日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

流れに逆らう

2012-01-23 19:03:51 | ビジネス
湯布院温泉といえば、今では女性を中心に人気の高い温泉地だ。
確か数年前のNHKの朝ドラでも取り上げられたと、記憶している。
しかし40年ほど前までは、全国的に有名な温泉地ではなかった。
その湯布院を全国区にしたのは、旅館・亀の井別荘の代表者中谷健太郎さんを中心とした旅行関係者だったという。

そんなお話が、今朝のFM番組で紹介されていた。
「ホンダ・スマイルミッション レポート」(1月23日分)

番組を聞いて驚いたのは、あえて高速道路やゴルフ場の建設を拒否し続けたことだ。
時は、東京オリンピックで日本中が元気に活況を呈したいた頃。
その頃あえて田んぼなどをはじめとした自然を残した、観光地・温泉地創りというのは相当難しいものがあったと思う。
日本が高度成長という、これまでにないほどの経済成長をしていた時代なのだ。
全国各地に高速道路建設の計画が発表され、観光地となりそうなところにはゴルフ場などが次々にでき始めていたのだから。

そのような中で、あえて自然を残し「長期滞在型の温泉地」を目指すというのは、周囲から簡単に理解を得られるのは難しかっただろうし、時には変人扱いもされたのではないだろうか?
しかし、それが40年ほどの時間を経て少しづつ人気温泉地となっていく。
その理由は、生活者の意識変化もあるが、流行に流されなかったということも大きな理由だと思う。
もちろん、映画祭や音楽祭といったイベントなどの開催も大きかったと思うが、継続的に行われ続けてきたことも、湯布院の魅力作りになったと思う。
というのも、「地域活性化」という名の下様々な文化イベントやスポーツイベントを開催するも、10年以上継続して行うということがとても難しいからだ。

都市化が進み、ある程度の規模の都市であれば便利さと引き換えに、速さが求められる。
だが、温泉地のような場所では「速さ」を求めてくる人は、少ないだろう。
アクセスという点でも、湯布院人気が高まるにつれ湯布院の名前の付いた「高原リゾート列車」などが登場し、ますます人気観光地・温泉地へと成長していく。
その過程でも、まず考えられたのは「湯布院らしさ」だったと思う。
そのように考えると、湯布院は「観光地の魅力作り」のヒントを与えてくれているような気がする。