが本当のところなのでは?
もちろん、積極的に「オンデマンド放送」を実施したりしているが、「オンデマンド放送」自体、まだまだ高額(だと思っている)で気軽に利用するまでには至っていないのが、現状なのかも知れない。

この9万件のNHK受信契約の解約というのは、単純に「9万件=地デジ化していない世帯」ではなく、生活者のテレビに対する変化の数字と見るべきなのではないだろうか?
と同時に、テレビの視聴スタイルの多様化という点も考慮する必要があると思う。

単なる数字も見方を変えると、イロイロな社会のあり方が見えてくる・・・そんな9万件という数字のように思えるのだ。