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フロントランナーのつもりが、いつの間にか周回遅れ、という日本の現実

2021-04-17 22:51:51 | ビジネス

「新型コロナ」の接触確認アプリ「COCOA」の不具合が判明してから、しばらく経つ。
その後、「アプリの修正などについての情報は?」と、疑問に思っていたら、朝日新聞になかなか衝撃的な見出しで「COCOA」の現状を報じる記事があった。
朝日新聞:「人も専門知識も足りず」COCOA業務のお寒い体制

この見出しを見た時、LINEが日本の企業ではなく中国企業に業務の一部を、委託していた理由が分かったような気がした。
実際、LINE側の発表の中に「日本で委託できる企業が無い」という趣旨のコメントを出していたように思う。
残念なことに、今の日本は「情報産業」あるいは「IT産業」と呼ばれる産業分野において、フロントランナーのつもりで走っていたら、いつの間にか周回遅れになっていた、という気がしたのだ。

一体いつ頃から、周回遅れになってしまったのだろう?と、考えると、なんとなくだが「iPhone」が登場した頃から、徐々に遅れ始めたのでは?という気がしている。
というのも、Appleの「iPhone」が登場した時、日本の携帯電話(=ガラケーあるいはフィーチャーフォン)を製造していた企業の偉い方々は「技術的にはわが社にもあった」という趣旨の発言をしていたからだ。
「わが社にもあった」という技術が活かされるようになる前に、多くの企業は携帯電話の製造から撤退をし、今では極一部の企業が、シニア向けあるいは子供向けの携帯電話を製造しているにすぎず、主流のスマホとなればお寒い限りだ。

これは何もスマホを含む携帯電話市場に限らず、「半導体」についても同じだろう。
「半導体」に関しては、今やIT機器だけに搭載されるものではなく、様々な家電や自動車などにも使われるようになっている。
先日のルネサスの火災により、自動車メーカーの生産に支障をきたす、というニュースがあったばかりだ。
そのルネサス自体も「世界の半導体」の中では、台湾や韓国、中国の後塵を期す、という状況に陥っている。
今台頭している台湾などの半導体メーカーは、日本企業の下請けとして成長し、様々な企業の要望に応える事で、力をつけ今では下請け企業のほうが、世界の中心的メーカーとなっているのだ。
言葉が悪いが「軒先を貸して母屋を取られた」ような状況にあるのが、日本の半導体ということになるのかもしれない。

上述したように「半導体」だけではなく、ソフトウェアの開発についても日本では遅れを取ってしまっている、ということになるだろうし、「新型コロナ」の感染拡大により、「戦後日本企業がリードしてきた」と、自負していた産業が、「ガラパゴス化」し、世界の標準から後れを取り、いつの間にか周回遅れになってしまっているのでは?ということが、露呈した感がある。
独立行政法人経済産業研究所:自動車産業すら負け組に・・・IT産業が弱い日本、コロナ禍で”大失業時代”が現実味

その現実を直視することが「バブル経済崩壊」から30年経っても、浮上できない大きな理由のような気がしている。