日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

正月広告-2-

2012-01-04 12:29:01 | マーケティング
昨日に引き続き、元旦に掲載された新聞のお正月広告について。
今回は、パルコを取り上げてみたいと思う。
ここ数年・・・というよりも、10年以上「パルコ」らしいお正月広告を見ていなかったような気にさせたのが、今年のパルコのお正月広告だった。

「パルコ 広告」

何故、この広告を見たとき「パルコらしい」と感じたのか?といえば、若者や社会に対してやや挑発的な印象を持ったからだ。
ご存知のように、パルコは小売業の中でもやや特殊な形態を持っている。
パルコそのものは、テナントと呼ばれる小売業者に売り場を貸しているだけで、実際の小売に携わっているわけではない。
もちろん、売り場を貸すにあたってのアドバイスなどはしているとは思うが、テナントとして入っているお店が、それぞれの独自の商品ラインナップを考えた品揃えをし、販売をしている。
その意味では、「丸井」や渋谷の「109」と同じだといえる。
ただ、パルコが「丸井」や「109」と違うのは、「文化の発信」という側面を持っていたからだと感じている。

事実、パルコを展開していた「セゾングループ」は、「セゾン文化」と呼ばれるモノがあった。
その意味では小売をしていないのにもかかわらず、「販売」の中に「文化」的なモノを感じさせることができたのがパルコだったように思う。
言い換えれば、「パルコで買い物をする=チョッと先のファッションを手にする」というようなイメージがあったのが、パルコという場所だった。

だからこそ、パルコができた頃の広告はとても刺激的なモノが多かったし、パルコの広告をきっかけに世界に出て行ったアーティストも少なくない。
それだけパワフルな広告を展開していたパルコも、母体となる西武の様々な問題に引きずられ、社会変化に対応できなくなっていたように思う。
それが今回「LOVE-HUMAN」というテーマで、10代~20代の若年層を刺激するような広告文と写真を掲載している。
モデルとなっている人物は、マイケルジャクソンに憧れ、単身ニューヨークに渡り、マドンナのバッグダンサーとして活躍をしている、日本人男性。
マイケルジャクソンが亡くなった時、ワールドツアー中のマドンナが、マイケルに捧ぐパフォーマンスを一人託された人物でもある。
もちろん、マイケルジャクソン自身も生前に彼の存在を知っており、実現できなかったイギリスツアーでのダンスパフォーマンスのオファーを出していたと、言われている。

単身ニューヨークに行き、様々な苦労をしたであろう彼だが、ダンスパフォーマンスを見る限り、そのような印象は一切無い。
おそらくパルコが伝えたかったのは、そこなのでは無いだろうか?
「夢を夢で終わらせるな!夢を力に変え、現実のものとするために自分の殻を突き破れ!」そんな強いメッセージが、パルコ自体持っている閉塞感的な部分を打ち破りたい!というメッセージにも聞こえる。
それはパルコでけではなく、日本の社会全体を覆っている閉塞感を打ち破れ!といっているようにも思えるのだった。