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ヘルスケアデータと教育

2018-08-20 20:58:51 | 徒然

日経新聞のコラム・COMEMOに、問題提議をしているコラムがあった。
日経新聞COMEMO:ヘルスケアデータは誰のもの

日本の医療の現場でも、電子カルテなどが普及し患者の病歴(というか通院歴)のデータベース化が進んでいる。
私が通う病院でも、担当主治医の隣にはカルテの入力をする女性がいる。
もちろん、クリニックとか診療所と呼ばれる医療施設の中には、今だに手書きのカルテかもしれないが、これからは電子カルテが一般的になってくるだろう。

今年の春ごろだっただろうか?マイナンバーカードと健康保険証の一体化というニュースもあった。
Huffpost:医療分野における個人IDの導入で、何が便利になるの?

確かに、自分の病歴や通院歴を管理したい、という気持ちは良く分かる。
良く分かるどころか、私自身は自分である程度管理をしたいと思っている。
だが、その前に考えてしまうことのほうが多いのも事実なのだ。

今年、大学病院を中心に「ゲノム医療の拠点病院」が、選定された。
この拠点病院に続き、連携病院も選定されている。
米国では、個人の健康管理を目的として「ゲノム医療」を推進している。
オバマさんが大統領だったころに決まった「精密化医療」が、それである。
当然、投入される予算も膨大な額なのだが、投入される予算の5%程度(だったと思う)は「法律や教育」などの整備にあてられる、といわれている。
何故なら、「ゲノム(遺伝子情報)」は究極の個人情報だからだ。
もしゲノム解析の結果によって、個人が就職や保険への加入などで、不利益を被らない為であり、社会的差別を受けないようにするためである。
もちろん、ゲノム情報が流出しないようにするための、高度なセキュリティーが求められるのは、当然のことだろう。

しかし、日本の場合はどうなのだろう?と、疑問と不安を持ってしまうのだ。
「病歴や通院歴」が分かることで、不利益を被ることは十二分にある。
就職などでの社会的差別、ということだってあるはずだ。
そう考えると、マイナンバーカードと健康保険証の一体化には、大きな不安がある。

と同時に、「ゲノム」をはじめとする「生命学」のような学問の教育は、一体どうなっているのだろうか?という懸念もあるのだ。
ここ1,2年で「がんに関する医療」は、大きく変わってきている。
上述した「ゲノム医療の拠点病院」が選定されたように、医療の中心が「ゲノムレベルでの治療」に変わりつつあるからだ。
しかし、多くの生活者にとって「ゲノムって何?」という、状態だと思う。
「ゲノムが、究極の個人情報である」だと分かっていても、その詳しい内容については分からない、という生活者のほうが多いのではないだろうか?
だからこそ、中途半端な知識や情報によって、心無い差別が起きる可能性が高いのだ。

あくまでも個人的な考えなのだが、医療のデータベース化と並行して「医療を学ぶ」ことが重要なのではないだろうか?
そのための予算はどうなっているのか?
中学・高校での教育機会をどうするのか?
そのことも、一緒になって考える必要があると思う。