日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

見ているところが違う、プロフェッショナルたち

2011-10-25 20:05:17 | マーケティング
週末に購入したを読み進めている。
その中で、ちょっとビックリした記述があった。
それは、車のデザインについて。

私は、名古屋に住んでいながら運転免許を持っていない。
当然のことながら、自動車も保有してない。
そのためだろう、車に対してイマイチ興味が持てない。
どのようなデザインであろうと、「アァァ、車だ~」と思う程度。
過去に1度だけ「そのデザインって・・・」と首を傾げたくなるような車はあったが、そのデザインは、しばらくしてなくなってしまった。
デザインコンセプトは、とても面白いと思ったが実際街中で走るコトを考えると、デザインが奇抜すぎるように感じた車だった。

その程度の知識と感覚しか持っていない私が驚いたのだ。
その驚いた理由とは・・・。
車のデザインをされている方々にとって、一番凄い!と感じるデザインの車はダイハツの「タント」だという。
国内外における「カー・オブ・ザイヤー」などを受賞している車ではなく、むしろそのような賞とは無縁そうな軽自動車の「タント」を選んでいる。

そしてその理由を知ると、納得をしてしまった。
それは軽自動車という制約の中で、最大限の居住空間を確保し、ピラーレスという構造にすることで、乗り降りに邪魔な部分を取り去ることができている、というコト。
これまで自動車のデザインというと、空気抵抗を減らし、スムーズな加速を考えた流線型に近いモノが多かった。
実際今でも、流線型を基にしたデザインが多いはずだ。
それに対して、ダイハツの「タント」は子供が描く「自動車」の形に近い、四角い車だ。
その大きな理由として、「生活の中の自動車」というコトを考え抜いたデザインというコトのようだ。

もう一つ理由を挙げるとすれば、これまでの自動車は「所有すること」が大切なポイントだった。
「こんな車に乗っていると、かっこよい」とか、「いつかは、ベンツに乗りたい」というような「所有する夢」の要素があったはずだ。
しかし今の日本の社会・経済状況では、「所有する夢」よりも「日々の生活の中で使いやすい」というコトのほうが、重要視されているはず。
そのような視点で見ると「タント」は、そのような「時代の気持ちや空気感」を読み取ったデザインだといえるようだ。

理由を知れば納得できる点も多くあるのだが、一瞬その文だけを読むと「なぜ???」と思ってしまう。
おそらくこれが、プロの視点と言われるモノなのだろう。
プロだからこそ、一般の人たちでは気づかない点を見る力と説明力が大切なのだと、思ったのだった。