日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

正月広告‐1‐

2012-01-03 11:36:55 | マーケティング
暮に引いた風邪が、年明け後ひどくなり「寝正月」状態。
新年のご挨拶をいただいた方には、大変失礼をしました。

1月1日の新聞といえば、一年で一番厚い新聞なのではないだろうか?
大体4部くらいの構成となっていて、中には広告のみ?と思えるような紙面もある。
当然、そんな中様々な企業が「お正月広告」を打っている。
お正月広告、というのは単に企業からの新年の挨拶というだけではなく、その年の企業の目指すコトなどが表現されている場合が多い。
そんな広告を見ながらアレコレと考えるのもまた、お正月の楽しみとなっている。
そのため今回は、2,3回に分けて「お正月広告」について、エントリをしてみたい。

まず取り上げるのは「資生堂」。
「資生堂お正月広告」
確か昨年は、資生堂の商品を並べた広告だったように思う。
それが一転して、今年は蒼井優さんが登場。
とても透明感のある、若手実力派女優の一人なのではないだろうか。
その蒼井さんは、ほとんどスッピンのような感じ。
そこにつけられている文章は、明らかに昨年起きた「東日本大震災」の影響を感じる。

文章中にあるように、「お化粧」という行為は、チョッと特別な行為だ。
「女性であれば、毎日当たり前のようにするのが当然」と思っている方が、多いのかも知れないが、決してそうではない。
震災発生後、お化粧をすることも忘れた女性たちが、美容師さんの手で髪の毛カットされ、美容学校の学生さんたちがボランティアでメイクを施すことで、すっかり忘れていた「自分」を取り戻したという方は多かったと言われている。
「自分を取り戻す」というよりも、「前に進む自分を取り戻す」といったほうが良いのかも知れない。
言い換えれば、お化粧とは「自分にチョッと気合を入れる行為」だと言える。

もう一つは「女性としてのよりどころ」という点でも、重要な行為だと思う。
これは「阪神淡路大震災」のとき、田中康夫さんがボランティアで化粧品を持っていった時のコトだが、お化粧もせずに避難所生活をしていた女性たちが、お化粧をしたことで表情がパッと明るくなった、というコトがあった。
もちろん、「お化粧をする」という行為の中には肌を整え、表情を作るというモノがある。
しかし、その人自身の表情を作ることはできない。
それが「お化粧をする」という行為をきっかけに、その人らしい明るさを取り戻すきっかけとなるコトは十分ある。
実際、女性の認知患者さんの治療の一環で「化粧をする」コトが行われていると聞く。

「化粧」について十二分に知っているからこそ、資生堂は改めて「化粧」を取り上げたのだと思う。
新しい価値観、新しいライフスタイルが言われる中にあって、「女性がお化粧をすること」は、変わらないことだろうし、それによって資生堂は、社会に貢献していきたい、そんな思いが伝わる広告だった。