日々是マーケティング

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緑茶も「エスプレッソ」?

2011-09-15 13:47:29 | マーケティング
そろそろ、ペットボトルなど飲料水の秋・冬向けの新商品が出始める時期となってきた。
今日、コンビニやスーパーなどで見かたのがサントリーの伊右衛門の「グリーン エスプレッソ」だ。

コーヒー以外の飲料水で「エスプレッソ」と名付けた商品は、伊右衛門が初めてではない。
キリンの「午後の紅茶・エスプレッソ」があり、こちらは発売当初から話題となりヒット商品となった。
言葉が悪いのだが、その「二番煎じ」という感じで、この「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」が登場したような印象を、受けてしまったのだった。

ただ、今回の「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」は、「エスプレッソ」と名がついているが、どうやら製法が違っていそうな商品説明となっている。
ご存じの様に「エスプレッソ」の淹れ方は、熱いお湯を圧縮したように一気にコーヒーに点し、とても濃いコーヒーを淹れる。
おそらく「午後の紅茶」も同じような方法で、淹れているはずだ。
少なくともテレビCMを見ている限りは、コーヒー豆を紅茶の茶葉に変えた様になっていた。
ところが「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」は、どちらかというと茶道の「お薄」か「濃茶」の様な感じだ。
実際、パッケージを読むと「抹茶をふんだんに使い・・・」とある。
とすれば、「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」の目指している市場は、これまでとはチョッと違うのかもしれない。

このパッケージを読んだ時感じたことは、「日本のおもてなし文化の中心である、茶道の楽しみを手軽に味わってもらう」というコトだった。
茶道の「濃茶」は、茶道の中でも格の高いおもてなし。
それこそ1日がかりのおもてなしであり、呼ばれた客人もそれなりの気持ちで臨む。
茶道の心得のない私などは、とうていお呼びがかかるような場所ではない。
一般的な「お茶会」とは、意味が違うのが「濃茶」の茶席なのだ。
一方「お薄」は、「濃茶」ほど格式張ってはいない分、気軽にいただける。
とはいうものの、茶道を習っていない人にとって「お薄」も「濃茶」も縁のないモノだろう。
だからこそ、「気軽にそのおいしさを味わってもらう」というのが、今回の「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」なのではないだろうか。

もちろん、某テレビ局で紹介され今年の春頃一時売り切れ状態になったという「深蒸しの挽き茶」も、考えての市場投入だとは思うが、もしかしたら考えている市場は、国内ではなく海外なのかもしれない。
「茶席の侘・寂」を堪能する、とまではいかないが、その「おいしさ」を知ってもらうきっかけ作りにはなるだろう。
と同時に、是非日本の和菓子も一緒に海外へ紹介をしてもらいたい、と思っている。

お煎餅に番茶もおいしいが、繊細な和菓子にお薄もまた気持ちを落ち着かせ、日頃の雑事を忘れさせてくれる一服でもある。
そんな時間の提案も、この「伊右衛門・グリーンエスプレッソ」はあるのかもしれない。