拙ブログで時々テーマとして取り上げさせていただいている、日経のCOMEMO。
COMEMOに、インバンド政策として「日本の夜は、つまらない」と海外からの観光客が感じている、というレポートがあった。
日経新聞 COMEMO:日本の夜は、つまらない!? 政府はどう考えているの?
この記事を読むと、「アジア、欧米問わず、日本に来る観光客の多くは、夜がつまらない」と感じているので、夜間に行われるスポーツ観戦、ライブイベントなどのチケットが取りやすいなどの施策が必要」ということを政府が考えているようだ。
夜に行われるスポーツ観戦となると、プロ野球かJリーグということになるだろう。
もちろん、フィギュアスケートなどシーズンが始まれば、観戦したい!という観光客も少なくないとは思うのだが、ほぼ通年で楽しめるスポーツ観戦となると、プロ野球かJリーグくらいしか思い浮かばない。
そのプロ野球やJリーグが、メジャーリーグや欧州のクラブチームのような世界的人気を誇っているのか?というと、疑問を感じるところがある。
海外からの観光客が「日本の夜を楽しみたい」と思っていることは、政府が考えているようなことなのだろうか?
ディズニーランドやUSJのような、テーマパークはアジアからの観光客からは人気となっており、実際来場者も多いと思う。
このようなテーマパークにやってくる海外からの観光客は、パッケージツアーなどが多いのかもしれないが、個人旅行者を考えるのであれば、例えばホテルのコンシェルジュサービスなどを利用して、チケットを購入するということになると思う。
そのような情報が、十分伝わっていないとすれば、ホテルとテーマパークの運営会社との間で、改善の余地ありだと思うのだが、テーマパーク目的ではない人たちの「(日本の)夜がつまらない」という問題の解決にはならないだろう。
何より、このような施策は地方では通用しないのではないだろうか?
随分前からだが、「名古屋の夜は早い」といわれている。
深夜遅くまで営業している飲食店が、少ないので夜の12時を過ぎると歓楽街が寂しくなる、ということから言われていることだ。
今では、随分変わったと思うのだが、地方の場合名古屋の比ではないと思うのだ。
であれば、いっそのこと開き直ってはどうだろう?
「開き直る」というと、表現があまり良くないと思うのだが、そもそも「夜は暗く、にぎやかではない」のが当たり前なのだ。
例えば、夏のお盆の頃なら「怪談話ツアー」はどうだろう?
今年のお盆休みで帰省した時、実家の墓がある松江の「月照寺」では、お盆の間、夜、燈篭に灯りを入れ散策する、というニュースがあった。
この「月照寺」は、小泉八雲の「怪談」にも登場したことがあるお寺で、周囲には鬱蒼と茂った木々が取り囲んでいる。
懐中電灯ではなく、燈篭の灯りを頼りに境内を歩く、というのはなかなか経験できないことだと思うのだ。
これからの季節であれば「観月会」や「星を眺める会」なども考えられるだろう。
温泉地なら、「提灯を持って温泉巡り」などというのも一興だろう。
民話が数多くある所なら「囲炉裏端で民話を語り・聞かせる(多言語のガイドブックを用意する必要はあると思うが)」ということも、できるかもしれない。
何も、ライブやスポーツ観戦のような華やか?なイベントだけが、「夜を楽しむ」ことではないと思うのだ。
観光旅行に訪れる目的は、何だろう?と考えた時、その土地ならではの文化や風土、景色を楽しむということがあるのではないだろうか?
そう考えた時、都会的な華やかな夜の過ごし方に注目するのではなく、その地域にあった「夜の過ごし方」の提案があっても良いのではないだろうか?