今年の朝ドラの後期は「まんぷく」だ。
ご存じの方も多いと思うのだが、主人公となる女性は「日清食品」の創業者安藤百福さんの奥様が、モデルとなっている。
そして、今年は日清食品が「即席めん」を発売してから、60年になるという。
今や日本の国民食、どころか世界各国で食べられる食品といっても過言ではないだろう。
今日の日経新聞に、その「即席めん」について、面白い記事があった。
日経新聞:即席麺1000億食の攻防
まず目を引くのは、「ロングセラーは10年周期」という言葉だろう。
60年という長い月日の間には、ある一定のサイクルで新商品などが登場する、という。
とはいうものの、厳密には10年周期ではないような気がするのだが、今でも人気のある「袋入り即席めん」の多くは、1960年代に発売されている。
これらのロングセラー商品の牙城(というべきか?)を崩したのは、東洋水産の「正麺」シリーズだと思う。
この「正麺」シリーズの前にも、やや割高感はあるが、ノンフライ麺で「家庭で本格的中華麺」と人気のあった明星食品「中華三昧」のシリーズだったように思う。
それでも、1960年代に発売された「即席めん」がいつの時代でも人気がある、というのはとても興味深い。
おそらく、地味に生活者が分からないような、スープや麺の味を変え続けているのだろう。
だからこそ、発売当時を知っている親から子へ、孫へと「即席めん」の味が、伝わってきたのだと思う。
それだけではなく、様々な思い出も一緒に引き継がれていっているように思うのだ。
それは「カップ麺」についても、同じことが言えるのではないだろうか?
もちろん、世界1000億食/年という数字の中には、日本国内の消費だけではないので、カップ麺などの場合は「かやく」と呼ばれる具材にも、販売をする国の宗教や文化などを考慮したものになっているはずだ。
逆に言えば、そのような販売をする国の宗教や文化などを考慮し尊重したからこそ、年間1000億食という膨大な数の「即席めん」が、世界中で食べられ続けているのだろう。
そして意外なことに「袋麺」の人気ランキングに、ハウス食品の「うまかっちゃん 九州の味(5袋)」が入っている。
元々「うまかっちゃん 九州の味」は、九州限定で発売された商品で、丁度「博多ラーメン人気」と共に、全国で販売されるようになった商品(だったと記憶している)。
このような「地域限定」の味もまた、ブームに乗った商品ではない理由があるとすれば、「郷愁」ということになるのかもしれない。
「即席めん」そのものが、生活者にとって「食べ物」というだけではない「暮らしの中」にある商品だからこそ、ロングセラーになり続けることができたのだろうし、「暮らしの中」にあったからこそ「即席めんと思い出」が結びつくことができたのだろう。
もちろん、いつの時代でもどのような国であっても「美味しい」からこそのロングセラーなのは、言うまでもないと思う。