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「爆買い」は終わった?!

2017-09-14 20:02:38 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトに、とても興味深いリポートが掲載されていた。
日経新聞:インバウンド統計リポート

タイトル通り、日本を訪れる海外からの観光客についてのリポートだ。
このリポートで注目したいのは、滞在日数と滞在期間中の支出だ。
ここ数年、中国からの観光客が注目を浴びていた。
中国人観光客とセットのように使われた言葉が「爆買い」だ。
ご存じの通り、東京の秋葉原などで大量の家電製品を購入する中国人観光客から始まった「爆買い」は、銀座などの百貨店での化粧品売り場などへと広がり、中国人観光客が訪れるフロアーには必ず中国語ができるスタッフを常駐させるようになってきた。

確かに「爆買い」をする中国人観光客が支出する金額は、とても大きかった。
バブルの頃、欧州でブランド品を買いあさっていた日本人観光客よりも、おそらく支出した金額は大きかっただろう。
その中国人観光客だが、いわゆるお金持ちから庶民へと観光客層の裾野が広がるにつれ、「爆買い」だけではなくなりつつある。
実際、京都などに行くと季節外れの柄の着物を着た中国人観光客の姿を、たくさん見かける。
日本に来る目的が「買い物」から「体験型」へと、変わりつつあるということだろう。

しかしもっと注目すべき点は、違うところにあるのでは?
それがイギリスからの観光客の、支出額と滞在日数だ。
リポートを見ると、イギリスからの観光客の支出額と滞在日数はアジア諸国からの観光客に比べ、随分多い。
だからと言って、イギリス人観光客が「爆買い」をしている、というニュースは聞かない。
彼らは一体どこへ観光に出かけ、お金を使っているのか?という点が、これからのインバウンドを考える上で、重要な点なのではないだろうか?

主に欧米からの観光客相手の、ツアーガイドをしていた知人がいる。
元々語学が堪能で、会社員時代は海外への出張なども多かったこともあり、退職後の仕事として「観光通訳案内士」の資格を取得したという知人だ。
その彼から聞いた話では、日本人が当たり前の風景として見ている風景を、欧州からの観光客は観たいと思っている、という。
例えば、田舎の田園風景や鎮守の森の風景、お祭りといった、日本人にとって「日常の生活の一部(や暮らしの延長線にあるイベント)」と感じるものに、「日本の文化」を感じ、その文化を体験したいと思っている、というのだ。

その視点で、地域の資産を考えると、都市部が観光に優位とは言えなくなる。
むしろ、日本の田舎の(あるいは「暮らしの」)原風景が残っているような場所のほうが、地域の観光資産がある、ということになる。
「不便だから」ではなく「不便だからこそ行ってみたい日本」ということを、このリポートから読み取ることができるのではないだろうか?