日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

キーワードは「優しさ」と「伝えるコト」

2012-01-12 19:17:59 | CMウォッチ
花王が、明日から「字幕付きテレビCM」を試験的に流すようだ。
花王ニュースリリース「字幕付きのテレビコマーシャル」を試験的に放映

目的は、ニュースリリースにある通り「視聴者への配慮」というコトだろ。
いくら良い商品でも、キチンと伝わらなければテレビCMの意味は無い。
この様な「字幕付きテレビCM」というのは、今回の花王が業界初というコトに、チョッと驚いている。
考えてみれば、確かに過去「字幕付きテレビCM」というのは記憶が無い。
サントリーのBOSS・レインボーマウンテンのジョーンズ氏のテレビCMのように、場面設定などを説明する字幕はあったが、商品そのものを説明するようなテレビCMは無かった。
その意味で、今回の試みは挑戦的なモノだと思う。

これまでこのような「字幕付きテレビCM」が無かった理由を考えると、「テレビ視聴者」の世代層が広すぎてできなかったのでは?という気がしている。
これは何もこのような試験的なことに限ったことではないのだが、「字幕付きテレビCM」を見た視聴者の中には、「字幕が邪魔」という人は少なからずいるはずだ。
その「字幕が邪魔」という人の意見と、「伝え易さ」という点の両方を考えた場合、これまでの傾向として「字幕が邪魔」という意見に従う傾向が、若干なりともあったと思う。
もっとも、「テレビCMそのものが邪魔」という方のほうが、現実には多いのかも知れないのだが・・・。

しかし、若年層のテレビ離れが年々増してきている状況を考えると、テレビそのものの視聴者層が、年々高くなりつつあるともいえる。
とすれば、年々高くなりつつあるテレビ視聴者に対して、「伝える優しさ」という視点が必要となってくる。
その点を考えれば、これからのテレビCMの一つの流れとなっていく可能性があると思う。

それだけではなく、もしかしたらこの「字幕付きテレビCM」は新たなテレビ番組創りのきっかけとなるかも知れない。
というのも昨年に本格的運用が始まった「地デジ放送」には、データ通信という機能が付いているからだ。
これまでは「テレビドラマを見ながら、出演者が着ている服が買えます」とか「料理番組のレシピが、自宅でプリントアウトできる」といったことばかり言われてきた。
しかし本当は、「映像だけでは伝わりにくい情報を加える」というコトのほうが、「地デジ化」の魅力なのではないだろうか?
聴覚にハンディのある人でも、話題のテレビドラマが気軽に見られる。
緊急情報が、音声と映像で伝わる+携帯電話やスマートフォンのバイブレーション機能と連動する、といった複数の情報端末と連動した情報提供というコトの可能性もあるのでは。

そのような視点で考えると、今回の「字幕付きテレビCM」は、「人に優しい」、「伝わり易さ」だけの試験的なモノではないようないような可能性も感じるのだ。