VOUGEのサイトを見ていたら、興味深いコレクションがあった。
Chloéの2022-2023秋冬コレクションだ。
VOUGE:クロエは副産物のリアルレザーを採用 気候変動の問題と再野生化を掲げて 22-23AWパリコレ速報
「動物愛護」の名のもと、毛皮のコレクションを発表するデザイナーが、ほとんどいなくなったのはご存じの方も多いと思う。
その流れから、いわゆる「リアルレザー」と呼ばれる、牛革などを使ったコレクションを発表するデザイナーも、激減していたような気がする。
そのような大きな流れに、一石を投じるようなクロエのリアルレザーを使った秋冬のコレクションということになる。
しかし考えてみれば、私たちが普段食べているお肉は、牛や豚、鶏などを殺すことで得られる食べ物である、ということには変わりない。
ここ数年話題になっている「ヴィーガン(肉や魚、乳製品を排除した食事)」を好む人たちも、徐々に増え始めているとはいえ、多くの人たちは牛肉や豚肉、鶏肉などを日々の食事の中で食べているのではないだろうか?
とすれば、当然のように「食べない部位」が出てくる。
鶏肉の場合は鳥皮も食べるが、豚や牛の場合は好んで皮を食べること言うことはないだろう。
それはジビエ料理が盛んな欧州であれば、対象となる動物は増えるはずだ。
そのような部位も、古の人たちは活用をしてきた、という歴史はある。
その活用先として、毛皮というものもあったのではないだろうか?
それが産業化されたことで「毛皮用動物の飼育」が始まり、今その「毛皮用動物の飼育」が、「動物愛護」という視点で止める方向へと向かっている、という状況なのだと思う。
確かに「毛皮用動物の飼育」という視点で考える「動物愛護」の考えは社会的にも受け入れられると思う。
しかし、牛や豚のように昔から人の生活の中で「食べるために飼育されてきた動物」となると、その「動物愛護」という視点から外れてしまう場合が多い。
とすれば、人が食べない部位を廃棄するのは、環境という視点で考えたたとき、どうなのか?という問いかけをしているのが、今回のクロエのコレクションのような気がするのだ。
上述したように、大昔の人たちは動物と共に生活をし、時にはその動物を殺し、食べることで生きてきた。
そのことを、否定することはできないだろうし、批判することもできないだろう。
ただ、殺した動物のすべてを生活の中で活用することで、その動物に感謝をし恵としてきたのではないだろうか?
とすれば、人として動物の生をいただくのであれば、その命のすべてを無駄にすることなく、使うということもまた「愛護」ということになるのかもしれない。
人は、生きていくために牛や豚、鶏などの家畜を食べ、丹精込めて作った野菜や米・小麦などの植物を収穫し、食べることで命をつなぐことができている。
過剰な「動物愛護」をいうあまり、命をいただいた家畜たちの生を無駄にすることのほうが、家畜に対して失礼なのではないだろうか?
そんなことをクロエは訴えているのでは、ないだろうか?