日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「広告」の難しさ

2021-04-21 12:09:24 | マーケティング

朝日新聞系にGLOBE+という別紙がある。
そのGLOBE+に「なるほどね~」という、記事があった。
GLOBE+:みんなが絶賛するポカリCM、友だち失う覚悟で批判した塩谷舞さんの思い

おそらく、記事の内容を読んで「あぁ~、テレビCMの想定購買層ではない人からか…」と感じた方は、マーケティングや広告制作に関わっている方だろう。
実際記事を読んだとき、私自身「テレビCMで想定している購買層ではない方から見ると、そんな感じなのか!」と、少し目から鱗が落ちた気がした。

テレビCMに限らず、広告を制作する時「中心となる想定購買層」を中心に考える。
今回のポカリスエットのCMについて言うなら、想定購買層は「中高校生」ということになる。
だからこそ、ポカリスエットのCMはほぼ一貫して中高校生世代に人気がある、あるいは現役高校生のタレントを起用してきたのだ。
何故なら、「想定購買層」となる中高校生から共感を得やすいからだ。
ポカリスエットCM:「でも君が見えた」篇60秒

「みんなが絶賛」しているかどうかは、分からないがテレビCMとして、よくできていると思う。
新学期が始まった中高校生の持っている不安や希望、そして若さの中に秘めた躍動感…そんな印象を持つことができるCMだと感じる事ができる(あくまでも個人的感想です)。
「想定購入層」ではない生活者層が見ても、「青春の爽やかさ」のようなものが感じられると思う。

塩谷さんが指摘しているように、今のSDGsなどの視点から考えると、ペットボトル飲料のCMは「今時のCM」ではないのかもしれない。
記事中にある通り、ポカリスエットに限らずスポーツドリンクの粉末タイプを、各メーカーは発売しているし、部活などでは専用の大型ボトルで溶かして飲んでいる、という生徒たちも多いだろう。
それだけではなく、これから暑くなってくると「熱中症対策」として、高齢者もスポーツドリンクを飲む機会が増えてくる。
これまでとは違う「購買層」が既に市場にあり、その生活者の生活スタイルに着目したCMなどが必要だとも考えられる。

気になるのは、「ペットボトル飲料=✖」という感覚には、抵抗感がある。
例えば上述したように、高齢者がスポーツドリンクを飲む場合、粉末と水の分量が分からず過剰に濃かったり、逆に薄かったりということがある。
そのような心配がないのが、ペットボトル飲料のメリットでもあるのだ。
それだけではなく、日本の場合ペットボトルの回収率は諸外国に比べ高い。
PETボトルリサイクル推進協議会:日米欧のリサイクル状況比較(統計)

「リサイクル率が高いから問題ない」という気はないが、ペットボトルのメリットも考えてバランスの良い使い方をする時代がきている、と考えたほうが「SDGsを考えながら両立させ、生活を窮屈にさせない方法」だと考えるからだ。

とすれば、それを両立するためには何が必要なのか?と考えれば、CMの最後に商品ラインナップを出すことだろう。
加えて言うならば「粉末でつくるスポーツドリンク」という、作り方ポイントのCMなども必要かもしれない。
そして、絶賛されているテレビCMはあくまでも「商品イメージ」のCMという位置づけだと思われるので、具体的な商品よりのテレビCMを制作し、流すという方法だろう。
個人的には「テレビCM」には、ある程度の夢や希望の表現が必要だと考えている。
何故なら、いくら虚構の世界であっても、時には人を勇気づけ前を向く力を与えてくれる力を持っていると、信じているからだ。