日々是マーケティング

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「おひとり様」市場が、社会を変える?

2012-01-09 17:41:43 | ビジネス
先日、FMを聞いていたら「これからの注目市場・おひとり様」という話をしていた。
ここ数年、「おひとり様」という言葉が一般化してきた。
特に飲食や旅行といった業種では、新しい市場として注目されている、という話は過去何度か聞いた記憶がある。

ただ実際には、旅行会社が主催するツアーなどの広告を見ると、やはり基本は二人。
国内のバス旅行などでは、一人で参加も可能という場合が多いが、海外旅行などになると、やはり二人が基本となっている。
それが最近では、海外旅行などでも「申し込み人数ひとり」という単位で募集する代理店などが増えてきたという。
あくまでもツアーなので、ツアー開催最低人数は10名程度というコトになるのだが、最初からシングルルームを基本として募集をする、という旅行が増えてきているという。
それだけではなく、「女性のおひとり様、宿泊不可」といわれていた高級旅館などでも、受け入れに積極的になってきているという。

その背景にあるのは、社会の意識変化もあると思う。
私が20代の頃、一人で旅行に行くと「お一人ですか?」と、心配げな表情で訊ねられることが多かった。
当時は「女性の一人旅=センチメンタルジャーニー」という、イメージが強かったのだろう。
残念ながら私の一人旅は、過去一度もセンチメンタルな気分で出かけたことは無い。
現実は、元気一杯で一人旅を楽しむ女性が多く、そんなイメージがゆっくりと崩れていったのかも知れない。
もうひとつは、独身者の可処分所得が同世代の既婚者よりも多い、というコトもあるかも知れない。
「お金を持っている人に、積極的に消費をしてもらう」というコトだ。
そのためには、変にイメージにとらわれ市場を狭めるよりも、積極的に拡げたほうが得策だ。

そんな当たり前のコトとは別に、「おひとり様」が注目される理由がある。
それは「おひとり様」が集まれば、「おふたり様以上」になる可能性がある、というコトだ。
この話をしていた番組の司会者は、「まるで新しいタイプの合コンですね」といっていたが、まさに「おひとり様専用ツアー」などは、同じ目的や趣味を持ったおひとり様が集まり、そこから新たなグループやおふたり様ができる可能性がある。
もともと趣味などで繋がった関係なので、価値観の相違なども少ないだろう。
そのようなグループは、同じような企画のツアーにコアなリピーターとして、参加してもらえる可能性も高いはずだ。

飲食店などの場合「おひとり様」だからこそ、声がかけやすいということもあるようだ。
仲間と一緒にワイワイというのも楽しいが、そこからは新しい出会いは無い。
「ひとりのおとなとして」声をかけ、話が合えば一緒に食事をしたりお酒をいただく・・・という展開の期待ができる、というコトらしい。

考えてみれば、何かと「おふたり様」という枠が当たり前になりすぎて、「おひとり様」は肩身が狭かったと思う。
「おひとり様」市場が広がると、案外意外な市場が活性化するかも知れない・・・そんな気がした。